「節約彩りLIFE*大事に着るコーデ」というブログをやっている、ぽこりんママです。節約しながらおいしい料理を作ることをモットーに、日々いろいろなメニューに挑戦してブログで紹介しています。今は仕事をしながら二人の子どもを育てているんですが、仕事から帰って夕食を作るのって大変なんですよね。でも、家族のためにおいしい料理を作りたいし……。そんなふうに節約とか時短とかを考えているうちに、「食材を冷凍保存すればいいのでは!」と思い付きました。自分でもアレコレ試行錯誤を重ねていますが、今回、「冷凍王子」として活躍されている西川剛史さんに、冷凍テクニックを教わるチャンスが! 早速お話を伺いました。
「どうして西川さんは冷凍王子と呼ばれているのだろう?」と気になったので聞いてみたところ、「いや、特に理由はないんですが(笑)」との答えが。大学時代から食品について学び、卒業後は冷凍食品会社で商品開発に携わり、今は「冷凍生活アドバイザー」としてテレビや雑誌などでも活躍されていて、いつの間にか冷凍王子と呼ばれるようになったそうです。西川さんは、冷凍のどんなところに魅力を感じているのでしょう?
「冷凍の魅力っていっぱいあるんです。一つめは、食材をムダにすることなく、食べたい時に食べられることですね。二つめは、調理の時短に繋がることです。食材をカットしたり下味を付けたりして冷凍すれば、解凍後の調理時間が短くて済みます。また、野菜の多くは冷凍すると繊維が崩れやすくなるので、火の通りが早くなって時短に繋がるんです。例えば、煮えるのに時間がかかる大根も、冷凍したものを使えば早く柔らかくなりますよ」(西川剛史さん)
まさに節約と時短に繋がるのが、冷凍の大きな魅力なんですね。主婦にとってはうれしい限りです。
「他にも魅力はあります。きのこや貝類などは、冷凍することで、なんと、うまみ成分がアップします。また、素材によっては、一度冷凍したものを解凍することで、違った食感が楽しめるものもあります。例えば、豆腐は弾力が出ますし、卵の黄身は独特のトロリ感が出ます。長芋はネバネバがフワフワになりますし……。ぜひ試してみてください」(西川剛史さん)
あっ、私も一度冷凍した豆腐を使ってハンバーグを作ったりしています。他にもいろいろな食材で試してみると、違った食感が楽しめそう!それに、冷凍するとうまみがアップする食材もあるなんて驚きです。食材の冷凍って奥が深いんですね!
私が知らない冷凍の魅力をたくさん知っている西川さん。早速、食材の冷凍について、いろいろなテクニックを教えてもらいました。
冷凍の基本ルール
ルール1:鮮度のよい状態で冷凍する
「食材をおいしく冷凍するための、一番大事なルールです。冷蔵庫で食材が傷みそうになってから冷凍しようとする方が多いですが、それはNG。特に生鮮品は時間とともに味がどんどん落ちていくので、買ってきた日もしくはその翌日に使わない食材は、できるだけ早めに冷凍しましょう」
ルール2:空気に触れないようにする
「冷凍室は非常に乾燥しているので、裸のまま食材を入れると水分がどんどん抜け、乾いて味が落ちてしまいます。食材はラップでしっかり包むかジッパー付きの保存袋に入れ、空気をきちんと抜いて冷凍室へ入れましょう。ベストはラップ+保存袋です。
スーパーで買ってきたトレー入りの肉や魚をそのまま冷凍室へ入れる方が多いですが、これは避けてください。蒸発した肉の水分が凍り、霜となって食材に付着して、解凍時に解けて水っぽくなってしまいます」
ルール3:薄く平らにして冷凍する
「食材はできるだけ早く凍結させることが大事です。そのためには、食材をできるだけ薄く広げて冷凍しましょう。そうすることで均一に凍結できて、解凍時間の短縮にもなります。食材の厚みが均一でないと、冷凍&解凍ムラが出てしまいます」
肉の冷凍テクニック
「解凍後の用途が決まっていない場合の冷凍方法と、用途が決まっていて下味を付けておく場合の冷凍方法をご紹介します。
