簿記の勉強では、ざっくり言うと、会社のお金の計算をすることで、入ってくるお金(収入)と出ていくお金(支出)のルールを学びます。
例えば家庭であれば、子どもならお小遣い帳、大人なら家計簿を付けて、お小遣いや家計の状況を数字で把握しますよね。これが会社が主体になると、1年間の収入と支出を帳簿に記録し、年度末にはその記録を元に決算書を作成、さらに儲け(利益)が出れば税金を計算し、きちんと納める必要があります。お金の収支を正しく記録することが簿記の最大の目的で、その記録方法を勉強するわけです。
また簿記の勉強の過程では、経済的な知識も学びます。それにより、会社や商売の仕組みはもちろん、経済用語や世の中のお金の流れなども分かり、経済ニュースの内容を理解できるようになります。
政府は女性の社会進出を推し進めていますが、肝心の女性が自分に自信を持てなければ、それも難しいものです。そう考えた時に、社会進出や社会復帰の初めの一歩として簿記を学ぶことは、自分や家族、ひいては世の中のためにもなるかもしれません。
簿記3級では、お金を収益や費用などの分類ごとに項目分けする「勘定科目」についての勉強に多くの時間を費やしますが、この「勘定科目」がしっかりと理解できていると、家計簿で費目の選択に悩むことがありません。家計簿における費目は「お金の使い途によって分けた支出の項目」ですが、食費や水道光熱費、通信費、レジャー費、交際費など多くの費目があり、初めて家計簿をつける場合、どのように仕分けるべきか悩む方も多いでしょう。例えば、「食事代3,000円」の場合でも、以下のように費目が変わります。
家計管理の場合、「何にいくら使ったのか?」という支出の管理がとても重要になります。費目をスムーズに仕分け、会社のように数字で家計を確認する習慣が身につけば、大切なお金を雑に扱うことはなくなるでしょう。また、会社にとって収益を上げることや節税が大切なように、家計においても収入を増やすことや節税を賢く取り入れながら資産を築いていくことは大切で、簿記の勉強によってその方法も身につくでしょう。
会社の「経費」は、儲けるために必要となる支出のことを言います。例えば、商品を作るための材料費や、商品を多くの人に知ってもらうための宣伝広告費、売りさばくためのセールスマンの給与などが経費に当たります。どんなに収益を上げても、経費が多ければ利益は増えませんので、経費が少ない方が会社の利益が増えます。これを公式で書くと「収益-経費=利益」となります。
家計に置き換えると、「経費」は日々の生活を営むための支出となり、水道光熱費や食費、携帯電話の通信費などの生活費がこれにあたります。生活費が多ければ貯蓄や自由に使えるお金は減りますので、できるだけ生活費の無駄を省き、貯蓄や資産を増やすことが家計管理では求められます。
また、「経費」のことを「コスト」と言うことがありますが、車やマイホームの維持費などを「ランニングコスト」と言ったり、買った値段より高い価値をもたらすものを「コストパフォーマンスが良い(費用対効果が高い)」などと言ったりしますよね。家計管理にも、常にこの「経費=コスト」の概念を取り入れるようにしましょう。単に物の値段だけではなく、ランニングコストやコストパフォーマンスといった、さまざまな視点から商品を見ることで、自分にとっての物の正しい価値が判断でき、衝動買いによる失敗なども減らすことができるようになるでしょう。他にも、商品の材料費や宣伝広告費などがいくらくらい掛かっているのかを考える力が身につけば、営業トークやマーケティングに乗せられることなく、冷静に判断できるようになります。
「経理は企業経営の要」と言われるように、会社にとって経理は重要な業務です。成長する会社は、経理部門が強い会社であるとも言えます。そのことからも、経理に欠かせない簿記の知識が、いかに重要なものかが分かるでしょう。そして、家計管理が上手にできるか否かも、そういった知識の有無に影響を受けます。簿記の知識は、会社の成長に役立つだけではなく、家計にとっても貯蓄や資産を増やすための基礎になるため、学んでおいて損はないと言えますよ。
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