日差しを浴びることで、肌や髪などに大きなダメージを与える紫外線。「紫外線対策は、夏場だけしていれば大丈夫!」と思っている方も多いのではないでしょうか?「実はその考えは大きな間違いなんです」と指摘するのは、管理栄養士で美容アドバイザーとしても活動する豊田愛魅さん。
「実は、紫外線には『UVA』と『UVB』という2つの種類があります。多くの方が意識している、夏場に多い紫外線が『UVB』で、地上に届く全紫外線の5%ほどがこれにあたります。量は少ないのですが、肌への刺激が強いのが特徴で、主に肌表面で吸収され、肌がやけどのように赤くなったり、メラニン色素が沈着して褐色になったりします。その後、シミやそばかすの原因にもなります」(豊田愛魅さん)
一方、全紫外線の95%ほどを占め、1年中多いといわれているのが『UVA』。肌の表面に目に見える分かりやすいダメージを与える『UVB』に対して、『UVA』は肌の内側にジワジワとダメージを与え、日焼けやシミ、そばかす、さらにはシワの原因にもなるそうです。
「秋冬など油断しがちな季節も、『UVA』を浴びているので紫外線対策は重要です。しかも、この『UVA』は雲やガラスなどで防ぐことができないため、曇りや雨の日、さらには屋内にいても、知らず知らずのうちに浴びてしまっています。
肌の表面にダメージを与える『UVB』に対して、『UVA』は肌の奥の真皮にあるコラーゲンにジワジワとダメージを与えて破壊してしまうので、日焼けやシミ、そばかすの原因になるのはもちろん、シワやたるみの原因にもなります。それを防ぐためにも、通年で紫外線対策をすることが大切です」(豊田愛魅さん)
そんな1年中気を付けたい紫外線への対策として、積極的に摂りたい食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか?効果的な食べ物とその摂り方を教えていただきました。
「紫外線のダメージによって体の中にできるのが活性酸素。この活性酸素が肌を酸化させ、錆びさせてしまう原因になります。さらに活性酸素は、メラニンを刺激して肌を黒くしたり、シミやシワ、たるみに繋がったりするんです。ですから、活性酸素による肌の酸化を防ぐ、抗酸化作用のある栄養素を含む食べ物を摂るのが、予防にはおすすめです」(豊田愛魅さん)
豊田さんが「特に積極的に摂って欲しい」と言う栄養素と、それらを含む食べ物はこちら!
ビタミンACE
まとめてビタミンACE(エース)と呼ばれることもある、ビタミンA・C・E。それぞれの効果や、含む食べ物を詳しく解説します。
ビタミンA
体内でビタミンAに変換されるβカロテンは、かぼちゃやにんじんに多く含まれています。抗酸化作用の他、肌の乾燥を防ぐ効果もあります。
ビタミンC
抗酸化作用があるだけではなく、メラニンの生成を抑え、さらにコラーゲンの補修もしてくれる、肌にとっては重要な栄養素です。柑橘類に多く含まれると思っている方が多いですが、実はサツマイモやジャガイモなどのイモ類、またはパプリカの方が、含有量が多くおすすめです。ビタミンCは熱で壊れやすいですが、イモ類は糖質に、パプリカはビタミンPという別の物質に守られているため、ビタミンCが壊れにくいのが特徴。そのため、焼いたり煮込んだりと、さまざまな調理法で摂ることができます。
レモンやオレンジなどの柑橘類で摂ろうとする方も多いかもしれませんが、柑橘類に含まれるソラレンという物質には、紫外線を吸収しやすくする成分が含まれているので注意が必要です。朝外出する前に柑橘系の果物を使ったスムージーを飲むと、日焼けしやすくなる可能性があるので気を付けましょう。
ビタミンE
豆類やナッツ類、玄米などに多く含まれる栄養素です。抗酸化作用の他に、血液の循環を良くする働きもあるので、肌に栄養を届かせる効果も。ビタミンCには酸化されたビタミンEを還元する効果があるので、ビタミンEとビタミンCを一緒に摂ることで、ビタミンEの効果を長続きさせることができます。
リコピン
トマトに多く含まれるリコピンも、抗酸化作用のある栄養素。効率良く摂りたいなら、生よりもトマトジュースやトマトケチャップなどの加工品で摂るのがおすすめです。油に溶ける性質があるので、ドレッシングや煮込み料理などにすると吸収率がアップします。またリコピンの吸収率には、摂取するまでの絶食時間の長さが関係しているという研究結果があり、朝に摂ることで吸収が良くなると考えられるので、朝食に取り入れるのがおすすめです。
その他にも、ブルーベリーや赤ワインなどに含まれるアントシアニンや、大豆のイソフラボン、お茶のカテキンなどの「ファイトケミカル」と呼ばれる栄養素を含んだ食べ物を摂るのもおすすめです。ファイトケミカルとは、植物が、紫外線や虫などの植物にとって有害なものから身を守るためにつくり出す、色素や香り、苦味、ネバネバ成分などで、抗酸化力や免疫力のアップをサポートしてくれる注目の栄養素です。
うっかり日焼けしてしまった時の対処法についても押さえておきたいところですよね。そこで、日焼け後のダメージを抑えるのに効果的な食べ物についても教えていただきました。
「基本的には予防のための食べ物と一緒ですが、なかでもビタミンCは、特に意識して摂るといいと思います。ビタミンCはメラニンの沈着を抑えるだけではなく、できてしまったメラニン色素も淡色化するので、シミを薄くする効果も期待できます」(豊田愛魅さん)
もちろん、ビタミンCを多く含む野菜や果物で摂るのが理想的ですが、もしも難しい場合は、ビタミンCのサプリメントで摂ってもOKとのこと。ただし、サプリメントやドリンクタイプのものには、必要な栄養素以外のものも含まれている場合があります。特に糖質は、老化を促進するなど肌に良くない影響を与えるので、糖質が含まれていないものを選ぶなど、注意が必要です。
「また、お酒は日焼け後には控えてください。お酒のアルコールを分解するために多くのエネルギーや栄養素を必要とするため、日焼け後の肌の修復機能を妨げてしまうからです。また、お酒には日焼けしやすくなる効果があると言われているので、日焼けを気にするなら屋外でお酒を飲むのはやめた方がいいですね。他にも、日焼けに関わらず肌に良くないと言われる、人工甘味料や防腐剤、保存料などにも気を付けるといいと思います」(豊田愛魅さん)
ご紹介したように、紫外線のダメージを防いで肌を良い状態で保つためには、食べ物に気を付けることがとても重要です。
「食べることだけではなく、食べるタイミングなども大切なことがお分かりいただけたかと思います。食材や栄養素についての正しい知識を身につければ、紫外線対策も上手にできますよ。
ただし、紫外線が気になるからといって、気にし過ぎは禁物です。全く日に当たらないと、骨をつくるビタミンDが不足してしまうこともあるので、1日15分程度は日の光を浴びるように心がけましょう」(豊田愛魅さん)
あなたもぜひ、紫外線対策に効果的な食べ物の知識を身につけて、正しい紫外線対策を実践してくださいね。
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