「断捨離」して、モノを減らし、ミニマムな生活に!と憧れるけどなかなかできない……。そんな風に思っている方も多いのでは?今回の取材で訪れたマキさんのお宅は、モノが本当に少なく、2LDK・59平米なのに広々とすっきり。まるでカフェのように居心地の良い空間で、家族4人暮らしの家とは信じられないほどでした。どうすればこんなにモノを持たずにすっきりとした家にできるのでしょうか?早速、マキさんに「モノを持たない暮らし」の極意についてうかがいました。
――マキさんは、いつから「モノを持たない暮らし」ができるようになったのですか?何かきっかけはあったのでしょうか?
次女の育休中のときに断捨離をしたことがきっかけでした。それまでは普通の人でしたよ(笑)。当時は赤ちゃんがいて外出もできず暇だったので、自分の持ち物を見直す時間があったんです。すると、もう書けないのに無駄に溜まっているペン類、昔買った絶対使わないような緑のアイシャドウ、派手な色のカピカピに乾いたマニキュア……そんなものが大量に出てきて、「なんで自分はこんなモノをずっと持っていたんだろう。こんな派手な色のマニキュアはもう使わないし……」と思ったのが全てのきっかけでした。自分を見つめ直す良い機会が断捨離だったんです。また、持っていた洋服を売ろうと買い取り業者に査定してもらったら、30着がたったの1000円で、「私の洋服の価値なんてそんなもんなんだ……」とショックを受けましたね。だから次に洋服を買うときは、売ることになるような中途半端な服をたくさん買うより、お気に入りの服を1着買って着倒す方が良いと思うようになりました。
――一旦断捨離ができても、余計なモノを買ってしまったり、結婚式の引き出物などのもらいもので、いつの間にかモノが増えたりしませんか?
もらいものは譲るようにしていますね。もちろん要るモノは使うんですけど、自分の実家や夫の実家に必要かどうか聞いて、まとめて送ったりしています。実家の方でも必要な人にあげているみたいですけどね(笑)家に遊びに来てくれた友人などに「これいる?」と聞いてみたり、必要そうな人に写メして「これもし良かったらどう?」とか聞いてみたりもしていますね。
断捨離したことで「減らすことが気持ち良い」という体験があったからこそ、モノを増やさないように意識できるようになりました。ペンが5本あるより、1本の方が迷いません。お気に入りの服しか持っていなければ、迷わず好きな服だけ着ることができます。選択肢を無くすことで迷いが減ります。それが結果的に時短にもなります。
――モノを持たなくなったことで、実際に暮らしや気持ちはどう変わりましたか?
狭いスペースでも暮らせるという自信がつきました。狭い方が掃除も5分で終わるし、子どもが散らかしても一瞬で元通りに片付けられるのでラクです。今の家は2LDK・59平米ですが、家族4人が一緒に寝る寝室と、リビングとダイニングを繋げて、間取り的には1LDKとして住んでいます。この暮らし方によって、必然的に家族が仲良くなれたと思っていますね。毎日家族4人で川の字で寝て、嫌でも同じ空間にいるからこそ、お互いの距離が縮まります。もしも今より部屋数の多い広い家に住んで、子ども部屋があったとしたら、家での子どもの様子もわからなくなりそうだなと。いずれ娘たちが中学生とかになって「自分の部屋が欲しい」と言い出したら、そのとき考えればいいやと思っています。モノが少ないから、引っ越しもすぐに終わりますしね。
そんなマキさん家の暮らしには、持たない・シンプル・時短の工夫が随所に散りばめられています。「この発想はなかった、なるほど!」と、目から鱗なマキさんの暮らしの工夫の一部をご紹介します。
『衣』通勤着は色違いの上下たった2着で着回し!悩む時間と収納スペースを節約
基本の仕事着は、季節毎に同じ服の色違い上下2着ずつのローテーション。だから毎朝迷うことがありません。シーズン中着倒して、次のシーズンになったら新しい服を買うので、服のメンテナンスも気にしなくて済み、時間の節約にもなります。収納場所も困りませんし、洗濯して干すのも楽ちんです。
『食』食器は最低限、買い物は週1回、厳選した調味料とストック食材で省スペース&時短!
家族4人の食器はたったこれだけ!多用途に使えて重ねて収納ができることがポイント。風通しの良い部屋なので、洗って軽く拭いておくだけで乾くというのも良いそうです。
食材は週に1度、宅配で調達。週末に作り置きしたストック食材をフル活用しています。ゆでるだけ、切るだけ、洗うだけの野菜も、立派な常備菜。例えば、ほうれん草はそのままだと冷蔵庫の中でかなりのスペースを使いますが、ゆでるだけで小さくなって、しかもそのまま食べられるように。冷蔵庫が小さいため、極力スペースも使わないよう工夫しているのだとか。ベビーリーフやミニトマトだって、洗っておくだけですぐにお皿に盛れるので、これも仕込み済みのストック食材になります。料理の時短にもなりますね。
冷蔵庫には、基本の調味料と自家製の合わせ調味料が綺麗に並びます。甘酢、ポン酢、めんつゆなどは全て自家製で、これさえあれば市販の調味料に頼らずとも、いつでもブレずに「我が家の味」が実現。同じ容器で統一すると見た目も美しく、料理をするときも、例えば大さじ1を注ぐ動作などが全部同じ感覚で行えるのでオススメとのこと。確かに調味料の容器がバラバラだと、開け方も注ぎ方もそれぞれ異なりますね。実は見えない手間がかかっていたかもしれません。
『住』食器洗いのスポンジでトイレ掃除?トイレの掃除道具は最初から不要!
週に1度のトイレ掃除は、使い古しの食器洗いのスポンジを、ビニール袋を被せた手で持ってやってしまいます。トイレの便器を洗った後は、そのまま使っていたビニール袋に入れてポイ。ですから、トイレブラシなどの掃除用道具を備えておく必要もなく、毎週使い切り。必然的に、食器洗いのスポンジを週に1度取り替えることになるので、いつも清潔に保つことができますね。
――最後に、マキさんの今の暮らしを通して実現できたことや、価値観が変わったことなどがあれば教えてください。
日々の暮らしにいっぱいいっぱいで、時間と心に余裕がないと、やりたいことすら出てきません。生活のひとつひとつを見直し、削ぎ落とせるところは削ぎ落とし、不要な家事やモノを減らすことで、時間と気持ちに余裕が生まれました。そうすると、今まで気付かなかった、やりたかったことに、ていねいに向き合えるようになりました。
昔は忙しすぎて、食事も店屋物やお総菜を買っていましたが、家族のためにもっと手作りの食事を増やしたいと思って、料理をするように。そして今は、自分も可愛がってあげよう、という余裕も生まれてきました。最近はジョギングをしたり体操をしたり、自分の身体のメンテナンスにも目を向けられるようになりましたね。自分が元気じゃなきゃ、家族は守れません。
持たない暮らしができるようになって、お金の使い道は「モノ」ではなく「コト」へ、身体をメンテナンスしたり、知識を増やしたりする方向に変わっていきました。子どもにおもちゃだったり、自分にブランド品などの「モノ」を買うのではなく、演劇や映画を見たり旅行に行ったり、知識を増やすために勉強をしたり、経験する「コト」にお金を使うことで、心が豊かになったと実感しています。
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