昔から、虫除け対策としてさまざまなハーブが使われています。代表的なものの1つが、蚊取り線香の成分である除虫菊(シロバナムシヨケギク)。胚珠の部分に「ピレスロイド」という虫除け成分を含んでいます。また、月桂樹を米びつの中に入れたり、虫が嫌がる香りのある木で家具を作ったりすることも、よくある防虫手法です。
ハーブの利点は、効能が複数にわたること。虫除け以外にも、殺菌・抗菌・消臭効果を併せ持つものもあります。自然界のものなので、市販の化学薬品などに比べて人体への影響が少ないという点も魅力の1つです。ただし、植物アレルギーがある方や、種類によって使用方法を注意しなければいけないものもあります。
ハーブを虫除けとして使う場合は、栽培しているプランターをただ置いておくだけでなく、スプレーやドライハーブに加工すると、虫が嫌がる香りが強くなって忌避効果が高まります。おしゃれなスプレーボトルに入れたり、ドライハーブを麻ひもなどで結んでつるしたりすると、インテリアアイテムにもなって一石二鳥ですよ。
注意点は、栽培プランターの室内置きをなるべく避けること。土があるためカビや雑菌繁殖の原因となり、虫除けどころか虫の発生源になる可能性があります。加工するためにハーブを摘んだら、洗って土の雑菌を除去してから使いましょう。
それでは実際に、虫除けに効果のあるハーブを挙げてみましょう。
ペパーミント
ペパーミントはハッカ臭を持つ成分「メントール」を多く含んでおり、虫除け効果が高いことで知られています。独特のすっきりした香りは虫にとってはイヤなもの。繁殖力が非常に強く、育てやすいのも人気の理由です。
カレンソウ
虫、特に蚊に対して大きなダメージを与えるのがカレンソウ。カレンソウは「蚊嫌草」とも呼ばれており、蚊が嫌がる香りを発するため、植えておくと蚊が寄りつかないといわれています。カレンソウが持つ「シトロネラール」という成分は、蚊を避ける効果と、蚊が二酸化炭素を察知する能力を低下させて人間を刺しにくくする効果があるとされています。
タンジー
タンジーは、殺菌・防虫効果が高いハーブです。一般的には「ヨモギギク」と呼ばれており、日本では主に北海道に分布しています。タンジーの香りも独特で、かつては茎と葉が寄生虫用の駆除剤として使われていました。ちなみに人間に対しては、胃の健康を助ける食欲増進剤として用いられることもあります。
カモミール
甘い香りとかわいい花が印象的なカモミール。他の植物に害虫を寄りつかせない役割を果たしてくれます。そのため、玉ネギ畑などで一緒に栽培されたり、バラの傍に植えてアブラムシ除けにしたりと、幅広く利用されています。ただしカモミールはキク科なので、キクやブタクサにアレルギーがある場合は避けましょう。また、子宮を収縮させる働きもあるため、妊婦の方も気を付けた方が良いかもしれません。
虫を撃退する、ハーブ以外の植物も見てみましょう。
ヒノキ
建築材によく使われるヒノキは、ダニやシロアリなどの害虫発生を防ぐ効果があります。ヒノキの心材(木の中心に近い部分)に含まれている「ヒノキオール」などの精油成分に、虫を寄せ付けない働きがあるためです。ヒノキオールを配合した市販の消臭剤をスプレーしたり、球状になったヒノキボールをたんすなどに入れたりして使います。
クスノキ
クスノキの枝葉を蒸留して作る「樟脳(カンフル)」という成分に防虫効果があり、防虫剤の成分として利用されています。クスノキの樹木で作ったハンガーやブロックをクローゼットなどに用いると、服を害虫から守ってくれます。
虫除けとして威力を発揮するハーブなどの植物は、人間にとっては癒し効果があり、育てやすいものが多いのが特徴です。今年の夏はぜひ、自然界の力を感じる虫除け植物を育てて、体に優しく快適な毎日をお過ごしくださいね。
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