牛豚鶏肉いずれにも活用できる冷凍方法ですが、ひき肉は例外です。ひき肉は酸化しやすく、冷凍にはあまり向きません。もしも生のまま冷凍する場合は、しっかり密封することに、特に気を配ってください。できればハンバーグなど、タネの状態にして冷凍しましょう」
そのまま冷凍
「一回で使い切れる量に小分けして、ラップでぴったり包み、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍します。冷凍前に塩を振って少し置き、出てきた水分をペーパータオルで拭き取ってから冷凍すると、肉が締まって食感がアップしますよ」
下味を付けて冷凍
「あらかじめ味を付けて冷凍すると、調味液で肉の表面がコーティングされて乾燥を防ぐことができますし、調理時間の短縮にも繋がります。なお、糖分には保水作用があるので、みりんや砂糖、はちみつなどを調味液に加えると、調理した時に肉がパサつかず、しっとり仕上がります」
魚介の冷凍テクニック
「魚介は身が柔らかく、凍らせると味や食感が落ちやすい食材です。素材によって冷凍方法を使い分け、おいしさを保ちましょう。切り身魚については、ここで紹介する冷凍方法の他に、肉と同じく下味を付けて冷凍する方法もおすすめです」
水に浸す「グレージング冷凍」……(適している魚介)一尾魚、貝類、殻付きのえび
「冷凍可能な保存容器に食材を入れ、食材がかぶる量の真水を加えて冷凍します。水に浸した冷凍方法は、食材が空気に触れず、酸化を防ぐことができます。一尾魚は内臓を取らず、そのまま水に浸けましょう」
軽く塩を振って冷凍……(適している魚介)切り身魚
「塩を振り、出てきた水分をペーパータオルで拭き取ってから冷凍します。このひと手間で身が締まり、解凍時にうまみ成分の流出を少なく抑えられます」
そのまま冷凍……(適している魚介)たこ、いか
「食べやすい大きさに切り、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍しましょう」
野菜の冷凍テクニック
「それぞれの野菜の味や食感が生かせる方法を3つご紹介します。そのままでは冷凍しにくいものも、下茹でしたり下味を付けたりすると上手く冷凍できます」
そのまま冷凍
「トマト、きのこ、玉ねぎ、ピーマン、キャベツ、ねぎ、しょうがなどに向いています。使いやすくカットしてから冷凍すると、調理の時にラクです」
下茹でしてから冷凍
「ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜は、生のまま冷凍すると食感が悪くなり、色も黒ずんでしまいがちなので、さっと塩ゆでして冷凍しましょう。里芋、かぼちゃ、大根も、下茹でした方が食感が損なわれません」
下味を付けて冷凍
「きゅうりやにんじんは、そのまま冷凍すると食感が悪くなります。きゅうりは塩もみし、にんじんは下味を付けて冷凍しましょう」
果物の冷凍テクニック
「凍らせた果物は、解凍時に水分が抜けやすく、生のときのような食感には戻りません。そこで、いっそ凍ったまま、生とは違うシャーベットのような食感を楽しんでみましょう。ヨーグルトのトッピングなどにも、もってこいです」
冷凍の基本ルールやいろいろな食材の冷凍テクニックを教わり、自分の中で冷凍の知識がどんどん増えていくことを実感。ちなみに「冷凍した食材はどれくらい持つのですか?」と聞いてみたところ、「家庭の冷凍室で保存したものは、1ヵ月を目安に食べ切りましょう」との答えが。また、冷凍室の扉を頻繁に開け閉めすると温度変化が激しくなり、食材が傷みやすくなるそうです。気を付けないといけないですね。さて、「おいしく冷凍したら、おいしく解凍したい!」ということで、解凍のテクニックも教えてもらいました。
おすすめの解凍テクニック
「食材の解凍方法にはいろいろありますが、できるだけ避けたいのが電子レンジでの解凍です。電子レンジでは、食材を均一に解凍するのが難しく、ムラが出てしまいます。そこで、私が特におすすめする解凍方法は次の2つです」
肉や魚は氷水解凍
「大きめのボールにたっぷりの氷と水を入れて、冷凍した食材を保存袋に入れたまま沈めます。低い温度で早く解凍できるので、うまみ成分の流出を少なく抑えられます」
