一口に草食系男子と言っても、もちろんひとくくりで「こういう人」と決めつけることはできません。しかし、草食系男子に共通する傾向はあります。草食系だと自認するダイチさん(28歳)が、自己分析をしてくれました。
「『男性だから女性をリードしなくちゃいけない』というプレッシャーはイヤなんですよね。むしろ一緒に手を取り合って歩いていきたいと思っています。実際、今僕が付き合っている彼女はたくましいので、何かあったら守ってくれるのは彼女のほう(笑)。でも僕は、彼女の人間関係での悩みなどを聞いて共感して一緒に解決していったりする。それぞれのよさを伸ばそうとするのが、いい恋愛なんじゃないかな」
従来の男性らしさ、女性らしさ、それぞれの役割にとらわれないのが「草食系男子」との恋愛のいいところ。「そのほうが気が楽」という女性も少なくないでしょう。
そんな草食系男子を好きになったら、ごく自然に近づいていくのがいいようです。草食系と呼ばれる男性と付き合っているカオリさん(29歳)は、出会ってから半年ほどは友だちとして付き合っていたそうです。
「ふたりきりで会っても友だちと一緒に会っても、彼はいつも変わらない。私に好意を持ってくれているのはわかったけれど、友だち以上なのかどうかはわからなかったんです。でも焦らず、彼をよく観察していました。ある日グループで会ったとき、彼の様子がいつもと少し違っていた。だから彼がトイレに立ったのを見てさりげなく後を追い、『何かあった?』と尋ねたんです。そこから彼との距離がぐっと近づきました」
やはり自分を気遣ってくれるのが嬉しかったのでしょう。そこから彼は、プライベートな話をカオリさんにするようになり、部屋に呼んでくれて付き合うことになったそう。
「草食系男子は、自分から積極的には迫ってこないので、こちらがタイミングを見計らって近づくのがいいみたいです。私の友人も、彼の趣味に興味を持っていろいろ聞いているうちに、恋愛関係になったと言っていました。さりげなく彼の世界にするっと入っていけるかどうかが鍵かもしれません」
草食系男子は、自分から巧みに言葉を操って、女性を口説こうとはしません。むしろお互いの気持ちを尊重し、気が合ったら付き合おうという自然なスタンスが目立ちます。同じく草食系男子だと自認するユウタさん(30歳)は、「他人から見たらわかりにくいかもしれないけど、好きな女性に脈ありサインは出している」と言います。
「嫌われたくないし浮くのもイヤだから控えめだけど……。好きな女性には、他の女性に対するより少しは言葉数が多いし、プライベートなことも聞き出そうとします。たとえば『休みの日に何をしているの』というのはみんなに聞くけど、そこから掘り下げて聞くのは好きな女性に対してだけですね」
グループで会っているときは、つい好きな女性を見る回数も増えるとか。ただ、やはりこれもかなり控えめな脈ありサインなので、女性は見逃さないように気を付けなければいけませんね。
これはどんなカップルにも言えることですが、「付き合う」ことが目的ではありません。付き合ってから、ふたりがどうやって、ふたりならではの関係を構築していくことができるかが大事。草食系男子と呼ばれる人たちは、付き合うと決めたら彼女との関係を非常に大切にするようです。ただ、ふたりの性格があまりに違い過ぎると、そこで問題が起こることも。
「僕が以前付き合った子は、とにかく社交的で人と集まるのが大好き。僕はむしろふたりきりの時間を大切にしたかったんですが、毎週末、クラブやパーティに駆り出されました。彼女のことが好きだったので最初は我慢していましたが、『今度の週末はふたりでまったりしようよ』と言っても、『私はあなたをみんなに自慢したいの』と。何度かそういうことがあって、『僕はあなたのアクセサリーじゃないから』と別れを告げました」
ユウタさんはそう言います。ユウタさん、見た目もかっこいいので女性からすれば「自慢したい彼」でしょうが、彼自身がそういう付き合いを望んでいなかったので、長続きはしなかったようです。
草食系男子と付き合っているというユミさん(31歳)は、穏やかな笑みを浮かべてこう話します。
「私も、最初のうちは彼の消極的な面を見ると『だから草食系男子は……』なんて言っていたんです。ところが彼の猛抗議を受けて、そういう言い方はやめました。草食系も肉食系も関係ない。私は彼と付き合うことを望んだのだから、彼というひとりの人間をきちんと見ていかなくてはいけないと思って。そういうことも彼が教えてくれたんですよね」
大切なのは「ふたりの関係」です。ちょっと頼りないけど、優しくて人の気持ちに敏感な彼と、これからも楽しく付き合っていきたいそうです。
目の前の人を個人として、先入観なく見て付き合っていく。それが、草食系男子と付き合う上で、いちばん大事なことなのかもしれません。
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