2016年9月、総務省統計局が日本の高齢者動向についてのレポートを発表しました。それによると、日本の65歳以上の人口は3461万人で、総人口比は27.3%に達しているとのこと。つまり、4人に1人が65歳以上という超高齢時代を迎えているのです。
高齢化が進むにつれて深刻化するのが「介護」の問題。厚生労働省が行った国民生活基礎調査では、介護を必要とする高齢者の数は、60代後半から70代前半にかけて大きく伸びるというデータが出ています。
人口が多い「団塊世代」が、これから70代に突入していくことをふまえると、介護を必要とする人が急増していくと予想されます。それに伴って問題視されているのが「介護離職」。家族の介護のために仕事を辞めた人はすでに年間10万人に達しています。介護期間は平均10年に及ぶというデータがあり、仕事と介護を両立していくのはなかなか難しいこと。企業側にとっても、40~50代の役職者が介護離職するとなれば、大きな痛手になります。労働力を失わないためにも、介護のサポート体制の整備が急がれています。
また、2025年には30万人以上の介護職員が不足するという予測があります。外国人スタッフの雇用や介護ロボットの導入といった方法も模索されていますが、いずれにしても介護人材のニーズが今後さらに伸びていくのは間違いありません。
このような慢性的な人材不足を解消するため、政府では、勤続年数や資格などに応じて賃金が上がる仕組みを導入し、介護士の給与を月額約1万円引き上げる事業者を支援する方針を掲げています。
介護の仕事といえば、これまで給与の低さや労働時間の長さなど、ハードな面が度々指摘されてきました。しかしさきほどもお伝えしたように、介護業界は今後ニーズが伸びていく注目の業界。求人量が豊富で、全国どこに行ってもニーズがあることから、自分のライフスタイルの変化に応じて働く場所やペースを柔軟に変えていけるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、実際に介護の現場で働いている人からは、「『ありがとう』と言われるのがうれしい」「人生経験豊かなおじいちゃん・おばあちゃんからは学べることがたくさんある」といった「やりがい」の声も聞こえてきます。
さて、一口に介護の仕事といっても、種類も働き方もさまざま。どんな仕事があるかを知り、自分にはどれが合っているかを探ってみてはいかがでしょうか。ここで、介護関連の資格の一例をご紹介します。
介護福祉士
介護サービスの中心となる国家資格であり、高齢者や身体の不自由な方の介護をする専門職。2016年度より試験制度が変わり、「3年以上の実務経験」に加え「450時間の実務研修の修了」が受験資格として必須となりました。
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ケアマネジャー
介護を必要とする人と、福祉・医療・保健のサービスとを結ぶ専門家。介護を必要とする人に最適なケアプランを立て、サービスの調整や効果チェックを行います。もともとの職種によりますが、5年以上または10年以上の実務経験を経て受験資格が得られます。
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介護事務
介護事業の運営に欠かせない介護報酬請求業務(レセプト作成)とケアマネジャーのサポートが主な仕事。「介護事務管理士®」の資格を取れば、介護業界への就職・転職に有利となります。
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福祉住環境コーディネーター
自宅に手すりをつける、バリアフリーにリフォームするなど、自宅で生活する高齢者や障がい者のために、暮らしやすい環境を整備する専門家。リフォーム会社や建築事務所で活躍する人が多数。建築士やインテリアコーディネーターの資格と併せ持つのも有効です。
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レクリエーション介護士
介護の現場で「レクリエーション」を実施し、高齢者の生活に楽しみや刺激を提供します。高齢者の体調、施設環境、安全性などを考慮しながら、レクリエーションを企画・運営します。
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介護食士
介護に携わる人たちの調理技術を向上させる目的で設けられた資格。噛む力や飲み込む力が弱くなっている要介護者のために、適した食事を作ります。調理師の資格も併せ持つと活躍の場が広がるでしょう。
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このほかにも、介護にまつわる資格にはさまざまな種類があります。自分の「得意」を活かしながら、介護を必要とする人々を支える道を探してみてはいかがでしょうか。