「雨が続く梅雨時や空気がジメジメする夏、日の短い冬の季節は、洗濯物が乾かず頭を悩ませますよね。なかなか乾かないと、洗濯物は溜まる一方です。いざ着たいと思った時に着られなくてショックということも……。また、洗濯物が乾くまでに時間がかかると、嫌な臭いの原因にもなるんですよ」(神崎さん)
そう困り顔で話すのは、「洗濯ハカセ」として活躍するクリーニング師の神崎健輔さん。洗濯物の嫌な臭いは、よく「雑巾のような臭い」「カビのような臭い」と表現されますが、洗濯ハカセによると、そういった洗濯物の臭いで悩んでいる方は多いそうです。一体なぜ、洗濯物が乾くまでの時間が長くなると、嫌な臭いが発生するのでしょうか?
「洗濯物の嫌な臭いの正体は、『モラクセラ菌』という雑菌が主な原因です。このモラクセラ菌が、衣服に残った皮脂などの汚れを食べながら繁殖していくことで臭いが発生します。
このモラクセラ菌は『水分』がある場所で繁殖するので、洗濯物の『水分』をコントールし、早く乾かすことができれば、雑菌の増殖を抑え、嫌な臭いを抑えることができるのです」(神崎さん)
通常、洗濯物に雑菌が増殖し、臭いが発生するタイミングは「洗濯後5~6時間」と言われているそう。ということは……!5~6時間以内に洗濯物を乾かすことができれば、雑菌が増殖しにくくなるため、嫌な臭いはほぼしなくなる、というわけです。
「洗濯物を素早く乾かすということを意識してもらえると、不快な臭いの大部分は解決できると思います」(神崎さん)
それでは早速、洗濯ハカセに、洗濯物を早く乾かすための干し方のコツを教えていただきましょう。
コツ1:洗濯物を干す場所を選ぶ
まず、洗濯物を干す時に確認してほしいのが、以下の項目です。
「5~6時間以内に洗濯物を乾かすには、これらの条件が揃った場所(環境)に干すことが重要です。外干しは、部屋干しに比べると条件がよく乾きやすいのですが、日光があまり当たらなかったり湿度の高い場所に干したりしていると、やはり乾きにくいです。
また、日光がよく当たるサンルームで干す場合も、ドアを閉めた状態で空気の流れがなければ、洗濯物はなかなか乾きません。まずは、温度、湿度、空気の流れの条件が揃った場所に、洗濯物を干すようにしましょう」(神崎さん)
コツ2:洗濯物の干し方を見直す
「洗濯物をピンチハンガーに吊るす際は、『アーチ型』になるように干すと、ランダムに干した時よりも10~30分くらい乾燥時間を短縮できます。アーチ型にすることで、衣類より放出された湿気が空気の流れに乗りやすくなり、洗濯物を早く乾かすことができるのです」(神崎さん)
「タオルであれば、短い辺を持って、ハンガーにマントをかけるように羽織らせ、(マントの)頂点の結び目を洗濯ばさみで挟みましょう。縦に長いのが不都合な場合は、横長の辺を肩がけにしても◎。こうすると、重なっている面積がほとんどなくなるので、乾きやすくなりますよ」(神崎さん)
コツ3:洗濯物の脱水の回数を増やす
「脱水の回数を増やすことで洗濯物の水分量が減るため、短時間で乾かすことができます。ただし、洗濯物にシワが寄りやすくなるため、干す際には手でパンパンと叩いて、しっかりシワやヨレを伸ばしてください。また脱水の際に、洗濯物と一緒に乾いたタオルを入れると、衣類の水分量が減るため、乾くスピードがアップしますよ」(神崎さん)
コツ4:洗濯物は太めのハンガーで干す
「細いハンガーではなく、肉厚・太めのハンガーにかけて干すのもポイント。細いハンガーだと、前と後ろの生地がくっついてしまい、風通しが悪くなってしまいます。個人的には『8の字ハンガー』もおすすめ。8の形が衣類内の空気を流れやすくするので、乾燥スピードが大幅にアップします。また、外と室内、どちらに干す場合も、ハンガーの間隔はこぶし1個分あけるようにしましょう」(神崎さん)
コツ5:洗濯物を取り込むタイミングに気を付ける
「日が落ちると湿度が上がってくるので、せっかく乾いた洗濯物がまた湿ってしまう可能性があります。また、家の光に虫が寄ってきて、洗濯物についたり卵を産んだりとデメリットがたくさん。洗濯物は、できる限り15時までに取り込むのが望ましいです」(神崎さん)
雨の日や花粉が飛び交う季節には、洗濯物を外ではなく室内で干す機会が増えますよね。最近では、防犯目的で部屋干しをする人も増えています。しかし、部屋干しは外干しに比べて洗濯物の乾きが悪く、生乾き臭が残ってしまうことも……。
「部屋干しは、太陽の熱による温度、空気の流れといった条件がないため、外干しに比べて乾きにくいんです。この自然の力をいかに擬似的につくり出せるかが、洗濯物を素早く乾かすためのポイントと言えるでしょう」(神崎さん)
部屋干しのコツ1:洗濯物を干す場所はリビングがベスト
「外干しと同じく、湿度が低く、空気の流れがより大きい場所で干すのが一番。浴室乾燥機を使うのであればお風呂場がベストですが、そうでなければ、お風呂場は湿度が高いため、あまり適していません。
リビングは、人が過ごしやすい環境になっているため、季節に関わらず、温度と湿度の条件が整っていることが多いですよね。
また私の実験では、洗濯物から床までの高さが高い方が乾きやすかったので、干す高さも工夫したいところです」(神崎さん)
部屋干しのコツ2:風は洗濯物に直接当てない
「エアコンで温度の上げ下げを行ったり、キッチンの換気扇を動かして室内の湿度を外に出したりしましょう。またサーキュレーターや扇風機を用いて、風の流れをつくるのも効果的です。
また風を当てる際は、直接洗濯物に当てるのではなく、洗濯物のやや下あたりに当てるのが正解。というのも、水分は衣類の下の部分に集まっていくため、下の空間に風を当てることで、水分を含んだ空気が入れ替わり、洗濯物が乾くスピードがアップするのです」(神崎さん)
これらの部屋干しのコツを踏まえつつ、洗濯物の干し方や脱水の回数などにも気を付ければ、部屋干しでも外干しに近い乾き具合を実現できます。
「洗濯物を素早く乾かす最大のコツは、『湿気対策』と『気温と風を味方につけること』です。この2つを考慮しながら、洗濯物の基本的な干し方を見直せば、外干しでも部屋干しでも5~6時間以内にカラッと乾かすことができますよ」(神崎さん)
天気によってはなかなか乾かない洗濯物も、少し工夫をすれば、意外とすぐに乾いてくれるもの。早く乾いてほしいのに、ただ干しているだけだった……。という方は、今回ご紹介した洗濯物を素早く乾かすコツを、ぜひ実践してみてくださいね。
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