2007年に、日本は超高齢社会に突入しました。日本の人口は2020年には1億2,410万人、2030年には1億1,662万人となり、2060年には9,000万人をも割り込むことが予想されています。このように総人口が減少する一方で、高齢化率(65歳以上の人口の割合)は、2015年は26.7%でしたが、2025年には約30%に達すると見られています。
そのため、高齢者の数に対する生産人口が減少、介護職の人材不足などが、課題としてあげられています。あなた自身も今後、介護について考えなくてはならない場面が出てくるかもしれません。
そんな中で、厚生労働省では2020年初頭までに約25万人の介護人材を確保するための方向性を打ち出しています。具体的には、離職した介護人材の呼び戻し、学生への学費貸付等による参入促進、ボランティアを行う中高年齢者への職場体験の実施、そして現介護職員の定着促進などが挙げられています。
結婚や出産で職場を離れたのち、再就職を考えている方は、介護職を選択肢の一つとしてみませんか。介護職は、未経験からキャリアチェンジする方もいらっしゃいます。
参考:内閣府 第1章 高齢化の状況(第1節1) / 厚生労働省 介護人材の確保について(平成28年3月)
もし介護の仕事を選択肢の一つとして考えたなら、まずは未経験から仕事に就くまではどうすればいいかをみていきましょう。
介護の仕事を始めるなら、介護職員初任者研修を受けることが早道です。しかし、介護施設は人手不足で多くの人材を求めているという背景もあり、まずは未経験で就業して実務を積みながら、初任者研修を受けるという場合もあります。初任者研修では、職務の理解から始まり、介護の基本からコミュニケーション技術などを学びます。介護業務に従事をしたい方であれば、どなたでも受講することができる講習のため、最初のステップとして、こちらからはじめてみるのも良いでしょう。
これらを通して実務経験を積んでいくと、「介護福祉士」「ケアマネジャー(ケアマネージャー)」といったステップアップ資格を視野に入れることができます。これらの資格を得ることで、待遇や給与のアップも期待できます。それぞれ具体的に、どんな資格かみていきましょう。
介護福祉士
介護福祉士は、お年寄りや身体の不自由な方の介護をする専門職です。食事や入浴、車いすでの移動補助などの身体介護や、利用者への相談・助言などを行います。また、家族の介護をする方や介護現場で働くヘルパーに指導や助言も行う、現場のリーダー的存在でもあります。
受験資格:3年以上の実務経験と実務者研修が必要です。
介護福祉士講座へのリンク
ケアマネジャー(ケアマネージャー)
ケアマネジャー(ケアマネージャー)は、介護者とサービスを結ぶ架け橋となりマネジメントをする立場になります。合格率は20%以下と難易度の高い資格です。
受験資格:定められた国家資格等を保有しているか、相談援助または介護業務に一定期間の実務経験が必要です。
ケアマネジャー講座へのリンク
このように、介護職は未経験からでも介護職員初任者研修を受講し、経験を積んで、介護福祉士やケアマネジャー(ケアマネージャー)にステップアップしていけるというキャリアプランがあります。将来を見据えて進めていくことで、待遇や給与面が優遇されることも期待できますし、やりがいも出てくるはずです。
ここまでで、介護の資格にどんなものがあるかをご説明しました。ただ、「本当に未経験からでも大丈夫かな……」と思われるかもしれません。けれど、実際に介護の仕事内容をみていくと、経験や働き方という面で主婦の方にとって魅力の多い仕事なんです。
介護の仕事が主婦にとって魅力的な理由は、大きく3つあります。
1:主婦経験が活かせる
介護の仕事の中に、介護が必要な方への「食事や掃除、洗濯、話し相手等」といったものがあります。家事の経験から、すんなり入っていくことができるでしょう。
2:働く場所は全国47都道府県
介護施設は全国47都道府県に事業所があり、通算7万件以上に及びます。そのため、家族の転勤や移転があっても働くエリアを問いません(厚生労働省 平成26年介護サービス施設・事業所調査の概況参考)。
3:求人募集が多い
介護職の募集は、他職種と比較しても募集が多く、ハローワークに寄せられている求人情報を見てみると、東京都だけでもフルタイムで1万件以上、パートは4万件近くあります。働き方も柔軟で、子どもが学校に行っている午前中だけ、昼間の時間帯だけと自分に合った条件で柔軟に探せる可能性も高くなります。
「未経験では難しいのでは?」と思われる介護の仕事ですが、異業種や主婦からキャリアチェンジに成功した方もいらっしゃいます。その理由は、前段の話のように未経験からでも実務や研修を経験して介護の資格を取得していくということが可能であり、また主婦経験を活かすことができるということ。「家族の介護に向けて介護の知識を学びたい」「子育てが落ち着いたのを機に、将来を見据えて介護の仕事をしたい」と、主婦からのキャリアチェンジの動機は様々です。
このように、介護の仕事は未経験でもチャレンジ可能です。すでに「超高齢社会」「一億総介護時代」に突入しています。自分の家族と日本のために、再就職の選択の一つとして介護職も視野に入れてみませんか。