今回お話を伺ったのは、15年以上にわたり、留学コンサルタントとして多くの方々の海外留学のサポートに携わってきた、豊田圭一さん。まずは、最近の海外留学事情についてお尋ねしました。
「海外留学事情は、この20年ほどでだいぶ変わりましたね。端的に言うと、残念ながら留学することで得られる力が、以前よりつきにくくなったと考えています。
その理由の1つとして、まずは『テクノロジーの発展』が挙げられます。2005年頃から、SNSの発達によって、海外にいても日本と変わらないような環境になってしまいました。FacebookやLINEで、いつでも日本語でつながっていられるし、毎朝『おはよう』も言える。何か調べようと思ったら、すぐに日本語で検索もできますよね。海外であっても、部屋の中にいたら、日本とほとんど変わりません。
また、『ホスピタリティ(サービス)の向上』も理由の1つです。海外留学先に日本語の話せるスタッフがいて、全部サポートしてくれる、それはいいことなんですけど、全部お膳立てしてくれる状況では、人はなかなか成長できません。そういう環境がなかった当時は、現地の環境に直接向き合うしかなく、何か問題が起こったら自分で解決しようと必死だったんです。そういう意味で、『サバイブする力』はつきにくくなったと言えるでしょう。
だからといって、海外留学をする意義がないかと言ったら、決してそんなことはありません。現地に行かなければ得られないことはたくさんあるので、やはり私は海外留学を強くオススメしたいですね」(豊田さん)
社会人に海外留学をオススメする理由としては、どんなものが挙げられますか。
「『語学力』はもちろんですが、それ以外にも身につくものは多くあります。どのくらいの期間滞在するかにもよりますが……例えば、海外留学は基本的に一人で行くものなので、主体的に行動せざるをえないですよね。今、多くの企業が求めている人材は、まさに主体的に考えたり行動したりして成果を出せる人なので、海外留学によって身につく『主体性』は、仕事に十分活かせるのではないかと考えています。
また、グローバル社会において求められる人材像としては、『視野が広いこと』が挙げられます。海外留学で現地に行けば、その場所に興味がわき、関係するニュースは、もはや他人事ではなくなりますよね。そういった興味がだんだんと結びついて、その人の視野が広がっていくわけです。人を成長させる最初のステップは好奇心ですから、異文化に対する興味を持つことができ、視野が広がるという点でも、私は海外留学をオススメします」(豊田さん)
海外留学をすることの意義はわかりましたが、長期間の休みがとりにくい社会人は、どうしたらいいのでしょうか。豊田さんは、「例え1週間でも留学する意義は十分にある」とおっしゃいます。
「残念ながら、1週間で語学のスキルが一気にあがるなんてことはありません。しかし、気づきや学び、刺激を受けるために行くことこそ、重要だと考えています。海外留学から帰ってきてから、『もっと語学の勉強を頑張ろう』と思えたり、その土地のことに興味がわいて視野が広がったり……。そして、もう一度行きたいと感じたなら、何度でも行けばいいじゃないですか。日本人は『海外留学』=『若い人が行くもの』『一生に一度行くもの』と捉えている方が多い印象ですが、そんな決まりは1つもないんですよ」(豊田さん)
最後に、海外留学を考えている社会人の方に対して、力強いメッセージをいただきました。
「初めて海外留学に行く人は、まずは自分の行ってみたいところ、興味のあるところに行くのがいいでしょう。事前の下調べの段階や、留学先選びで悩んでいる方もいるかもしれませんが、まずは悩んでいないで、どんなに短期間でもいいから『とにかく行くしかない』っていう状況を作ってほしいですね。海外留学は経験を積む有効な手段です。経験があれば人は成長できますし、ちょっとでも好奇心があるなら、とりあえず行動を起こしてみてください」(豊田さん)
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