ブログやSNSで、断捨離や貯金に関する情報を発信しているリムベアーさん。学校を卒業後、家具職人として活躍してきたリムベアーさんが、今の活動をはじめたきっかけは何だったのでしょうか。
――リムベアーさんが「ミニマリスト系ファイナンシャルプランナー」としての活動をはじめたきっかけを教えてください。
「7年ほど前まで、僕は今とは真逆で、雑貨やキャラクターグッズが大好きなコレクターでした。入ってきたお金のほとんどを、海外のキャラクターグッズや雑貨、プロレスのマスクやフィギュア、ウクレレといった趣味につぎ込んでいましたね。『これではいけない』とモヤモヤしながらも、気に入ったモノがあるとつい買ってしまい、貯金ができずにいたんです。
そんな僕のモノに対する価値観を変えたのが、2011年に起きた東日本大震災でした。当時福島県にいた僕は被災し、住んでいた町の80%以上が津波で流されました。幸いにも僕の家は無事だったものの、周囲はがれきだらけ。家財道具などが流され、ガラクタとなって町中に散乱しているのを見たとき、『モノってなんてあっけないのだろう』と愕然としました。そして同時に、『生きていくために必要なモノや、自分にとって本当に価値のあるモノを厳選して生活していこう』という考え方になりました」(リムベアーさん)
――ファイナンシャルプランナーの資格を取ったのは、なぜですか?
「せっかくなら『生活コストも最小限にする』ための知識を身につけたいと思ったからです。あとは、ミニマリスト生活についてSNSなどで情報を発信していく中で、知り合いやフォロワーさんからお金に関する相談や質問が増えてきたことも、理由の一つかもしれません。
以前の僕のように、モノがあふれた生活にモヤモヤを感じている人や、『今の自分の収入で、無理なく貯金するにはどうしたらいいの?』という悩みを持つ人が世の中にはたくさんいます。ミニマリストとして最小限の暮らしを目指す僕がもっとお金に詳しくなれば、そんな人たちの助けになるのではという思いもあり、『ミニマリスト系ファイナンシャルプランナー』として情報を発信していこうと思いました」(リムベアーさん)
――ミニマリストであるリムベアーさん流の「断捨離」には、どんな特徴や効果があるのでしょうか?
「まず、断捨離のわかりやすい効果としては、『ムダな出費』を抑えられるようになるということです。断捨離と聞くと『捨てる』というイメージが先行すると思いますが、僕が考える断捨離は『今の自分にとって価値のあるモノ、必要なモノを厳選する』ということ。
持っているモノをどう捨てるか?というだけではなく、何か新しいモノを購入するときには一歩立ち止まって、『本当に買うべきかどうか』を熟考する習慣を身につけることが大切だということです。そのプロセスを日常に入れるだけでも、衝動買いやムダ遣いを防ぎ、結果的に貯蓄を増やすことにつながっていきます」(リムベアーさん)
――心掛け一つで、ムダな出費を抑えられるということですね。他には何か、断捨離の嬉しい効果はありますか?
「先ほどの考え方は、『買う』以外にも、日常生活のあらゆる場面に活用することで、さまざまな『ムダ』を省くことができます。たとえば『食べる』こと。なんとなくつまんでしまうお菓子や、お金をかけてしまう外食の『価値』を見直してみましょう。自分にとっての正しい『価値』がわかるようになると、食費の削減はもちろん、本当に体に必要なモノだけを選べるようになって、健康的な生活につながることも期待できます。
あとは『趣味の断捨離』も、意外な効果が生まれるのでオススメです。僕自身、コレクション以外にも、ウクレレ、草野球、空手と、以前はさまざまな趣味にお金と時間をかけていました。この中から続けていこうと決心したのが、道着さえあればできる上に、心身も鍛えられるという『価値』が見出せた空手です。空手に使える時間が増えたせいか、上達スピードも早くなった気がします。あれもこれも、広く浅くではなく、一点集中型にすると、趣味への興味が深まり、その道を究めることにもつながるのかもしれません」(リムベアーさん)
――断捨離を節約につなげるコツや、節約のための断捨離などはあるのでしょうか?
「お金も時間も同時に節約できる手段としてオススメなのが、『私服の制服化』です。たとえば僕が冬服で持っているのは、無地のブラックとネイビーのトップス2枚と、ブラウンとカーキのパンツ2本のみ。このスタイルになってからは、『洋服を選ぶ時間』が僕の人生の中からなくなり、その分、掃除やお金の勉強に使える時間を格段に増やすことができました。
この『私服の制服化』でポイントとなるのは、アイテム選びの基準。僕が選んでいるのは、すべてスタンダードな飽きの来ないデザインで、耐久性が高いアイテム。トレンドに流されずに何年も着続けていくことができるので、『服に使うお金の節約』になっています。
ただ、いきなり『私服の制服化』を実践するのは難易度が高いので、まずは今ある服を断捨離して減らしたり、自分のスタイルに統一感を出したりすることからはじめるのがいいかもしれません」(リムベアーさん)
――さあ、断捨離をはじめよう!というときの心構えは?まずは何からはじめたらいいでしょうか?
