「超ロジカル家事」とは、家事の質を落とさず効率化をはかり、大幅に時間を短縮するテクニック。考案したのはテレビや雑誌などで幅広く活躍されている、経済評論家の勝間和代さんです。そもそも、勝間さんが「超ロジカル家事」を考えたきっかけは何だったのでしょうか?
「実は長年、家事はハウスキーパーさんに任せきりの生活を続けていました。当時は平日5日、掃除・洗濯・料理を頼み、代金は月々10万円超え!それなのに、当時の自宅は足の踏み場もないほど散らかった状態でした(苦笑)。というのも、ハウスキーパーさんは基本的に家主の指示がないかぎり、物を動かしたり捨てることができない決まりになっていたので、私が動かないと部屋は一向に片付かないんですね。
それに気づいて、自宅の物を8割以上処分する断捨離を行い、思い切って家事のアウトソーシングも辞めることにしました。しかし、これまでハウスキーパーさんにお願いしていた1日3時間分の家事を普通にやっていたら、仕事に支障が出てしまう。そこで、洗濯物を畳む、掃除機をかける、野菜を刻む……。これらの家事をより効率的に行う方法はないか、あるいはする必要がない家事はないか、仕事に近いレベルで、真剣に考えてみることにしたんです」(勝間和代さん)
その結果、家事のうち大体半分は、やらなくてもいいこと、または今の便利な道具で効率化できることに気づいたという勝間さん。そこで、以下の2つのポイントを柱にした「超ロジカル家事」が生まれました。
「この2つを基本に、自分が価値を感じるところに力を入れ、不要な手間を徹底的に排除すれば、家事負担は劇的に軽くなります。自由に使える時間が生まれ、睡眠時間も確保できるので、身体が疲れにくくなりますよ。さらにロジックを踏まえて行動すると、料理や掃除の失敗が減り、お金のムダ遣いも減ります。仕組みを作ってしまえば、探す、迷う、選ぶ作業も少なくなるので、脳も疲れにくく、結果、簡単に幸せになれるのです」(勝間和代さん)
では、少ない時間で最大の効果を手に入れる「超ロジカル家事」とは一体どんな方法なのでしょうか?
圧力IH鍋は2台持ち。スープ用と煮物用に分けている。一番右側は、炊飯器。
勝間さんが提案する「超ロジカル家事」に欠かせないのが、最新のAI家電。特に負担の大きい料理に導入すると、生活は劇的に変わるのだそう。
「私が主に使っている調理家電は、スチームオーブンレンジが2台、圧力IH鍋が2台と炊飯器、電気無水鍋です。なぜ調理家電かというと、調理中そばについている必要がなく『ほったらかし』にできるから。その間、掃除や洗濯などを片付ければ、家事の処理スピードはアップします。
ちなみに今朝は、スチームオーブンレンジでブロック肉を焼いて焼豚を作り、圧力IH鍋にカットした野菜と挽き肉、トマトジュース、塩を入れてセット(トマトスープ)。強力粉と卵と砂糖と牛乳、油をざっくり混ぜて、電気無水鍋でパンを焼きました。私自身が手を動かしたのは、ほんの数分。調理家電をフル稼働させれば、1食3品の献立を20分以下で仕上げることも十分可能です」(勝間和代さん)
「機械で美味しい料理が作れるの?」と侮るなかれ。ここだけの話、手料理より美味しく作れることもあるのだそうです。
「食材にあわせて、一番美味しくなる加熱温度や時間をスイッチ一つで設定できますし、多少材料の分量が違っていても、火加減や調理時間を家電が判断し、調整してくれるので、誰が作っても美味しく仕上がります」(勝間和代さん)
とはいえ、最新式の家電をいきなり買い揃えるのはハードルが高いという方も多そうですが……。
「その場合は、まずは炊飯器調理にトライしてみてはどうでしょう?ネットで『炊飯器調理』を調べると、煮物やスープ、パンケーキなど、あらゆるものが作れることがわかるはずです。また、今お持ちのオーブンレンジも、あらためて説明書を読み込めば、意外な機能が見つかって、調理の幅が広がりますよ」(勝間和代さん)
さらに、毎日の掃除もAI家電で自動化。「指一本」で終えるのが、勝間流です。
「掃除は、お掃除ロボットと床拭きロボットの2台にお任せ。出かける前にセットしておけば、帰ってきたときには家中ピカピカです。ちなみに、お掃除ロボットでは取れない大きなゴミや部屋のはじっこのホコリなどは、コードレス掃除機をかけたり、使い捨てクロスで拭いています。掃除は機械に任せられるところは任せ、気づいたときにこまめにやっていれば、大した手間にはなりません」(勝間和代さん)
