今、子どもといる時間を大切にしたい。でも、子どものことを考えるからこそ不安になるのはお金のこと。子どもがやりたいことを精いっぱい応援してあげたい。そのためにかかる習い事や学費などの教育費は必要……。ふと自分自身のことも考える。一度は仕事を辞めたものの、ブランクが長くなるほど社会との接点も減り、このままでいいのかな、と思う。
そんな風に悩むママたちが仕事に復帰したとき、一番ネックになるのが「残業」と「休日」。定時で帰れて、土日は休みの仕事だったら働けるかも…。そんな働き方を叶えられる仕事はあるのでしょうか? 選択肢のひとつとしてオススメなのが、求人数も多く未経験でも入りやすい事務職です。女性が多い職場は特に、時短勤務や託児施設など、女性が働きやすい環境が整っています。雇用形態もアルバイト、パート、派遣、契約社員、地域限定正社員など様々で、ライフステージに合わせて働き方を変えることが可能です。
時間を限定して働ける「事務職」
事務職では、電話や来客の対応、備品の管理や資料作成、請求書の発行、見積書の作成など、オフィスや部署ごとに業務の内容は多岐にわたります。求められる役割によって、週2,3日のアルバイト・パートから、フルタイムの派遣、契約社員で時間を限定して残業なしで働く…など働き方を選びやすいのが特長です。また多くの事務職は土日祝が休日となります。コツコツと目の前にある仕事に向かうのが得意な人にオススメな仕事です。
持っていると役立つ資格
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
事務職全般に共通して求められるのがPCスキル。そこで未経験もしくはブランクがあって、というときに取得しておくと良い資格が「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」です。
MOSは、ワードやエクセルといったアプリケーションの利用スキルを証明する国際資格です。さまざまあるアプリケーションのなかでも、エクセルを活用している企業は多いため、まずはMOSのエクセルから始めると良いでしょう。
事務職では、エクセルの元々あるフォーマットにデータを入力するだけの場合もあれば、関数を使うレベルまで求められる場合もあります。まずは基本的な操作を身につけておいて損はありません。実際に学習しながら、実務についたときのイメージも持てます。
PCスクールで学ぶ方法もありますが、子どもを預けるのが難しいという場合は、自宅にPCがあれば通信教育や公式テキストで学ぶ方法もあります。試験も随時実施されているため、自分の都合に応じて受験できる、取得しやすい資格です。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)講座へのリンク
簿記3級
事務職のなかでも経理事務は、月末月初や期末といった忙しい時期はありますが、繁閑の予測がつきやすく、またどの企業でも通用する経験が積めるため、人気の職種です。経理事務では、どんな雇用形態でも「簿記」の資格を求められることがほとんどです。実務上は会計ソフトなどが使われることも多いですが、基本的な仕訳や用語を身につけていることが求められます。
簿記の試験は、日商簿記3級から始めるとよいでしょう。年に3回、2月、6月、11月に実施されています。受験者も多く、通学・通信講座のほか、独学で学ぶためのテキストなど勉強する方法も充実しています。
簿記3級講座へのリンク
女性が活躍しているから制度も整っている「医療・福祉業界」
女性が多いため働き方もさまざまで、時短勤務などの制度や託児施設など環境も整っている場合が多いのが医療・福祉業界です。働く場所も生活圏に多くあり、自宅の近くで探しやすいというメリットがあります。
実際に就職した人からは「職場が近いので子どもも安心感があるようです。子どもが学校帰りに立ち寄ることもしばしば。職員の方々も理解してくれるので有り難い」という声も。お互い様という雰囲気で、子どもの病気など突然のお休みや早退などにも理解が得られやすく、長く働きやすい職場環境です。
持っていると役立つ資格
介護事務
介護施設において主に「介護報酬請求業務」を行う介護事務。介護報酬請求業務は、介護保険制度により介護施設の利用者にその代金(介護報酬)の1割を請求し、残りの9割を保険者(各区市町村)に請求する、運営に関わる重要な業務です。
そのほかにも施設に関わる事務全般、勤怠管理、ケアマネジャーのサポートなどを担うこともあります。また利用者や来所した利用者家族の受付での対応を行うこともあります。介護施設となると心配される土日や夜間のなどの出勤も、事務員はほぼありません。
資格は必須ではありませんが、就職のときに有利になるのはもちろん、介護事務として必要な用語や介護保険の請求の仕組みなど知っていれば、実務についたときにスムーズです。介護事務の資格試験にもいくつか種類がありますが、在宅でも受験できる「介護事務管理士(R)」といった資格もあります。約4ヵ月の通信講座を受講し、試験も在宅で受験できるので、子どもが預けられないといった場合でも取得できます。
介護事務講座へのリンク
登録販売者
ドラッグストアやコンビニ、大型スーパーや家電量販店など、医薬品を扱う店舗も拡がっています。子どもがいると薬は必需品。薬のことをもっと知りたいなど薬に関心があるなら、販売員として仕事を考えてみては? 働く場所も身近に多くあるのはもちろん、アルバイトなど短時間や曜日を指定しての勤務ができるので、自分の状況に応じて働く時間を調整できます。
「就職を有利にしたい」、「将来的に正社員、昇給昇任をめざしたい」と考えるなら「登録販売者」の資格を取得するとよいでしょう。登録販売者の資格は2008年に試験が始まり、それまで薬剤師しか取り扱えなかった医薬品類の一部を登録販売者が販売できるようになりました。以前は受験資格に実務経験が必要でしたが、2014年からはその受験資格が無くなり、誰でも受験することができます。人体の働き、医薬品(アレルギーや皮膚、胃腸や漢方など)、薬害の歴史、適正利用、薬事法といった幅広い知識が求められますが、実生活でも役立つ内容です。
登録販売者講座へのリンク
保育士
働く女性が増え、保育園のほか、児童養護施設、児童家庭支援センターといった公的機関や、一般企業、病院の託児施設、在宅保育、病児保育といった民間機関で求人が増えています。働く時間は短時間勤務からフルタイムまでさまざま。また、働き方もアルバイトから正社員と幅広く選択肢があります。正社員だと心配される早朝夜間のシフトや休日出勤も、育児や介護のある人には時間固定・時短勤務制度を整える企業が増えてきました。
保育士資格があれば、年齢に関係なく求人がある場合が多いのもメリットです。一般的には年齢が上がると正規採用や就職するのは難しい傾向にありますが、保育士では、1回の応募で希望のところに就職できた、50歳で正社員になったという例も珍しくありません。
保育士資格を取得するためには、保育士養成課程のある学校を卒業する(通信教育もあり)方法と、自分で学習して国家試験を受ける方法の2種類あります。国家試験の合格率は20%弱と簡単ではありませんが、筆記試験の合格ラインは8科目各6割以上、合格した科目は3年間有効です。ですから、興味のある分野から始めて1年で3科目の合格をめざすなど、時間をかけて取得することができます。保育補助の仕事には、保育士資格がなくても育児経験があれば可とする場合も多くありますから、実務で携わりながら資格をめざす方法もあります。
保育士講座へのリンク
家事も育児も、そして仕事も。その全てを完璧にこなすことが目的ではありません。朝から晩まで忙しくなり、ママの笑顔がなくなってしまっては元も子もないのです。一気にバリバリ働こうとせず、焦らず、子どもと向き合う時間を確保しつつ、子どもの成長に合わせ、ゆるやかに仕事に復帰する。そのためには無理なく続けられる仕事を選ぶことが大切です。