ここ最近、働くママたちの間で注目を集めている家事代行サービス。まずはその概要を、家事代行マッチングサービス「タスカジ」代表の和田幸子さんに教えていただきました!
「家事代行サービス自体は、実は20年ほど前から存在しているサービスです。1時間あたりの料金が設定されているのが一般的で、掃除や洗濯、料理などの家事全般が対象ですね。お願いできる内容は、家事代行サービス会社によってさまざまです。
家事代行サービスが登場した当時は、お金に余裕のある方から『広い家や庭の掃除を手伝って欲しい』などお掃除のご依頼が圧倒的に多く、価格も高い傾向にありました。それが、時代とともに家族の形が大きく変化したことで、利用者層やサービスの内容も変わってきています」(和田さん)
家事代行サービスの利用者でグッと増えているというのが、共働き家庭の働くママたち。みなさん、どんなふうに利用しているのでしょうか?
「共働きのご家庭はとにかく忙しく、『今日の晩ご飯を誰が作るの?』というように、家事に関してもかなり切迫した課題を抱えています。そのため、掃除だけ、料理だけというよりは『今、目の前にある、やるべき家事全般をサポートしてくれるサービス』を求めている方が多いですね。『掃除+料理』や『掃除+整理収納』など、組み合わせた依頼が目立ちます」(和田さん)
家事代行サービスの利用者はここ2~3年で急増し、和田さんが運営する「タスカジ」には、現在なんと約2万人(関東・関西のみ)の利用者が登録中。従来の家事代行サービスの会社とは違い、利用者とハウスキーパーの出会いの場を提供するサービスとのことですが、具体的にはどんな違いがあるのでしょうか?
「タスカジは、家事をお願いしたい人(利用者)と働きたい人(ハウスキーパー)がそれぞれ登録することで、個人と個人が出会う場を提供しています。
『家事代行サービスはこうでなければならない』という定義はないので、整理収納アドバイザーや栄養士、調理師などさまざまなスキルを持った方が、その個性と得意分野をそのまま活かして働いていますね。利用する側も自分が求めるスキルを持った人に出会い、そのスキルを最大限に活かしたサービスを受けられるというのが大きな特徴です。中には、元フレンチシェフや伝説の家政婦と呼ばれている人もいるんですよ」(和田さん)
代表として「タスカジ」を運営する和田さんも、実は日々、仕事と家事、子育てに奮闘する働くママの一人。家事代行マッチングサービスを立ち上げたきっかけは、出産後に自身が陥った家事の悩みだと言います。
「出産後、産休を経て職場に復帰しました。でも、仕事が終わってから、子どものお迎えに行って、ご飯を作って、寝かしつけて、散らかった家の中を片付けて……。家でやるべきことを考えると、仕事に100%エネルギーを使えなくて、『30%くらいエネルギーを残しておこう』という気持ちになっていたんです。
そのことを、当時習っていた英語の先生に話して、『ハウスキーパーさんがいたらいいんだけど、高いからお願いできない』と漏らしたんです。すると、『海外では個人と個人が契約するのが当たり前。それなら高いお金を払わなくてもお願いできるんだよ』と教えてくれました。それを聞いて、インターネットの掲示板でハウスキーパーさんを探し、最終的にはとてもいい人に巡り会えたんです。でも、その人に出会うまでが大変過ぎて、同じ方法を人にはおすすめできませんでしたね(笑)。
そんな経験から、ちゃんとした仕組みさえあればもっと簡単に、自分にあったハウスキーパーさんと出会えるんじゃないかと思い、家事代行マッチングサービスを起業することにしたんです」(和田さん)
共働き家庭でも、家事の負担はどうしても女性に偏りがち……。自分も働くママだからこそ、多くの人がキャリアアップを諦めたり、家庭でのストレスを抱えたりしている状況に、不満を募らせていたという和田さん。その気持ちをエネルギーに変えて、大変だったサービスの立ち上げを乗り切ったそうです。
働くママの家事をサポートするサービスとして、今後、ますます注目されそうな家事代行サービス。利用することによって、時間的な余裕ができるのはもちろん、精神面が安定し、充実するのも大きなメリットだと和田さんは言います。
「家事代行サービスをお願いすることで、浮いた時間をほかの家事や、子どもとの時間に回せるというのは大きいですよね。在宅勤務が可能な場合、ハウスキーパーさんに家事をしてもらいながら、自分は仕事をするという方もいます。ほかにも、スキルアップのための勉強の時間に充てたり、趣味の時間として使ったりする方も多いですよ。
でも、それ以上に自分も利用して感じたのが、『家事に対するプレッシャーが減った』『ストレスが減った』ということです」(和田さん)
仕事と家事の両立に悩み、精神的に追いつめられていた和田さんも、家事をサポートしてもらうことによって、心と身体の負担が減ったそうです。前向きな気持ちになることができ、「起業しよう」というエネルギーまで湧いてきたと言います。
「利用者の方からも、サービスを利用することで『昇進できた』『新しいことに挑戦しています』というお話をよくいただきます。このようにスキルアップしたり、新しい何かを始めたいという方向に気持ちが向いたりするようになるというのは、すごくいいことだと思いますね。家事代行サービスは、そんなふうに使ってもらえるとうれしいです」(和田さん)
では、初めて家事代行サービスを利用する際には、どのような点に気を付ければいいのでしょうか?
「まずはお試しプランのようなものをお願いするのがおすすめです。在宅時に、あまりこだわりのない家事からお願いしてみましょう。やり方にこだわりのある家事だと、『もっとこうしてほしい』という不満を抱きやすく、逆にストレスになってしまいます。
一般的には、トイレやお風呂、洗面所などの水回りのお掃除からお願いする方が多いです。また、あまり料理にこだわりがなければ、作り置きなどをお願いすることも、キッチンのみの使用なのでハードルは低いかもしれませんね」(和田さん)
定期利用だと、ハウスキーパーさんとの信頼関係や相性が重要になってきます。そこで、いいハウスキーパーさんと出会うポイントについても伺いました。
「それぞれのお家の予算があると思いますので、費用(例えば料金・1回3時間4500円~6900円+交通費などの実費経費)で、条件の合う人を絞り込んでください。その上で、後は利用者によるハウスキーパーさんの評価を見て、気になる人に関してはレビューの内容もチェックするといいでしょう。そうすると、よく話す、子どもがなつくなど、その人の人となりが見えてくると思います。そこで、自分や家族と合いそうだなと思う人に、お試しでお願いしてみるといいですね」(和田さん)
さらに、家事代行サービスを利用する側が注意したい点として和田さんが挙げてくれたのが、「貴重品の管理」。貴重品は一か所にまとめて管理することで、何かあった時にお互いに疑い合うという不幸をなくすことができるとのことです。
また、信頼関係がきちんと築けるまでは家のカギは渡さず、在宅時に来てもらうようにするのがよいとのこと。不在時にお願いするようになった場合も、貴重品はカギのかかる場所で保管し、お互い嫌な気持ちにならないようにするのが、利用する側として守りたいマナーとのことです。
初心者にとっては不安な点も多いかもしれない、家事代行サービス。しかし、ポイントを押さえて上手に使えば、自分の時間を作れて、心にも身体にも余裕が生まれるはず。それによって、今まで以上に子どもとのコミュニケーションが密に取れたり、家族の笑顔が増えたりするなら、思い切って使ってみるのもアリですよね。今回教えてもらったお話を参考に、あなたも家事代行サービスデビューをしてみてはいかがですか?
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