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2017.11.08

野菜の達人が伝授する、知って得する野菜の常識10選

野菜の達人が伝授する、知って得する野菜の常識10選

素材にこだわるレストランから信頼を得ている、レストラン専門青果店「築地御厨(つきじみくりや)」。野菜の達人である店主の内田悟さんに、野菜の「味わい」「目利き」「保存方法」から美味しい食べ方まで、知って得する野菜の常識をお伺いしました。

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野菜のことならこの方!野菜の達人・内田悟さんが、あなたに伝授します。

野菜のことならこの方!野菜の達人・内田悟さんが、あなたに伝授します。

野菜の達人である内田さんは、大学生の時、ホテルのレストランでアルバイトをしたことがきっかけで、料理に興味を持ち始めました。その後、八百屋を手伝うことがあり、野菜の生産者の方々と会ううちに野菜の奥深さに魅せられ、26歳の時に青果卸業の道に入ります。以来36年もの長きにわたって野菜と向き合ってきた経験を活かし、今では野菜についての知識を、講演や書籍などで紹介する活動をされています。

今回は、そんな野菜の達人である内田さんに伺った、知って得する10個の野菜の常識を、「味わい」「目利き」「保存方法」に分けてご紹介します。

野菜の「味わい」にまつわる常識

野菜の「味わい」にまつわる常識

常識1:時期によって野菜の切り方を変えると、味が変わる!

野菜には春夏秋冬の旬がありますが、その中にさらに「走り」「盛り」「名残」というものがあります。
「走り」は野菜の出始めの時期で、みずみずしいのが特長です。導管と呼ばれる水分を吸い上げる管が細く、これを断ち切ると野菜がストレスを感じてアクが出やすくなります。そのため、「走り」の時期の野菜は、繊維にそって縦切りにするのがよいでしょう。
やがて、一番の旬の時期である「盛り」となり、野菜の風味や味わいが濃厚になっていきます。この時期の野菜はアクが出にくいので、どのような切り方でも構いません。
「名残」は旬の終わり頃のことで、この時期になると、野菜は次世代に種を残そうと皮が張って水分が減り硬くなるので、輪切りや乱切りがおすすめです。アクが出にくいので、繊維を断ち切っても大丈夫です。

常識2:緑の野菜は、淡い色のものを選ぼう!

緑の野菜は、色の濃い方が美味しそう……というイメージがありませんか?しかし、「僕なら断然、緑の淡い野菜を選びます」と内田さん。なぜなら緑の淡い野菜は、乾燥や紫外線、またさまざまな病害から自分の身を守るための、「クチクラ層」と呼ばれる、野菜の表面を覆う膜がしっかりと作られているからです。これは、きちんと細胞分裂が行われていて、味わいの深い野菜である証拠なのです。

常識3:虫がつく野菜が美味しいとは限らない

虫は美味しい野菜に寄ってくると思われがちですが、実は野菜そのものに寄ってくるのではなく、肥料成分に寄ってくることが多いです。ですから、「虫がつく野菜=美味しい」とは一概には言えません。

常識4:キャベツは春ではなく、冬が一番美味しい!

野菜の旬は、野菜の原産地と深い関係があります。キャベツは、原産地がヨーロッパの大西洋沿岸や地中海沿岸で、寒い時期に収穫される野菜です。ですから、キャベツの旬は冬なのです。
冬のキャベツは葉がしっかりと巻きこまれ、寒風にさらされるので甘みが凝縮します。一方、春キャベツは柔らかく、えぐみも少ないので生食にはおすすめですが、キャベツ本来の甘さという点では、旬である冬のキャベツの方が美味しいのです。

常識5:根菜、芋類は低温でじっくり火を通す!

秋に旬を迎えるジャガイモ、サツマイモやレンコンなどのでんぷん質をもつ根菜、芋類は、低めの温度でゆっくり加熱することで、でんぷん質が糖化し、甘みを引き出すことができます。水から茹で、沸騰直前で火を弱め、さらに80℃ぐらいの低温でじっくり火を通すと、水っぽくならず、濃厚な口当たりになります。

常識6:ナスのヘタやピーマンの種、捨てていませんか?

「盛り」を迎えたナスのヘタは、先端の軸の部分を切り落とすだけで、他の部分は食べることができます。また、「走り」の時期のピーマンの種はまだ柔らかく栄養価も高いので、種を取らずに丸ごとソテーして食べるのがおすすめです。

野菜の達人が伝授する、知って得する野菜の常識10選

野菜の「目利き」にまつわる常識

野菜の「目利き」にまつわる常識

常識7:野菜の原産地を知れば、旬の時期や特性がわかる

「常識4」でもお伝えしましたが、野菜本来の原産地・原産国を知れば、その野菜が好む気候や旬などを知ることができます。
例えば、トマトの原産地域は南米アンデスの山岳地帯と言われており、雨量が少なく乾燥し、朝晩の寒暖差が大きい荒れ地です。それを日本の気候に当てはめると春になるため、トマトがもっとも美味しくなる旬は春なのです。野菜の目利きには、原産地や原産国はとても重要なポイントになります。

常識8:野菜の特性には季節ごとの傾向がある!

