こまごまとした器具に調味料、かさばる鍋やフライパン……限られたスペースに大小さまざまなアイテムが集まるキッチンは、どうしてもごちゃごちゃしてしまいがち。うまく整理して片付けておきたいけれど、戸棚に全てをしまえるスぺースはないし、しまえたとしても使い勝手が悪くなってしまうことも(涙)。そんな悩みを解決できるのが、「見せるキッチン収納」なんです。
「『見せるキッチン収納』とは、よく使うモノをインテリアの一部として、飾るようにしまう収納のこと。扉がないラックやオープン棚、壁面などを利用し、出し入れのしやすさに配慮しながら収納します。そして、収納するモノやディスプレイを工夫して、見た目を好みのテイストに整えていくんです」
そう話すのは、整理収納アドバイザー1級の資格を持つ、人気インスタグラマーのサチさん。3児の母にも関わらず、いつもすっきりした暮らしをされています。
そんなサチさんのキッチンは、まるでカフェのよう!食器や調理道具が、雑貨店のディスプレイのようにおしゃれに並んでいます。サチさんによると、「見せるキッチン収納」にはメリットがたくさんあるそうです。
「必要なモノがすぐ見つかりますし、戸や扉がなくダイレクトに取り出せるので、スムーズに作業ができるようになります。また何より、気に入ったデザインの愛用の道具が視界にあると心が和むというか……眺めてうっとりするようなスペースに整えることで、キッチンに立つのが楽しくなりますよ」(サチさん)
キッチンは、毎日長い時間を過ごす場所だけに、家事のモチベーションが上がるような空間にしたいもの。次の章では、「見せるキッチン収納」のコツやアイデアを教えていただきましょう♪
「見せるキッチン収納」のコツは、「テーマカラー」「アイテム選び」と「見せる・隠すのバランス」にあり!
コツ1:テーマカラーを決める
「まずは、キッチン全体のテーマカラーを意識することが大切です。テーマカラーを統一することで、出しておくモノの数が多くても見た目が雑然とせずに、おしゃれな印象をキープできます。ちなみに、我が家は『黒・シルバー・木の色』を基調にし、アースカラーをプラスして、空間にアクセントを加えています」
コツ2:ルックスのよい道具を厳選する
「美しい道具や食器・家電は、インテリアの構成要素になり、置いておくだけでも絵になるもの。『見せる収納』をするアイテムは、デザイン重視で候補を絞った後に、『使い勝手・機能面』を考慮して選ぶといいですね」
コツ3:「見せる・隠すのバランス」が大事
「使いやすくおしゃれなキッチンは、『見せる』と『隠す』のバランスが決め手。たくさんモノを並べ過ぎると、ごちゃごちゃして空間のイメージを壊してしまいますし、かといってモノをしまい過ぎると、キッチンの使い勝手が悪くなってしまいます。ベースは隠す収納にして、ディスプレイするアイテムは、使用頻度の高いモノやお気に入りの食器・道具に限定しましょう」
コツが分かったところで、実際のサチさんのキッチンを拝見!おしゃれで使いやすい収納アイデアはもちろん、道具を選ぶときの基準も参考にしてみましょう。
収納アイデア1:よく使う食器や鍋は、オープン棚に飾る
「キッチン背面にあるオープン棚は、振り返ればすぐに手が届く、いわば『収納の一等地』。作業の効率に直結する場所なので、本当によく使うデイリー使いの食器を中心にレイアウトしています。
我が家の場合、リビングの扉を開けると最初に視界に入る場所でもあるので、デザイン性の高い雑貨を並べ、『視線』も意識した収納に。引き出しと比べて風通しがいいので、食器などは洗った後にサッと拭く程度で清潔さが保てるところもお気に入りなんです(笑)」
収納アイデア2:出しっぱなしでも絵になる、素敵なカゴを活用
「日に何度も使うような動きのあるモノは、出しっぱなしが便利。デザインにこだわった素敵なカゴに収納するだけで、おしゃれに収まります。
我が家では、コーヒー関係のモノをまとめて、カゴに収納しています。一つ一つは細かなアイテムですが、カゴという枠の中に入ってるので、雑然とした雰囲気になりにくくておすすめです」
収納アイデア3:カゴやボックスは、3個以上均等に並べる
「細々した中身の違うモノでも、カゴやボックスを揃えると整った印象に。同じ容器を3個以上並べて連続性を持たせると、リズムが生まれてサマになります。ちなみに、容器の数を奇数にすると、バランスよく見えますよ。
我が家では、キッチン背面ボードのオープン部分に、木のカゴを並べています。中には、根菜や保存袋などを収納。リビングからは見えませんが、キッチンで働く私の気分が上がります(笑)」
収納アイデア4:ごちゃごちゃ代表のキッチンツールは、引き出し内に個室をつくる
「素材も大きさもばらばらなツール類は、雑然とした印象になりがち。それらはあえて見せずに、引き出し内に収納するとすっきり隠せるので、キッチンの雰囲気が変化しますよ。
我が家では、カトラリーケースを使ってアイテムごとに収納しています。完全な個室ではないですが、何がどこにあるのかひと目で分かるようになりました」
収納アイデア5:死角になる場所は、とことん「取り出しやすさ」を優先!
「パントリーや冷蔵庫の側面など、見えない場所は『取り出しやすさ』を徹底しましょう。
我が家では、キッチン横にある1畳のパントリーに、食品だけでなく、書類、掃除道具、レジ袋、子供グッズなど、いろいろなモノを収めています。サイドの壁面もフル活用し、キッチンではごちゃごちゃした印象になりやすいので極力避けている『引っ掛け収納』も多用しています。こうした裏方的な働きをする部分があると、見せる収納により力を入れることができますよ」
最後に、「見せるキッチン収納」を実践するメリットについて、詳しく教えていただきました。
メリット1: 作業がしやすく、家事の効率がアップ
「キッチンでは、毎日たくさんのモノを取り出しては片付けます。その繰り返しです。そこで『見せる収納』を実践すれば、扉や引き出しを開け閉めする手間が省けるので、家事の効率がよくなるんです。
また、よく使う道具が見えるところにあるので、段取りがイメージしやすくなり調理もスムーズに。あれこれモノを探す手間もなくなりますよ」
サチさん家の晩ご飯。調理の時間はわずか20分程度とのこと
メリット2:すっきりした空間が保てる
「愛着の湧く素敵な道具を飾ったり、好みのテイストに整えたりすることで、すっきりした空間への意識を高く保てるようになります。キッチンを使った後も『元の状態に戻したい!』と掃除のスイッチが入りやすく、クリーンに保ち続けることができますよ」
メリット3:キッチンに立つのが楽しくなる
「キッチンの見た目を好みのテイストにしたり、愛用する道具を身近に感じられたりしたら、台所仕事が楽しくなるはず。料理のやる気もアップするかもしれません(笑)」
「工夫次第で、見違えるように機能的で素敵なキッチンになりますよ」とサチさん。見た目と使い勝手を兼ね揃えたキッチンにすれば、家事を楽にテキパキとこなせ、キッチンに立つ時間も楽しくなるはず。見えているのに雑多ではない、隠されていないので使いやすい、そんな「見せるキッチン収納」を実践しませんか。
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