「家事は『こうせねばならない』という、思い込みが多いものです。そこから脱却するだけでも、大幅に時間が短縮されるはずです」と勝間さん。
「特に料理にこの『思い込み』が多いのですが、出汁の取り方もその一つ。鍋にお湯を沸かして、昆布やかつお節を入れて煮出すのがよしとされていますが、水出しでも旨味が十分に出た澄んだ出汁がとれます。さらに言えば、肉やきのこなどの旨味成分を持つ食材を組みあわせて調理をすれば、それだけで出汁の効いた美味しい料理ができるので、最近では水出しすらやっていません(笑)。
また、食材は栄養価やコスパを考慮した上で、下処理がラクなものを買うようにしています。特に野菜は、『洗う』『皮をむく』『切る』など複数の作業が発生しますから、皮むきやアクをとる必要のない食材を選ぶだけで、調理時間がかなり短縮できます。
購入する野菜を手間がかからないものに限定しても、種類は十分豊富。個人的には、『いろんなものをバランスよく……』と思い込んで、扱いにくい食材まで買う必要はないと思っています」(勝間和代さん)
洗濯も「思い込み」を捨てて、簡略化!
「『ピンチハンガーに吊るして干す』と『たたむ』を止めてみては?私は、下着や靴下などの小物類はセーターなどを干すときに使う、平干しネットに並べて干しています。ピンチハンガーに挟む手間がなく、取り込むのも非常にラクですよ。シャツやワンピースなどはハンガーで干し、乾いたらそのままクローゼットへかけるだけ。
うちでは、乾燥機にかけられるものとかけられないものを分別するために、洗濯カゴを2つ用意しています。あらかじめ仕分けておけば、洗濯機を回す際にスムーズです。たった1分程度の作業ですが、毎日の1分は1年で365分。6時間以上ものロスになるのです」(勝間和代さん)
勝間さんは「不便を感じたときこそ、家事の効率化をはかるチャンス」と言います。面倒なことでも放置せずに、解決する方法や道具を探すという行動に結びつけると、家事に大きなイノベーションが訪れるそうです。
「例えば、魚焼きグリル。ほったらかしでも調理できるので便利な機能なのですが、使った後に網や受け皿を洗うのが面倒だと敬遠していました。しかし調べてみると、網の上にミニトレーを置いて調理すれば、洗うのはトレーだけでいいと知り、早速ネットで購入。『なんて便利なんだ!』と感動しましたね。
このように不便を感じたら、インターネットで検索してみるといいですよ。自分が不便を感じていることは、大体他の人も面倒と感じていることなので、専用グッズがあったり、誰かが解決法を発明していることも多いです。ちなみに最近、パプリカの種取りが面倒くさいなぁ……と思って調べてみたら、専用グッズを発見。パプリカの種取りに苦戦していた方が他にもいたとは(笑)」(勝間和代さん)
自宅に人を招いたり、友人との会話のなかで、新たな気づきを得られることも。
「先日、友人に『ピーマンはヘタも種も食べられる』と教えてもらってびっくり。ピーマンは週に何度も使う食材なので、『もうヘタも種も取らなくていいんだ!』と嬉しい発見でした。とても小さなことですが、家事の面倒くささは、こうした小さな手間が積み重なって、大きいストレスになります。だからこそ、一つひとつの手間や不便をキャッチして、改善を重ねることが大切。結果ストレスが軽減し、大きなイノベーションが起こるのです」(勝間和代さん)
「家事の負担が少なくなれば、ますます家事の工夫ができて、時間にも余裕ができるようになりますよ。また、ロジカル化をはかれば失敗が減るため、お金のムダ遣いも減ります。ぜひ、『超ロジカル家事』によって生まれる好循環を楽しんでください」と勝間さん。
「美味しい食事を自宅で食べる」「いつも部屋が片付いている」「いつもより早くベッドに入れる」。そんな夢のような生活を簡単に実現してくれる「超ロジカル家事」は、時間に追われる女性の強い味方です。「こうするのが当たり前だから」となんとなくこなしていた家事を見直して、ストレスゼロの生活を目指しませんか?
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