「まずは『いきなり結果を求めない』『短期決戦でやろうとしない』ということです。『今日は休みだから断捨離をしよう!』と意気込んだものの、途中で挫折した経験はありませんか?断捨離は、「残すモノを厳選する」というエネルギーが必要な作業。何時間も続けていると、疲れて判断力が鈍って、大切なモノを捨ててしまうなんてことも起きかねません。
だからこそ僕がオススメするのは、『毎日5分、1つの断捨離』です。朝起きて頭がクリアなときに目に付いたモノ、『いらないかな』と直感的に思えたモノを、1つ捨てる。そんなふうに日常にフワッと取り入れるくらいでいいと思います。
実際に僕も今の生活をはじめて7年ほど経ちますが、いまだに毎日断捨離をしています。モノがあふれた状態というのは、何年もの積み重ねの結果です。片付けるには、同じくらいの時間が掛かってもしょうがない。断捨離にはそんな気持ちで、長い目で取り組むことが大切ですね」(リムベアーさん)
リムベアーさん流の断捨離の3つのコツ
断捨離のコツ1:モノを増やさない
部屋がなかなか片付かない、整理できないという人がよく陥りがちなのが、『ごちゃごちゃする』→『断捨離する』→『お部屋も心もスッキリ』→『また新しいモノを買う』→『ごちゃごちゃする』というループです。とはいえ、生活する上でモノを買わないというのは、なかなか難易度が高いですよね。ですからまずは、必要なモノを買ったら、何か1つモノを捨てるという習慣をつくること。日常に『捨てる』を取り入れながら、徐々に『毎日5分、1つの断捨離』を目指していきましょう。
断捨離のコツ2:『保管ボックス』を作る
捨てるか取っておくか判断できないモノは、とりあえずこの保管ボックスに入れます。時間をおくことで、『やっぱり必要ないから捨てよう』『やっぱり捨てたくない』という決心ができることもあります。
僕の場合も、この『ボックスに入れては戻し、入れては戻し』を何度も繰り返したモノがあります。それは、ハワイで購入したプロレスラーのフィギュアです。客観的に見れば生きていくのに必要ではありませんが、僕にとっては『価値のあるモノ』で、とにかく好きで捨てられませんでした。保管ボックスを作れば、『価値のある大切なモノ』を誤って捨ててしまう確率もグッと下がります。
断捨離のコツ3:難易度の高い思い出の品は最後に
子どもの頃のおもちゃ、恋人からのプレゼント、大切な家族の形見、昔の写真……。断捨離で一番難易度が高いのが、いわゆる思い出の品です。思い出の品を断捨離するとき、『このときはああだった、こうだった』と感傷にひたってしまって、なかなか終わらないなんてこともありますよね。
だからこそ、じっくり厳選するために思い出の品は最後にするのがベター。ちなみに僕は思い出の品はほぼ捨てましたが、どうしても取っておきたいモノは、無理に捨てずに写真に撮ってデータ化しています。そうすれば、場所を取らずにいつでも気軽に見ることができますからね。
いずれのコツにおいても言えるのは、『あせらず、ゆっくりやる』という気持ちが大切だということ。断捨離は一日にしてならず!この3つのコツを意識しながら、少しずつ断捨離を日常に取り入れていきましょう。
「断捨離してムダなモノを取り除くと、大切なモノや必要なモノが明確になるので頭の中がクリアになります。そうすると余計なモノに惑わされなくなり、日々の優先順位が自然にわかるようになりますよ。
ムダを取り除くことで生まれた時間やお金が、趣味や自己投資、家族のために使えるようになるというのも、断捨離の大きな効果です。さらに日常的なことで言えば、モノが少ないと掃除も簡単になり、きれいな状態をキープしやすくなるという効果もあります。
以前の僕のように『モノが多くて困っている』『捨てる基準がわからない』『掃除がめんどうくさい』『貯金したいのにできない』そんな悩みを抱えているなら、日常に気軽に取り入れられるリムベアー流の断捨離に、ぜひトライしてみてください」(リムベアーさん)
新しいことをはじめるにはピッタリのこの時期。あなたもリムベアーさん流の断捨離にチャレンジして、モヤモヤをスッキリさせてみませんか?
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