みなさんは「ていねいな暮らし」を送っていますか?「仕事や家事、子育てなどで忙しいから、『ていねいな暮らし』なんて無理……!」と思っている方も、多いかもしれませんね。
今回お話を伺ったシンプルライフ研究家のマキさんは、面倒な家事を「しない」にもかかわらず、まるでインテリア雑誌から切り取ったようなスタイリッシュな暮らしを実現。そのノウハウが大人気となり、特に子どもを持つママ世代や、働きながら家事をこなす女性のお手本として活躍しています。そんなマキさんが、多くの悩めるズボラさんから絶大な支持を受けている理由のひとつが、マキさんご自身も家事が得意でないという事実です。
「私が提案しているシンプルライフは、もともと自分も家事が苦手というところから始まっています。正社員で働きながら、家事や育児をするのはやっぱり大変。掃除も洗濯も、できればやりたくないんです(笑)。1日があっという間に終わってしまう生活で、すっきり片付いた家をキープするなんて、以前は夢のまた夢でした」(マキさん)
そう語るマキさんが、今や多くのファンに支持される「家事のスペシャリスト」として活躍するきっかけになったのが、「家事をしない」という思い切ったアイデアでした。
「家事はキライでも、自分や家族が快適に暮らすには、やっぱり部屋は整っていたほうがいいですよね。そこで、『どうしたら効率よく時間をやりくりし、快適な家をキープできるか……』を考えた結果、『やりたくないことをしなくてもいい工夫を極めよう』という結論に。それが、私がシンプルライフを実践し、提案することになったきっかけです。そして、そのいちばんの近道が『断捨離』でした。
たとえば、ワンシーズン着なかった服や試供品のコスメ、『しまう』という名のもとに何となく箱に詰めこんである子どものおもちゃ、大量のペンなど、『いつか使うかもしれないし……』となんとなくとっておいたものたちを少しずつ手放していくと、まず部屋が散らからなくなり、片付けをする手間がぐっと減ったんです。また、使いたいものを探したり、たくさんある洋服からどれを着るかを選んだりといった、いわゆる『迷う』時間からも解放されました。さらに、本当に必要なものだけを手もとに置くので、日用品も洋服も、厳選されたお気に入りアイテムだけが残るように。結果、生活のクオリティがちょっと上がったような気がします。
『ていねいな暮らし』は、必ずしも毎日の家事に時間をかけることではありません。逆に、どちらかと言えば『やらなくてもOKなことはしない』と、きっぱり決めることで実現できるもの。そうやって、無駄なく心地よい暮らしを楽しめるのが、シンプルライフの魅力だと思っています」(マキさん)
たとえば、マキさんのメイクアイテムはたったこれだけ!
「パーティー仕様の派手なアイシャドウやリップは、使う時がきたらまた手に入れればいい、くらいの気楽さで断捨離しましょう。そのほうが、いざという時にトレンドを取り入れやすかったりもします」(マキさん)
マキさんが今のシンプルライフを手に入れたきっかけや断捨離のコツは、バックナンバーのこちらの記事をあわせて読んでみてください。家族4人で2LDK。決して広くはないスペースでも、これだけ快適&素敵に暮らせるんだ……!と、目からウロコですよ。
「マキさんのようなシンプルライフにあこがれるけれど、どこから手をつけていいのかわからない!」という方も多いかもしれませんね。実は、シンプルライフが実践できる人とそうでない人には、いくつかの違いがあるそう。マキさんご自身も以前はあてはまっていたという、シンプルライフが実践できない人の特徴を聞いてみました。
その1:「プチプラ」が好き!
「ファストファッションや100円ショップなどのプチプラ。実は私も、以前はプチプラが大好きでした。『1万円で5枚も洋服が買える』とか『3千円で30個の便利グッズが買える……!』って思って、ワクワクして(笑)。でも、そうした廉価なものは、今はひとつも残っていないです」
その2:「収納本」を読むのが好き!
「断捨離をしてみて気付いたのですが、私、ものすごくたくさんの収納ボックスを持っていました。いつか着るかもしれない洋服、季節限定コフレのポーチ、存在すら忘れていたアクセサリーなどなど……、収納本を読んでは、そういったたくさんのものを片付けるための収納ボックスを買い、分別して、ラベリングしたりしていました(笑)。でも、一度しまうと忘れてしまうんですよね」
その3:「○○セット」「お得」という言葉が好き!
「3個買うと安くなったり、たくさん入っていて安かったりすることが、お得だと思っていたんです。でも、実際に使う量は限られることがわかりました。3つセットで買ったものの、結局使っているのは1セットだけとか。洗剤やトイレットペーパーも、たくさんあればあるほど、どこにあるのかわからなくなってしまうこともありますよね」
その4:「カバー」「マット」が好き!
