まずは私の自己紹介から。私は29歳の会社員。結婚5年目の夫と共働きで2人暮らしです。
持たない暮らしを実践している今では信じられませんが、以前は物を捨てられず汚部屋状態になっていました。
転機となったのは、2014年の秋頃。私の仕事上のトラブルが立て続けにあり、「なんだか運が悪いな……」と感じていました。偶然「トイレ掃除をすると運気が上がる」という記事を見つけ、気合いを入れてトイレ掃除をしてみたところ、気持ちが晴れやかに。自分の住まいが綺麗になるとこんなに心地よいのかと驚き、キッチン、リビング、寝室と徐々に場所を広げて掃除していきました。
そこで気付いたのは、物が多いと片付けに手間取り、掃除になかなかたどり着けないということ。掃除しやすい部屋にするために、まずは物を減らして片付けることが必要だと感じ、断捨離を開始したのです。
断捨離を始めた翌年に住まいの更新をひかえ、引っ越しを考えていたのですが、当時は2人暮らしには十分すぎるほど収納がたっぷりある一軒家に住んでおり、物を溜め込んでしまっていました。これを全て持って引っ越しするとなると、さらに広い家を探す必要があります。コンパクトに暮らして家賃も光熱費も節約したかったので、当時住んでいた78㎡の一軒家から44㎡の賃貸へ住み替えることに決め、収納家具から見直しました。
家具とその中身をどんどん整理していき、気付けばゴミ処理場に持ち込んだゴミは130kgに。この大規模な断捨離によってコンパクトな住まいを実現しました。今では物も落ち着き、夫婦2人で、持たない暮らしやミニマリストを目指して生活しています。
現在では大きな断捨離をすることはなくなりましたが、普通に暮らしているだけでなにかと物は増えていくので、季節の変わり目に見直しをします。たとえば、冬が終わって春になる時に、冬服と春服を全て出して生地の傷み具合を確認。冬服は、今シーズン一度も袖を通さなかった物と、生地が傷んでいて次の冬には着ないだろうと思う物を選別します。春服は、明日着たいと思えない物を選別。選別した服はダンボールに詰めて服の買い取りサービスに出すことにしています。
我が家には、置き家具というものがありません。ベッドやソファなど、2人でないと移動できないくらいの大きくて重い家具は手放すことにしました。置き家具があると、私1人では動かせないので家具の下に埃が溜まりがち。大きな家具を断捨離したことで、さっと物を動かせますので、部屋の隅々まで楽に掃除できます。
寝室ではダブルベッドを使っていましたが、引っ越しを機に折り畳みのマットレス+敷布団と掛け布団のように分けて利用することができるタイプのシェラフ(封筒型の寝袋)にしました。ダブルベッドを置いていると、どうしても部屋の用途が寝室に限定されてしまいます。しかし、折り畳みできる寝具にすると、片付けるだけで広々して、部屋をいろいろな用途に使えます。大人数の来客時には、折り畳みの座卓を出してリビングの延長として使ったり、映画を見たり、筋トレをしたりと自由な用途で部屋を使えるようになりました。
我が家では家具がない分、持ち物のほとんどを押し入れにしまっています。本は、本棚がないので蓋つきのダンボールボックスに収納。夫と私と各2箱ずつで、そこへ収まらない分は裁断してスキャンし、PDF化するようにしています。
そして、日々の掃除で動かしやすいということは、住まいを変える時にも、さっと持ち運んで引っ越せるということ。好きな時に好きな土地で暮らすことが私の目標なので、バン1台で引っ越せるくらいの荷物の量にしたいと考えていますし、引っ越し作業もさくっと終わるのが理想です。
ミニマリストになって一番よかったと思うのは、夫婦喧嘩が減ったことです。
実は、喧嘩の原因のほとんどが家事の分担でした。以前は「なんでやってくれないんだ!」とか、「相手の担当なのになぜ自分ばっかりやっているんだろう」と、怒りを溜めながら家事をしていましたが、物が減って家事が楽になったので、分担そのものをやめました。
物が少ないと散らかっても片付けるのが簡単。さっと家事を終えて自分の好きなことに注力できます。なので、わざわざ2人で分担しなくても自分がやればいいと思えるようになりましたし、今は「さっと終わるからいいか!」と思えるようになりました。
また、物が少ないと家事に時間を取られず、自由な時間を増やすことができます。できるだけたくさんの時間を自分の好きなことに充てたいので、この快適さは手放せません。物が少ないと部屋を綺麗に保ちやすいことも利点です。視界がすっきりしていると気持ちよく、目の前の作業にも集中できます。
物の収納場所に困った時には、収納用品を買わないことが一番のコツだと思います。本があふれたら本棚を、服があふれたらタンスやプラケースを買いたくなるもの。しかし、収納用品を増やすと部屋は狭くなりますし、収納できる限界まで物は増えていきます。
そこで、今ある収納用品でどうにか収めきれないか、持ち物の見直しをします。すると、「必要な物しか入っていないはず」と思っていたところに、不必要な物が紛れていたことに気付いたりして、収納用品を増やさなくても収めることができるようになるものです。
収納用品を増やさない限り、そこへ収めようと努力するので物は増えません。逆に収納用品を増やすと、それに合わせて物は増えていってしまう、ということを、いつも心の片隅に置いておくことが大事だと思います。
おふみ流、持たない暮らしのルール
1in 1 out
スニーカーを1足買ったら、それと同じ用途の物は手放します。そうすれば持ち物の総量が変わらないので、収納を増やさなくても済みます。
季節の変わり目に服の見直しをする
冬から春への変わり目なら、冬服と春服を全て出して、着なかった物や明日着たいと思えない物は選別します。
月に1回、増えた物と減った物を書き出して、持ち物増減リストを作る
増えた物のジャンルを見て今の自分の興味の方向が分かったり、なにも買ってないつもりでも物が増えていることに気付いたり。定点観測すると、自分を知ることができて面白いです。
年に1回くらい、「1日1つの物と向き合う」月間を作る
1日に1つの物と向き合うと決めれば、「今日はなにを見直そう?」という気持ちになります。
以前の休日は、「まず片付けをしないと出かけられない」と思うことから始まっていました。物が多すぎてどこから手をつけていいか分からず、「後でやろう、後でやろう」とソファに横になって、はっと気付けば夕方になっている、という日々。「今日もどこにも行けなかった……」と落胆しながら休日を終えることも多かったです。
しかし、物を持たない暮らしを始めてからは、ずいぶん身軽になりました。今は片付け5分、掃除5分で、10分もあれば家事を終えて外に飛び出せます。さっと外出できるようになったので、旅行へ出る機会や好きなことに注ぐ時間が増えて、人生が加速したように感じます。数えてみたら、昨年は15回以上も旅に出ていました。見たいものがあれば、その機会にぱっと飛び乗ることができます。友人に会う機会も増えて、どこにも行けずに悶々としていた休日が嘘のように、今は次のお休みを楽しみにしています。
自分の住まいは、人生を楽しもうとする私の足を引っ張る存在ではなく、楽しみのために背中を押してくれる存在であって欲しいと思います。私の場合は、そのために物を少なく保っているんだなぁと実感しています。
持ち物が減るということは、フリーのスペースだけでなく、自分の持ち時間も増えるということ。言い換えれば自分の余白が増えるということです。その余白には、どんどん新しいことが飛び込んでくるように思います。人生が停滞しているなと感じたら、ミニマリストを目指してみるのも1つの方法なのではないでしょうか。
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