長い年月住んでいると、フローリングの色は自然と濃くなってくるもの。しかし、お掃除のプロフェッショナル・藤原千秋さんによると、部分的に黒ずんでいる場合は、汚れが原因のことが多いのだとか。
「フローリングが部分的に黒ずんでいる場合は、油っぽい汚れが原因のことが多いですね。リビングや寝室なら足の裏の皮脂、キッチンなら料理の時に出る油煙などが原因だと考えられます」(藤原さん)
その他にも、ホコリや泥・砂などの汚れ、ジュースや食べ物などをこぼした汚れなど、さまざまな原因があるそうです。それでは、フローリングの中で特に黒ずみやすいのは、どんな場所でしょうか。
「リビングであれば、よく通る動線上や、いつも座っている場所が黒ずみやすいです。キッチンであれば、コンロやシンクの前ですね。また、ベランダなどへの出入り口も黒ずみやすいので、チェックしてみてください」(藤原さん)
そして、黒ずみをお掃除する前に確認しておきたいのが、家のフローリングがどんな素材でできているかです。例えば、ひと口に「木材」と言っても、生木の無垢材でできているもの、薄い板を貼り合わせた合板のものなど、たくさんの種類があります。
「最近のほとんどのご家庭のフローリングは、合板製ではないでしょうか。木によく似たデザインの塩ビ製もあり、フローリングの種類によって、お掃除の方法も変わってきます。持ち家の場合は床の仕様書を見たり、賃貸なら不動産会社などに聞いたりして、フローリングの素材を確認してみましょう」(藤原さん)
家に住み始める時、ハウスメーカーなどに「木が傷むので、フローリングの水拭きはしないように」と言われた経験はありませんか?藤原さんは「その指示を守って、何年もフローリングの水拭きをしたことがないという方も多いようです。でも、それは絶対ではないと思います」と指摘します。
例えば、床にジュースなどをこぼした時は、水で拭き取っているのではないでしょうか。それが原因で、すぐにフローリングが傷んでしまうということはなさそうです。
「水拭きはダメだからと、から拭きだけでフローリングをお掃除しようとすると、汚れやニオイが落ちにくいです。上手に水拭きすれば、本当にきれいになるんですよ。もちろん、フローリングを極力傷めず大事にしたいというのも一つの考え方ですが、何を優先して暮らすか、ご自身が心地いいと思う方を選んでいただきたいですね」(藤原さん)
それでは、フローリングにできるだけダメージを与えず、水拭きでお掃除するにはどうすればいいのでしょうか。
フローリングの内部まで水を入れない
「フローリングの奥にまで水分が入ってしまうと、水を含んだ板が反って変形する可能性があります。特に、生木の無垢材など、繊細な素材は要注意です。表面が自然塗料や油分でコーティングされていると剥離してしまうこともあるので、十分に注意しましょう」(藤原さん)
水をしっかり絞れる掃除道具を使う
「びしょびしょの雑巾や、水気を絞りにくいモップなどはもちろん厳禁。水拭きの時に使いたいのは、薄くて扱いやすい布です。水で濡らして固く絞り、時間を掛けずに一気に拭き終えましょう。できれば、拭き掃除の時に換気をして、拭いた後ですぐに乾かすといいですね」(藤原さん)
こんな道具がおすすめ!
ユーキャンの「お掃除スペシャリスト講座(道具付きコース)」では、教材としてお掃除9点セットが付いてきます。その中の、「綿ドビー織りふきん」は、水をしっかり絞りやすく、フローリングの水拭きにぴったりです。サイズも大きいので、汚れたらたたみ直してキレイな面を出し、いっぺんに広い面積を拭き上げることができます。
汚れによる黒ずみは、水拭きでだいぶ落とせて、裸足で歩いてもスッキリ!月に何度か、フローリングの気になるところを水拭きすれば、気持ちよく過ごせるでしょう。水拭きであれば洗剤を使わないので、赤ちゃんやペットのいるご家庭でも安心です。しかし、キッチンの床のベタベタなど、水拭きだけでは落ちにくい油汚れはどうすればいいのでしょうか?
「油によるフローリングのしつこい黒ずみは、薄めた中性洗剤か、『セスキ炭酸ソーダ』など弱アルカリ性の洗剤を併用した方がさらにスッキリします」(藤原さん)
生木の無垢材は、アルカリ性洗剤でも傷みやすいので、注意が必要だそうです。また、「どんなフローリングであっても、カビ取り剤や消毒用エタノール、有機溶剤は避けて」と言う藤原さん。表面のコーティングが剥げたり、白濁したりする恐れがあるためです。
こんな道具がオススメ!
キッチンの塩ビタイプのフローリングなど、傷があまり気にならない素材なら、前述のお掃除9点セットの「緑パッド」を使って軽くこすってもいいですね。頑固な油汚れを落としやすくなります。
いつまでも新築のフローリングの状態をキープすることは難しいものです。年月が経つにつれて、徐々に色が濃くなり傷も付いて、その家ごとのエイジングの味わいが感じられます。今まで、木が傷むかもしれないという理由で、フローリングの水拭きを我慢していたなら、一度トライしてみるのもいいかもしれません。
「お掃除の一番の目的は、住んでいる人が気持ちよく過ごせることです。フローリングの水拭きは、簡単でキレイになるので、きっと驚くと思いますよ」(藤原さん)
正しいお掃除の方法で黒ずみを解消して、キレイでスッキリとしたフローリングにしてみませんか?
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