人気雑貨店での勤務経験や整理収納アドバイザー1級の資格を生かし、自宅サロンや出張収納作業、講演会、雑誌・TVなど、大活躍の村上直子さん。「仕事の割合はコンサルタントとしての活動が8割。個人のお宅へ出張し、住みやすくすっきり整理収納しながら上手に飾って楽しむ『おうちリセット』をご提案するんです。力仕事ですよ!」とはじけるような笑顔が印象的です。他にも主婦検定や骨格スタイルアドバイザー、ルームスタイリスト1級など、たくさんの資格をお持ちです。
でも、意外にも資格取得の動機は「仕事にしたいという気持ちではなかったかもしれない」と振り返ります。「インテリアが好きという延長線上で、友人の家の片付けとインテリアを手伝っていたのですが、すこし経つとまたすぐに元通りになってしまう。私自身はモノが少ない方だったので問題はなかったのですが、住む人のライフスタイルによって、収納が合ってないと使いづらいということを感じました。そこで整理収納をしっかり学んでみようと、整理収納アドバイザー2級の講座を試しに受講してみたんです」
すると、大きな発見があったのだとか。「講義をしてくださった先生のお話に衝撃を受けたんです。ご家族のために過ごしやすく愛情あふれる家づくりをする先生のエピソードを聞いて、『素直に夫と子どもが大好きと言える人生を送るって、なんて幸せなことなんだろう』と感動しました。それまではモノが外から見えないように隠して整然と片付けるのがかっこいいインテリアだと思っていたのが、家族の持ち物を大切にして、みんなが暮らしやすいよう動線を考え、整理する方向へ転換しました」
例えば、以前ならパパの持ち物は一箇所にまとめてしまっていたけれど、よく見るとパパは帰宅するとまず腕時計を外して手を洗い、スーツを脱いで着替え、リビングでくつろぐのが習慣。そのたびにわざわざ1階と2階を行き来する無理を強いるのではなく、パパの動線に合わせ、1階の洗面所に腕時計を置くスペースを設けるなどの工夫をすることで、パパにとっても暮らしやすい家となるのです。
子どものランドセルや通学用品も、帰宅してすぐ置けるよう、玄関近くの和室に専用クローゼットを。カラフルで細かいおもちゃも、子どもがくつろぐリビングでの置き場所を決め、洒落た収納で楽しみます。家族と住む家を自分の好みやこだわりで思い通りにする整理整頓でなく、家族にとっての住みやすさを考えながらの整理整頓を重ねるうち、「家族をよく観察するようになり、関係が変わっていきました。喧嘩が減って、そのぶんゆったりしたいい時間を一緒に過ごせるようになったんです」と、家族の関係性にも変化が生まれたそうです。
結婚や出産で、村上さんご自身も人生の大きな変化を経験されました。
「家族を持つとは、モノでも人でも『持ち物が増える』こと。人生が自分一人だけのものではなくなることで、家の中に家族の持ちものが次々と増え、家族関係やママ友関係、難題も増えていく。でも全部を握りしめたまま一生暮らせませんよね。整理整頓とは『乱れているものを整える』と『不必要なものを取り除く』の両面。私がアドバイスする整理収納とはつまり『こころの整理』なんです」
そんな村上さんの考えに共鳴したたくさんのお客様と、ずっとお付き合いされているのだそう。また、いま村上さんの出張インテリアコンサルティングに携わるスタッフの皆さんは、村上さんが整理収納アドバイザー2級講師として教えた生徒さんの中からプロになった方ばかり。「私自身、いまも主婦であり母であり、いろんな役割を持ちつつこの仕事をしているから共感をいただけているのだと思います」
村上さんは、ご自身の子育て期は「将来のために与えられた準備期間、ご褒美の時間だと思っていました」とのこと。「子育てや家事の忙しさにイライラしたり諦めたりして過ごすのではなく、家族と一緒にいられる貴重な時間を前向きに楽しめるよう、自分にできること、したいことに目を向けてほしい」と言います。
「資格取得は自分が変わるためのいいきっかけ。好きなことや夢が仕事につながるかもしれない。主婦の女性にこそ取ってもらいたい。そして、すぐに結果を求めるのではなく、続けることが大事です。子どもが成長するように、自分も変わっていける。変わるから素敵なんです。家族みんなで幸せになりたいという気持ちが芽生えたら、まず自分が変わってみると家族がついてきます」
今後は、習得したプロとしてのテクニカルな知識はもちろんのこと、これまでの実地経験で培ったコンサルティングの方法論を生かし、「例えばシニアの方へも、よりすっきり快適に暮らすためのインテリアスタイリングを提案していきたい」と、瞳を輝かせます。
「整理収納の作業は肉体労働ですし、モノを捨てる選択を迫られる時もあり、モノに思い入れのあるシニア世代にとっては、なかなかモチベーションが保ちにくいもの。初めから完璧を目指すのではなくて、最初に心が折れてしまわないよう、まずは現在の暮らしで使わないモノをひとまとめにし、目に見えるところだけでも整理整頓していくなどの、手軽で負担の少ない『スッキリ』した姿を一番初めに見せてあげるのです。するとゴールがイメージしやすくなり、また一度手に入れた『スッキリ』のおかげで、やる気も起きてくる。シニアの方にも、取り組みやすく、かつ継続しやすいできるような進め方のメソッドを作っていきたいですね」
ご自身が踏み出した一歩が、大きく素敵な実りへとつながっている村上さん。ご自宅の雰囲気と同じように、明るい居心地の良さが伝わってくるお話でした。
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