野菜は加熱解凍
「凍った野菜はそのまま調理に使い、高めの温度でさっと加熱すると水っぽくなりません。ただし、冷凍前に下茹でしたものは、加熱を控えめにしましょう」
普段の料理作りに取り入れてみたい、たくさんの冷凍&解凍テクニックを教わり、「早速やってみたい!」と西川さんに伝えると、冷凍食材を使ったレシピを教えていただけました。西川さんのレクチャーを受けて作った4つの料理の感想を、レシピとともにレポートします。
ボンゴレビアンコ
材料(2人分)
あさりの冷凍方法
あさり(殻付き・砂抜きしたもの)は、殻を擦り合わせるようにしてよく洗う。保存容器(冷凍可能なもの)に入れ、あさりがひたひたになるくらいの水を入れてふたをし、冷凍室でしっかり凍らせる。
作り方
コメント
あさりの冷凍って、これまで考えたこともありませんでしたが、とても簡単にできるんですね。実際に作ってみたところ、あさりは冷凍したとは思えないほどジューシー!うまみがキープされていて、本格的な味わいでした。
きのこのピリ辛おつまみ
材料(2人分)
きのこの冷凍方法
きのこは石づきを取り、使いやすい大きさにしてざっくりと混ぜ合わせる。ジッパー付きの保存袋に平らになるように入れて、空気を抜いて口を閉じ、冷凍室で凍らせる。
作り方
フライパンにバターを熱し、きのこを凍ったまま入れて炒める。火が通ったらしょうゆを加えて、塩、こしょう各適宜で味を調え、一味唐辛子を振る。
コメント
冷凍きのこミックスって、いろいろな料理に重宝しそう!今回は、私のオリジナルレシピでおつまみを作ってみました。教えてもらったように、冷凍することできのこのうまみがアップしたみたい!?「いつもよりおいしい!」って、夫にも喜ばれました。
キャロットラぺ
材料(作りやすい分量)
にんじんの冷凍方法
にんじんは皮をむき、6㎝長さの細切りにする。ボールに入れて塩小さじ1を振ってもみ、なじませる。オリーブオイルとレモン汁を加えてよく混ぜる。ジッパー付きの保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じる。平らにして冷凍室で凍らせる。
作り方
にんじんは保存袋に入れたまま流水解凍する。袋から取り出してボールに入れ、缶汁をきったツナを加えてあえる。器に盛り、好みでパセリのみじん切りを散らす。
コメント
にんじんの上手な冷凍術を生かした、西川さんのキャロットラペのレシピ。今回は子どもの好きなツナを足してみました。オリーブオイルとレモン汁であえてから冷凍したにんじんは、切りたてのようなシャキシャキ感!味もしっかりなじんでいて家族に大好評でした。冷凍室に常備しておけば、さっと一品プラスできますね。
焼きりんごのひとくちパイ
材料(2人分)
りんごの冷凍方法
りんごはよく洗い、8等分のくし形に切り、芯を取る。それぞれをラップで包み、ジッパー付きの保存袋に入れて、空気を抜いて口を閉じる。冷凍室で凍らせる。
作り方
コメント
西川さんの焼きりんごレシピを実践。「冷凍りんごは繊維が崩れやすく、火にかけると短時間で柔らかくなる」という言葉通り、火の通りが早かったです。できた焼きりんごを、私流にアップルパイにしてみました。わが家のおやつの定番になりそうです!
西川さんに正しい冷凍保存の方法を教わり、おいしいレシピを実践してみて、冷凍についてのイメージがガラッと変わりました。これまでは、「冷凍って便利だけど、味が落ちてしまいがち……」と思っていたんです。でも、基本ルールを守り、食材に合った冷凍方法を選べば、食材をムダにせず、節約しながら、いつでも質のいい食材を使って料理が作れるんだなと実感しました。
これからは、いろいろな冷凍メニューを常備菜として取り入れ、忙しい日もおいしく栄養バランスの取れた食事が楽しめるように、西川さんの冷凍術を実践していきたいです!
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