「トイレットペーパーのホルダーカバーや、ティッシュカバー。キレイに保つために使っているはずが、実はカバー自体を半年近く洗っていないこともザラでした。同じように、キッチンやお風呂のマットも使っていましたが、汚れやすいわりには手入れが面倒!」
その5:「専用の道具」が好き!
「たとえば洗剤。お風呂やトイレ、台所など、それぞれの場所に合わせた洗剤をストックしても、私は使いこなせませんでした(笑)。 また、卵焼き器やホームベーカリーなど、便利ではあるけれど毎日は使わない『専用の道具』を買ってしまう行動も、要注意かも」
……以上の項目、あなたはいくつあてはまりましたか?ひとつでも思い当たることがあれば、ぜひこれからご紹介する、マキさんが提案するシンプルライフのコツを実践してみましょう。
マキさんが実践するシンプルライフは、決して難しいものではありません。ズボラさんでもできる、今日から始められる「○○しない」家事のコツを教えていただきました。
コツその1:「持たない」
「『必要のないものは買わない、持たない』……と言われても難しいかもしれませんね。まずは今、自分の身の回りにあるものの中で、半年使っていないことを基準に手放してみましょう。
捨てるのがためらわれるものは、欲しい人に譲ったり、オークションを活用したりするのも手。それすらも面倒な場合は、思い切って処分してしまいましょう」
コツその2:「しまい込まない」
「収納ボックスを買うのをやめましょう。めざすのは、うまく収納することではなく、収納しなくてもいいくらいに、持ちものを少なくシンプルにすること。たとえば、メイク道具はひとつのポーチに入れて、それ以上増やさない。洋服はハンガーにかけて干し、そのままクローゼットにかける、など。
どんどん増えてしまいがちな子どものおもちゃも、とりあえずは今飽きずに遊んでいるものを残しておけば十分で、その他のものはタイミングを見て、手放す習慣をつけましょう。持ちものは、家のそなえつけの収納スペースに無理なく入る程度が理想です」
コツその3:「ストックしない」
「たとえば、特売の野菜をたくさん買ったとしましょう。痛む前に時間をかけて作り置きし、小分けにしたものが冷凍庫にたまってしまったという経験、ありませんか?作り置きは確かに便利ですが、大量にため込んでしまうと、逆に『食べなきゃ!』というストレスにもなりかねません。
同じく、洗剤やトイレットペーパーも、安いからと大量に買ってしまうと、ストックするにはそれなりの場所が必要になることを覚えておきましょう。ストックは最小限に」
コツその4:「隠さない」
「『○○カバー』は、ものをため込む典型的な行動パターンです。箱にものを詰め込んで布で覆ったり、たくさんの食器を積み上げた棚を目隠ししたり……。わが家ではトイレットペーパーのホルダーカバーや、キッチン・お風呂のマットもやめました。カバーがなくて不便だと思ったことは、今のところありません」
コツその5:「道具はワンオペしない」
「わが家では、お風呂、食器洗い、洗濯と、洗剤はすべて同じものを使っています。また、熱湯消毒できるグラスを期間限定で花瓶がわりにしたり、鍋でサラダを和えたりと、ひとつの道具にいくつもの役割を任せることで、ものが少なくても不便なく、すっきりした家事を叶えています。
『グラスは飲み物専用』『鍋は煮込むもの』……と、道具をワンオペしないこと。調理したまま食卓に出せる、スタイリッシュな鍋を選ぶのもおすすめですよ」
マキさんが提案するシンプルライフは、単に手間を省けるだけではなく、本当に必要なものを選ぶ目を磨くことの大切さを教えてくれます。また、シンプルライフを実現すると、毎日の生活が洗練されるだけではなく、ちょっとした「自分時間」が生まれるというメリットにも注目です。
「生活がシンプルになると、ふとしたタイミングで、何にも追われることなく家族と過ごす時間がとれるようになります。私自身、今も働きながら子育てや家事をこなす忙しい日々ですが、そうしたゆとりの時間ができることで、自分や家族の健康を守るための知識を得ることに興味を持ち始めました。シンプルライフは、そんな『お金では買えない価値』や、本当に大切な『自分の軸』に気付くことにもつながります。
ものをたくさん持ってその管理にふりまわされる生活から卒業し、『自分の軸』を持つということが、ていねいな暮らしやシンプルライフを実践する上での第一歩であり、めざす目標でもあると考えています」(マキさん)
整理収納アドバイザー講座へのリンク
お掃除スペシャリスト講座へのリンク