季節の変わり目に風邪をひいたり、なんだかだるかったり。「気温の変化に体がついていかない」とよく言いますが、その不調、本当に気温の変化のせいだけでしょうか?
「慢性的にだるい」「そんなに食べていないはずなのに太りやすい」といった体調不良やダイエットの悩み、「理由もなくイライラする」「つい、マイナス思考になってしまう」といった心の悩みは、体の中からのSOSサインかも……!
今回お話を伺う木下あおいさんは、女性が体の中からキレイになるための食生活を提案する「インナービューティープランナー」。管理栄養士の経験から培われた確かな栄養学に基づき、ダイエットや冷え、むくみなど、女性ならではの悩みに寄りそう食生活を提案しています。
木下さんが提案する食生活が目指すのは、まず「腸」の環境を整えること。その理由について伺いました。
「実は、体の不調は腸のコンディションと直結しているんです。腸は、食べものを消化・吸収する臓器。毎日の食事の質がそのまま影響し、腸内環境をつくります。腸が整っていないと、せっかく栄養があるものを食べても効果は半減してしまうので、健康美を手に入れたかったら、まずは食べるものを見直し、『美腸』をつくりましょう!」(木下さん)
腸を整えることが、健康美を手に入れるいちばんの近道だとおっしゃる木下さん。その理論は、ご自身の経験から培われたものなのだとか。
「私が管理栄養士の勉強をしていた頃、学校では食物の栄養素やカロリー、調理方法などをみっちり勉強していたのに、あまり自分の食生活には活かせていなかったんです。勉強が忙しくて、家ではコンビニごはんだったり、見た目のかわいさ重視でメイクやファッションばかりに時間を使っていたり……。見た目200%!!っていう生活でしたね(笑)。いつも自分の容姿を人と比べて、友だちの幸せを素直に喜べなかったり、なんだかむしゃくしゃしたりしてしまう自分が好きになれずにいました」(木下さん)
そんな頃、マクロビオティック(玄米や野菜・海藻を中心に、季節の食材をまるごと食べる食事とその調理法)の料理教室に行ったことが、その後の木下さんを大きく変えるきっかけになったそうです。
「マクロビオティックに基づくシンプルな食生活を実践しているうちに、体調が少しずつ変わっていくのを実感できました。肌の調子が整ったり、たっぷり食べても体重がキープできたり。何より驚きだったのが、食生活を改善したことで、以前のように落ち込んだり、イライラしたりすることがなくなったんです」(木下さん)
食生活の改善による体調の変化について身をもって実感した木下さんは、管理栄養士としての知見を生かし、その理由も含めて理論的に勉強を深めていきました。
「食べ物の質を見直すことで、まず変わるのが腸のコンディションです。具体的には、お通じが良くなり、新陳代謝がアップする。いらないものを体の中に溜め込まない『デトックス体質』になるので、むくみや太りやすいといった、女性ならではの不調が改善されるんです。
また、体調を整えるために欠かせない免疫細胞の70%は、健康な腸に存在すると言われています。さらに、幸せホルモンと言われる『セロトニン』は、腸で9割以上つくられるという研究結果もあります。そして、健全な免疫細胞やセロトニンの合成が高まると、脳にもプラスの刺激があると言われているんです。腸内環境が整うことで、気持ちが穏やかになり、怒りにくくなったり、イライラしなくなったりするという効果も期待できるんですよ」(木下さん)
※参考文献:高畑宗明著『自分史上最高の腸になる!腸で酵素をつくる習慣』(朝日新聞出版社)、『「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない』(講談社+α新書)
ご自身の経験から、腸内環境を整え「インナービューティー」を磨くための食生活を提案する木下さんのクッキングサロンは、またたく間に大人気に。「食生活を変えたら体調が変わった!」という声が後を絶たず、全国から健康美を求める女性が集まっているそうです。
「美腸」をつくる食材をたっぷり摂れる、おすすめレシピを特別に教えていただきました!木下さんの美腸レシピは「時短&シンプル」もポリシー。食べることは毎日のことなので、料理をしたことのない人や、忙しい女性でも作れて、美味しいことが第一なのだそう。
「美腸レシピで実践して欲しいことはふたつ。ひとつ目は『発酵食品を摂る』こと。味噌や納豆、麹など、日本に昔から伝わる食材や調味料を活用しましょう。ふたつ目は『旬の野菜をカラフルに取り入れる』こと。野菜には、美腸をつくるために欠かせない食物繊維がたっぷり含まれますが、毎日の食生活で野菜を摂るのってなかなか難しいですよね。コツは、あまり難しく考えずに、旬の野菜を彩りよくそろえること。例えば緑の野菜は若々しい体を保つビタミン・ミネラルが豊富だったり、赤やオレンジの野菜は免疫力を高めるビタミンAが豊富だったり……。食材がカラフルになることで、自然と栄養バランスが整うんですよ」(木下さん)
