「何事にも自信を持って、果敢に取り組む子どもに育ってほしい」……それは、母親なら誰もが願うことですよね。「そのためには、まずお母さん自身が変わらなければダメ!」と語るのは、岡山県の「こどもみらい塾」で塾長を務める楠本佳子さん。教育学、コーチング、心理学、脳科学などの知識とご自身の経験に基づく指導法や、保護者へのアドバイスが「とてもタメになる!」と人気のカリスマ塾長です。
楠本さん曰く、「子どもには『正しい自信』を身につけさせることが大事です」とのこと。
「まず、『正しい自信』とは『自分は何でもできる!』といった自惚れ的なものとは違います。大人もそうですが、私が考える『自信』とは、やる前からムリだと思って諦めるのではなく、何事も失敗を恐れずに取り組む力がある、そういう姿勢でいられるということです。
そして、それでもしも失敗したり、100%思い通りの結果にならなかったりしても、次にどうすれば成功できるのか、少しでも完璧に近づけられるのかを考えて、常に挑戦する気持ちを持ち続けられるということが大事なんです」(楠本佳子さん)
このような「正しい自信」を身につけた、「自信ぐせ」を持った子どもに育てるためには、最も身近にいるお父さん、お母さんの存在が重要とのこと。「特に生まれてから多くの時間を一緒に過ごす、お母さんから受ける影響はとても大きい」と楠本さんは言います。
「口癖から考え方、性格まで、どうしても子どもってお母さんに似るんですよね。だから、お母さんが自分に自信が持てず『どうせ私なんて……』と思われている方だと、子どもも自然とそうなってしまいがちです。
だからまず、お母さんが自信を持つことが大切なんです。そして、お母さんが子どもにどんな言葉をかけるかも重要。普段から『あなたはできない』と否定し続けたり、怒ってばかりいたりすると、子どもは自己肯定感を持てず、自信がつくはずもありません。
子どもが、『自分は価値のある人間だ』と思えるような、ポジティブな言葉がけを意識し、努力したこと、頑張ったことをちゃんと見て褒めてあげれば、子どもは自分に自信が持てるようになり、どんどん伸びていくものなんですよ」(楠本佳子さん)
子どもに「正しい自信」や「自信ぐせ」がつくかどうかは、普段のお母さんの接し方が大きく関わっています。それでは、実際に普段の生活でどのようにすればいいのか、楠本さんに具体的に教えていただきました。
自信をつける方法1:お母さん自身が楽しみを見つける
「お母さんがいつも笑顔で楽しそうだと、それだけで子どもは嬉しいものです。趣味に夢中になっていたり、目標に向かって勉強を頑張っていたりするなら、それを積極的に話してください。それが子どもの興味に繋がったり、励みになったりします。
もしも『何を趣味や目標にすればいいのかわからない』という方がいたら、まずはやってみたいと思っていることをノートに書き出してみるのがおすすめです。書くことで、ふとした瞬間に思い出して実現できたり、どのくらい達成できたかを見直すことができたりして、モチベーションアップに繋がります。あまり時間がなく自由がきかないお母さんも多いとは思いますが、まずはできる範囲の中で、楽しみを見つける天才になってみましょう」(楠本佳子さん)
自信をつける方法2:子どもをよく観察して褒める
「子どもを褒める際にお母さんに必要なのは、観察する力と聞く力です。普段、お母さんはどうしても、子どもの『できないこと』ばかりに目がいってしまいがち……。でも、よく観察したり話を聞いたりすると、子どもが『努力したこと』や『頑張ったこと』が見つかります。それを褒めてあげて、子どものちょっとした成長を一緒に喜んであげましょう。
小さな努力や成長も、『お母さんがきちんと見てくれている』と感じられると、子どもは自己肯定感を持つことができます。逆に、子どもが元々できることや、偶然できてしまったようなことは、褒めてはいけません。自惚れ的な『間違った自信』に繋がります」(楠本佳子さん)
自信をつける方法3:自分も子どもも、他人と比べない
「実は、子どもが一番嫌なことは、怒られることでも『勉強しなさい』と言われることでもなく、他人と比べられることなんです。
子どもに対して『○○ちゃんはできるのに……』などとつい言ってしまうお母さんは、自分のことも『あそこのお母さんはちゃんとしてるのに……』などと、他人と比べてしまっていることが多いはず。他人は他人!まずは、昨日の自分よりも今日の自分がよくできたら褒めてあげる。お母さん自身がそう考えるように心がけてみてください」(楠本佳子さん)
楠本さん曰く、子どもの「正しい自信」や「自信ぐせ」は、12歳頃までにつけるのがいいそうです。それはどうしてなのでしょうか?
「中学生くらいになると反抗期がきますよね。個人差はありますが、親の言うことをあまり聞かなくなるので、それから何かを習慣づけするのは難しくなります。
また、習慣は小さな頃からの積み重ねが大きく、早く習慣づけをするほど、それが当たり前と思って育ってくれると考えています」(楠本佳子さん)
しかも、12歳頃までに「自信ぐせ」がつけられるかどうかは、その後の人生を左右する大きな分かれ道になるそうです。その後の学校生活や受験、さらには社会に出てからの仕事の仕方にまで影響すると言います。
「自信がない子どもはすぐに諦めてしまいますし、『どうせ自分なんて』と思ってはじめから取り組まず、努力をすることができなくなります。
一方、自信のある子どもは何にでも挑戦して、失敗しながらも、努力する力、頑張る力を身につけていきます。それは、勉強はもちろんスポーツでも、そして将来働く時も同じです。
何をする時でも、こうやったらもっと上手くできるようになるんじゃないか、もっと効率的にできるようになるんじゃないかと考えられるようになるんです。それが『自信ぐせ』をつけることで育むことができる、『生きる力』だと思います」(楠本佳子さん)
子どもに「正しい自信」を持たせ、「自信ぐせ」をつけたいなら、まずお母さんが「自信ぐせ」をつけることから始めてみましょう。子どもはお母さんのことをよく見ているので、それが子どもに「正しい自信」をつけることに繋がります。
「だからといって、頑張り過ぎは禁物です。子育ては、やり過ぎもやらな過ぎもダメ。ほどほどが大事です。
疲れた時は、ちょっと肩の力を抜いて、鏡を見て笑顔をつくってみましょう。『笑顔になんてなれない……』という時でも、無理やり笑顔をつくってみると、脳が勘違いしてなんとなく心がラクになれるものです。周りは気にせず、自分のペース、そして自分たち親子のペースで取り組んでみてくださいね」(楠本佳子さん)
いきなりアレもコレも始めるのは難しいですが、まずはできることから少しずつ始めてみてください。親子で「自信ぐせ」をつけながら、いろいろなことに積極的に取り組み、前向きに努力のできる、「正しい自信」を持った子どもに育てていきましょう。
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