春は苦味がある(菜の花や山菜類など)、夏は水分が多い(ナスやキュウリなど)、秋は繊維質が多い(レンコンやゴボウなどの根菜類など)、冬は葉をしっかり巻いて甘みがある(キャベツや白菜など)など、野菜の特性には季節ごとの傾向があります。1つ1つの野菜の特性を覚えていなくても、その野菜の旬の季節を知っていれば、野菜の味わいが判断でき、目利きに役立ちます。

野菜の「保存方法」にまつわる常識

野菜の「保存方法」にまつわる常識

常識9:冷蔵庫で保存する場合は、新聞紙に包むといい!

野菜の鮮度を保つ秘訣は「保湿」です。冷蔵庫の中は意外と乾燥しているので、そのまま入れると野菜の水分が蒸発してしまい、鮮度が保てません。ですから、冷蔵庫で保存する場合は空気に触れないように新聞紙に包んで保湿してください。
ただし、原産地が熱帯地方のジャガイモ、玉ねぎ、カボチャなどは、低温に弱く低温障害を起こすため、冷蔵保存は避けましょう。

常識10:立てて冷蔵庫に保存しなくてもいい!

アスパラなど土から真っ直ぐ生えているものや、大根やニンジンなど土の中で真っ直ぐ育つものは、立てて冷蔵庫に保存する方が長持ちすると思っている方も多いのではないでしょうか?実は、収穫した時点で成長は止まるので、立てて保存する必要はありません。新聞紙に包み、横に寝かせて保存すればOKです。
大根やニンジンに葉っぱが付いている場合は、葉に栄養が取られてしまうので、早めに切って保存しましょう。

野菜の「味わい」を引き出す、ひと工夫のレシピ紹介!

野菜の「味わい」を引き出す、ひと工夫のレシピ紹介!

キノコと玉ねぎを使った、「キノコたっぷり♪玉ねぎのマリネ」のレシピを、内田さんに紹介していただきました。

家庭でも常備野菜として活躍する玉ねぎですが、中央アジアを原産地とする玉ねぎの本来の旬は秋です。旬を迎えた玉ねぎは熱を加えることで甘みが引き出されます。スーパーで選ぶ時は形が丸く、全体が硬く締まっていて先端部分がよく枯れているものを選びましょう。

そしてもうひとつの食材、秋の味覚代表のキノコは、切り方がポイントです。キノコは傘の裏の胞子部分を傷つけると、味や風味が飛んでしまうので、胞子部分と包丁の接触は避けてください。水洗いも胞子が流れてしまうのでやめましょう。濡らしたキッチンペーパーで軽く汚れを落としてあげれば大丈夫です。また、キノコは調理をすると収縮するので繊維にそって切るようにしましょう。シメジやマイタケなどは優しく手で裂き、マッシュルームなど手で裂きにくいものは、傘を上にして包丁を引いて切るとよいでしょう。

野菜の達人が伝授する、知って得する野菜の常識10選

キノコたっぷり♪玉ねぎのマリネ

野菜の達人が伝授する、知って得する野菜の常識10選

材料(4人分)

  • お好みのキノコ……800g
  • 玉ねぎ……1個
  • ニンニク……4片
  • 唐辛子……1本
  • オリーブオイル……大さじ4
  • 水……大さじ3~4
  • 塩……少々
  • ブラックペッパー……少々
  • パセリ……適量
  • A:醤油……大さじ4
  • A:赤ワインビネガーもしくは純米酢……大さじ4
  • A:みりん……大さじ4
  • A:水……50ml

作り方

  • 1:スライスした玉ねぎを飴色になるまで炒めておきます。
  • 2:スライスしたニンニクと唐辛子を、弱火でじっくり、オリーブオイルで炒めて、ニンニクオイルを作ります。
  • 3:あらかじめ作っておいた調味液と、「1」と「2」を混ぜ合わせます。
  • 4:熱したフライパンにキノコを入れ、キノコの香りが立ち焼き色が付いたら、フライパンをあおって裏返し、全体に焼き色を付けます。キノコは何度もかき回さないのがポイント。塩とブラックペッパーを加えて味を調え、水大さじ3~4を入れて、水分がなくなるまで火にかけます。
  • 5:温かいうちに「A」の調味液に漬けて、しばらく置いたら完成です。

野菜の常識を知れば、より一層、野菜が好きになる!

野菜の常識を知れば、より一層、野菜が好きになる!

「旬の野菜を食べることは、みずみずしい自然の生命力を自分の体内に取り入れることだと考えています。そして、それは人間の命の根源でもあり、とても幸せを感じられることだと思うのです。」そう野菜について熱く語ってくださった内田さん。

スーパーなどでは、さまざまな野菜を一年中購入することができるため、野菜の旬がわからなくなってしまいがちですが、野菜本来の旬や原産地を意識し、野菜の「味わい」「目利き」「保存方法」をしっかり学べば、より一層、野菜を美味しくいただくことができます。今回ご紹介した野菜の常識も、ぜひ毎日の食生活に取り入れてみてくださいね。

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プロフィール
内田悟(うちださとる)さん
内田悟(うちださとる)さん
築地御厨(つきじみくりや)店主。26歳より23年間青果納品業に勤務した後、築地場内の仲卸店で有機無農薬野菜コーナーを立ち上げ、2005年東京中央区にレストラン専門青果店『築地御厨』を創業し、信頼できる青果店として評判を呼ぶ。一般消費者にも野菜と向き合ってほしいと、無料の「やさい塾」を開講し、野菜の目利きとして、テレビ、雑誌などでも活躍中。
著書紹介
ニッポンの地方野菜
定価:本体2160円+税
発行:KADOKAWA/角川学芸出版
 

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