木下さんおすすめ!「美腸食材&美腸レシピ」
美腸食材その1:玉ねぎ
玉ねぎには、腸の健康を保つ「善玉菌」を増やす、オリゴ糖がたっぷり含まれるため、健康な腸をつくるためにぜひ食べたい食材。調理法は、玉ねぎの甘味を引き出す「ウォータースチーム」がおすすめです。ウォータースチームは、小量の水で野菜をゆっくり低温加熱する調理法で、栄養が損なわれず、さらに食材本来のうまみがぎゅっと引き出されます。
玉ねぎのおすすめ美腸レシピ!「玉ねぎとひじきの簡単スチーム」
くし形切りにした玉ねぎ1個と、水で戻したひじき適量を鍋に入れ、水大さじ2を加え蓋をして弱火にかける。コトコトと音がする状態を保ちながら7~8分煮て、塩で味を整える。盛りつけて黒ごまを散らす。
美腸食材その2:玄米
精白していない玄米は、腸内環境をキレイにする食物繊維の宝庫です。疲労回復に効果的なビタミンB1はなんと白米の約8倍!また、もちもちとして噛みごたえがあるため、小量でも満足感が得られます。
玄米のおすすめ美腸レシピ!「しょうゆ麹の玄米おにぎり」
しょうゆ100mlと乾燥麹100gを混ぜ合わせる。ふやけたらさらにしょうゆを適量(麹がほぐれるくらいの量)加え、1日1回混ぜながら冷蔵庫で10日保存する。でき上がったしょうゆ麹を玄米おにぎりに添える。玄米に雑穀を加えると、より栄養バランスが高まります。
美腸食材その3:にんじん
にんじんには、免疫力を高めるビタミンAが豊富。「玉ねぎのレシピ」で紹介したウォータースチームの調理法で、栄養を損なわずに仕上げるのがポイントです。良質な亜麻仁油と組み合わせると、栄養の吸収率がアップします!
にんじんのおすすめ美腸レシピ!「にんじんときのこのしょうゆ麹蒸し」
食べやすい大きさの薄切りにしたにんじん1本、乱切りにしたきのこ(適量)を鍋に入れ、水大さじ2を加えて、蓋をして弱火にかける。コトコトと音がする状態を保ちながら7~8分煮たら、盛りつけてしょうゆ麹(作り方は「玄米のレシピ」で紹介)を添える。
美腸食材その4:納豆
ねばねば食材は美腸づくりの強い味方!特に発酵食品でもある納豆は、毎日でも食べたい美腸食材です。丈夫な腸をつくるために欠かせない、良質なたんぱく質が摂れるのも嬉しいポイント。
納豆のおすすめ美腸レシピ!「納豆と青菜のおろし和え」
納豆にひと口大に切った好みの青菜(写真ではほうれんそう。えぐみが気になる場合は、熱湯でさっと茹で、水を切る)を加え、しょうゆ少々を加えて混ぜたら、大根おろしを添える。ビタミン豊富な青菜と納豆の組み合わせがぴったり!大根おろしは消化力を高めます。小松菜や水菜でも美味しい。
美腸食材その5:海藻
わかめやひじきなどの海藻には、腸内環境を整える水溶性食物繊維が豊富です。カロリーも非常に少なく、お腹の中で膨らむので、美腸をつくりながら体重を落としたい方は、ぜひ献立に取り入れましょう。
海藻のおすすめ美腸レシピ!「わかめの具だくさんスープ」
乾燥わかめ、カットしいたけを器に入れ、お湯を注ぐ。乾燥わかめには塩分が含まれるためそのままでも美味しいが、お好みでしょうゆや味噌で味を整えてもOK。塩分が気になる方は、しょうゆや味噌のかわりに黒酢を使ってもOK。
いかがでしたか?今回ご紹介した美腸レシピは、どれも簡単に作れて、腸のコンディションを整える栄養素がたっぷり含まれるものばかりです。今日からさっそく実践してみてくださいね。そして最後に、木下さんからのメッセージをご紹介します。
「体は食べ物でつくられます。難しい知識がなくても大丈夫なので、まずは2ヵ月、ご紹介した美腸レシピを作って食べてみてください。体と心が変わるのを実感できるはずですよ。
私のサロンの生徒さんたちも、体と心の変化を実感して『もっと学びたい!』と通い続けている女性ばかりです。あなたも良い変化を実感できたら、体の中からキレイになれるインナービューティーの知識を、どんどん学んでみてください」(木下さん)
まずは毎日の食生活を見直すことから始めて、季節の変わり目の体調不良を防ぎましょう。そして、美腸レシピをきっかけに、食と体の関わりへの興味が高まったら、食生活アドバイザー®や管理栄養士の資格取得を目指してみるのもおすすめです。
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