「モノが散らかって部屋が汚い」「どうしても整理整頓ができない……」など、片付けに悩む方は多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが、「片付けたくなる部屋づくり」です。
「『片付けたくなる部屋づくり』とは、『よし、片付けるぞ!』と意気込まなくても、自然とモノが片付いていくような環境を整えること。実践すれば、いつでもすっきり片付いた部屋を保てますよ」
そう話すのは、整理収納コンサルタントとして活躍する本多さおりさん。使いやすさを優先した、等身大の収納スタイルが人気です。本多さんいわく、「片付けたくなる部屋づくり」のコツは、頭を使わず、自然な動きで片付けられる収納にあるそうです。具体的には、どのような収納なのでしょうか?
「『頭を使わない』というのは、収納場所を明確にするということです。モノの『住所』が決まっていないと、毎回戻す場所を考えないといけないですよね。すると、片付けを面倒に感じて、つい放置してしまいます。モノの住所が決まっていれば、使ったら元に戻すことを徹底するだけで自然に片付きます。また、使いたい時に『あれ~、どこだっけ?』と探したり、しまう場所に困って出したままになったりすることもありません」(本多さおりさん)
そして「自然な動き」とは、モノを取り出してから戻すまでのアクションや、出し入れする姿勢に負担が少ないということ。
「扉を開けて、引き出しを開けて、箱を開けて……など、アクション数が増えれば増えるほど、片付けは複雑になります。また、よく使うモノなのに、背伸びをしたりかがんだりして出し入れする必要があると、元に戻すのが面倒で、放置する原因になります。アクション数や姿勢に気を配って収納場所を決めると、生活の中に自然と片付けが組み込めるようになりますよ」(本多さおりさん)
それでは早速、「片付けたくなる部屋」のアイデアがギュッと詰まった本多さんのご自宅を例に、具体的な収納のコツを教えていただきましょう♪
収納のコツ1:一歩も動かないのが一番ラク!「0歩収納」
「人がモノを取る時に一番ラクなのは、『その場を離れず、姿勢はそのまま』。立っているなら立ったまま、座っているなら座ったままで、モノを取れるのが理想です。私はダイニングテーブルで仕事をしているのですが、文具は壁に設置した棚から、座ったままで取っています。すぐに手が届く場所や、姿勢に負担がかからない場所に収納すれば、元に戻すのもラクなのできれいな状態が継続します」(本多さおりさん)
収納のコツ2:毎日使う超一軍は「吊るし収納」
「使うところの近くや動線に沿った場所に、フック1つで収納場所を作れるのが、吊るし収納のいいところです。我が家ではダイニングテーブルの自分の席の後ろにフックを設置して、いつも使うバッグをスタンバイさせています。帰宅後は自分の席で中身を出し、テーブル近くの棚に戻しているので、バッグの位置もここが便利なんです!」(本多さおりさん)
「キッチンでは、レンジフードにマグネットフックを付けて、毎日使うツール類とまな板を吊り下げています。空中は風通しがよく、自然に水切りと乾燥ができるので、クロスで拭く手間も省けます。接地面がないので、衛生的なのもメリットですね」(本多さおりさん)
収納のコツ3:かがまなくても取れる「扉裏収納」
「扉裏は、扉を開けた時に自分の方に出てくるので、立ったまま出し入れできる絶好の収納場所です。我が家では調理台下の扉裏にフックを付け、ざるバットや保存容器のふたを吊るしています。扉裏の収納は、吊るすモノの形状に合わせてフックをレイアウトするので、モノに専用の住所を与えることができます。『これはここかな?』などと毎回考えなくていいので、ラクに片付けられるようになりますよ」(本多さおりさん)
収納のコツ4:サッと取り出せて、サッと戻せる「オープン収納」
「オープン収納は、扉を開け閉めする必要がなく、取るのも戻すのもワンアクション。毎日何回も使うモノを収納すれば、生活の動線が劇的にスムーズに。我が家ではシンク背面のラック上段に、デイリー使いの食器を置いています。快適に出し戻しができるので、自然と食器が定位置に置かれていきます」(本多さおりさん)
最後に、収納を考える時に大切なことを教えていただきました。
1:「整理」→「収納」の手順を踏む
「整理とは仕分けのことです。まずは同じ種類(例:衣類、キッチン用品など)のモノをすべて出し、属性別(例:カットソー、シャツ、スカート、パンツなど)に仕分けをした後、さらに『使用頻度が高いか、低いか』『要るのか、要らないのか』などの条件で分類しましょう。そうして、要らないものは処分した上で、今何をどれだけ持っているのかを把握します。その後に、モノに一つひとつ住所を与え、使いやすく収納していく、という流れが正解です。
整理を飛ばしていきなり収納すると、モノの量や使用頻度を把握できないため、『何となく』モノを収めてしまいがち。そうした『理由のない収納』では、一瞬きれいに片付いても、すぐにリバウンドしてしまいます。『動線に沿った場所にある』『同類のモノがひとまとめになっている』というように、『片付けたくなる』には、収められているモノが『そこにある意味』を持っていることが大切です」(本多さおりさん)
2:今の暮らしにフィットするよう、収納も日々アップデート
「『これが片付けたくなる収納だ!』と、その時のベストな収納をしても、趣味は変わり、子どもは育ち、暮らしは変化を続けます。ちょっとした不便やストレスを感じたら改善のチャンスととらえ、収納のアップデートを続けましょう。今の暮らしにフィットした収納を心がければ、無理なくきれいが長続きするものです」(本多さおりさん)
3:「美しく収納すること」が正解ではない
「生活感を隠すために、同じ種類の白いケースを隙間なく並べたり、よく使うモノを見えないところにしまったり……。そうした収納は、見た目は確かに美しいですが、モノの存在が見えにくくなり、扉やふたを開けるなど出し入れのアクション数も増えるため、片付けを日常的に続ける障害になっている場合があります。少し見た目が悪くなってしまっても、生活に合わせた収納のほうが片付けやすくなりますよ」(本多さおりさん)
ベビーベッドの側面を活用して、子どもグッズを収納。
見た目はごちゃごちゃしていても、毎日のお世話はぐんとラクに!
本多さんいわく、部屋が片付かない原因は「収納の仕組み」にあり。どんな人でも、収納がその人の「生活」「使用頻度」「スペース」に合っていれば、サッと片付く部屋がつくれるとのことです。未来の自分が快適に過ごせるように、あなたも早速、「片付けたくなる部屋づくり」を実践してみませんか?
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