出産を控え「男の子かな、女の子かな」「名前はどうしよう」などと早くも気になってしまう人もいるでしょう。でもその前に!「お金がいくらかかるか?」を忘れてはいけません。出産のためにはどれくらいの費用がかかるのか確認してみましょう。
1. 出産するまでの通院費(交通費)
出産するのは、できる限り自宅に近い分べん機関がいいでしょう。妊婦健診以外にも、パパママ学級や歯科検診、体調が悪い時の通院などにも、毎回交通費がかかります。
電車やバスなど公共の交通機関を使った通院費、陣痛が来て出産のために分べん機関に行く場合のタクシー代なども、確定申告の医療費控除が適用できます。領収書などをとっておくといいでしょう。
2. 出産のための帰省費用(里帰り出産の場合)
里帰り出産は、帰省先の分べん機関への分べん予約が必要です。また妊娠判明時に現住所で分べん機関を選ぶ際には、分べん無しで妊婦健診が可能な分べん機関か確認します。
出産は何があるかわかりません。特に飛行機は、出産予定日が近いと妊婦の搭乗に医師の診断書や同乗が必要な場合があります。里帰り出産を決意次第、早めに手配しましょう。飛行機や新幹線は、早めに予約することで、早割で安く乗れることもあります。
3. 妊婦健診費用
妊婦健診(健康保険適用外)を受けると、健診1回につき実費で3,000円から2万円以上(分べん機関ごとに異なる)の費用がかかります。ただし、ほとんどの自治体が母子手帳とともに交付する妊婦健診の受診券を使えばかなり補助されます。
受診券の合計額や適用範囲などは自治体ごとに異なりますが、全国平均額は年々増加傾向で、平成28年度は10万2,097円でした。受診券の使い勝手にもよりますが、無料から最高でも約18万円あれば、すべての妊婦健診が受けられます。
また里帰り出産の場合、出産後に現住所で受診券の現金払い戻しができる自治体も多いので、問い合わせてみてください。
4. 出産費用
自然分べん(健康保険)は分べん機関により開きがありますが、約40万円~約75万円。無痛分べんは自然分べん費用に約1万円~約20万円上乗せされます。帝王切開が約50万円~約75万円。いずれも、通常出産育児一時金42万円との差額を支払います。出産前に予約金(約1万円~約30万円)が必要な分べん機関もあります。
自然分べんの平均的な出産費用は、都道府県によって大きく異なります。自己負担額は、最も安い鳥取県だと出産育児一時金の42万円から平均的出産費用の39万8,130円を差し引いた2万1,870円を平均的に受け取り、最も高い東京都だと平均的出産費用の58万6,000円から出産育児一時金の42万円を差し引いた16万6,000円を平均的に支払っています。
また分べん機関によっても出産費用が大きく異なるので、たとえば73万円(入院費15万円、室料差額13万1,000円、分娩料36万、新生児管理保育料6万円、産科医療補償制度1万6,000円、検査料5,000円 処置・手当8,000円)の出産費用がかかった場合は、31万円も自己負担する必要があります。妊婦健診を受ける前に、出産費用について電話やメールなどで病院に確認しておくといいでしょう。
5. 切迫早産や合併症などの診察費・入院費
体調が悪くなり妊婦健診以外に分べん機関に行くと、受診券は使えず1回ごとに診察費がかかります。
妊娠中毒、合併症などで入院が長引いた場合は、出産費用に月約20万円~約30万円の入院費用が上乗せされます。1日長引くと1万円かかると見込んでおいたほうがいいでしょう。事前に入院がわかっている場合は、限度額適用申請書を健康保険なら健保組合(または協会けんぽ)、国保なら市区町村役場に申請しておきましょう。
ただし、健康保険が使えるので自己負担は3割、民間の医療保険に入っていれば給付金が支給されることもあります。
6. ママや新生児に必要な身の回りのものの費用
ママのマタニティ服や子どもの生活用品は、新品をそろえていくと10万円以上かかることもあります。好みにもよるのですが、ママのマタニティ服も子どもの生活用品も百貨店などで買うより、ベビー用品専門店などで買うほうが安く経済的です。出歩くのが大変ならネットショップも良いのですが、試着できないのでサイズは注意して!
これらの生活用品は親戚やお友達のツテで譲り受ければ無料です。幼稚園、保育園、子育て広場のバザーなども活用すると、数十円、数百円で手に入ることがありますし、レンタルでも用意できます。
こうして見ると、出産を控える家庭が準備しなければいけないお金は、やはりたくさんありますね。
出産するともらえるお金があることをご存知ですか?退職してももらえる一時金と、勤務を続けていることが条件でもらえる3つの給付金をご紹介します。
1. 出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険なら健保組合(または協会けんぽ)、国保なら市区町村役場へ申請します。支給額は子供1人につき42万円(産科医療補償保険料3万円込)です。出産した本人が扶養されている場合は、家族出産育児一時金です。
2. 出産手当金
妊娠しても勤務を続けている人や、退職後の出産でも要件を満たしていれば、健康保険から出産手当金が支給されます。たとえば、産前12ヵ月の給与を12等分した額が25万円だと、産前産後の休業日数に応じて25万円÷30日×2/3×最長98日(最高54万円)の額が支給されます。
3. 育児休業給付金
出産後も勤務を続ける人には、雇用保険から育児休業給付金があります。たとえば、月給25万円で子どもが1歳に達するまで休業した場合、合計約150万円まで(25万円×6ヵ月×67%+4ヵ月×50%)が2ヵ月ごとに分割して支給されます。パートでも要件を満たせば支給されます。
育児休業給付金は、入園申請をしているのに子どもが認可保育園に入れなかったとき、最長2歳に達するまで(給与25万円の場合、最高約300万円=25万円×6ヵ月×67%+16ヵ月×50%)支給されます。
出産直前になってお金のことが心配になるとストレスですよね。出産にかかる費用は早めに把握し、家計から積み立てしておくことをおすすめします。
出産後はよりお金を貯めづらくなります。毎月一定額を貯金していても、子どもを考えた時点でさらに1万円毎月の積立額を増やしましょう。
もう1つ、子どもを考えた時点で女性(妻)が医療保険に入ることも検討しましょう。妊娠してからの医療保険加入では、帝王切開で負担する医療費や切迫早産の入院費などは保障されません。妊娠する一定期間前に加入すれば、ミニ保険で帝王切開の場合だけでなく、普通分べん費用まで保障してくれるものもありますよ。
乳幼児医療費助成の対象年齢は、自治体によって3歳から22歳までと開きがあります。
このほか公的給付では、子供1人につき、3歳までは一律で月額1万5,000円、3歳~小学校修了前は第1・2子は月額1万円、第3子以降は月額1万5,000円、中学生~18歳に到達する日以降の最初の3月末までは一律で月額1万円(保護者の所得制限あり)の児童手当があります。シングルマザー・ファザーは児童手当の他、児童扶養手当(平成29年度価額は保護者の所得額に応じて子ども1人の場合月額42,290円から9,980円まで)があり、ひとり親家庭等医療費支給もあります。
地縁や血縁の他にも、自治体のサポート度合いによって子育てする場所を決めるのもいいでしょう。まずはHPを確認するところから始めてみませんか。
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