今、世の中は空前のお片付けブーム。それに伴い人気が高まっているのが「整理収納アドバイザー」の資格です。2016年6月現在、資格取得者は延べ8万人以上にも上るそう。
「従来は女性向けの資格だと思われていた整理収納アドバイザーですが、最近は男性の資格取得者がどんどん増えているんです」
そう教えてくれたのは、整理収納アドバイザー1級で、これまでに500人以上のお宅を改善してきた、「整理ist」の佐藤亮介さん。
今や整理収納のプロとして全国で講演を行い、テレビでも活躍している佐藤さんですが、意外や意外、昔は「モノ屋敷の住人」だったそう。
元々捨てられない性格だったのが、社会人になって自分のお金でモノを買うようになってから加速度的にモノが増えていった佐藤さん。1人暮らしを始めた時は1DKに住んでいたのに、大量のモノを収めるために、最終的には一人で3LDKの一軒家に住むことになってしまったと言います。そんな佐藤さんが片付けに目覚めたのは、過労で突然死の危機に陥ったのがきっかけだそう。
「医師から原因はストレスだと言われたのですが、退院して久しぶりに自宅に戻った時に、モノに押しつぶされそうな感覚に陥ったのです。その時、『もしかしたらこれもストレスなのか?』と」(佐藤さん)
一念発起して捨てはじめるも、ゴミ捨て場に一度捨てたモノを取り戻しに行ったり、リサイクルショップで自分が売ったモノを買い戻したりしていたそう。
「そうやってリバウンドを繰り返している時、整理収納アドバイザーの存在を知り、自分の勉強のために学んでみたいというのが受講のきっかけでした」(佐藤さん)
整理収納アドバイザーの勉強は、新しい発見の連続だったそう。
「私はてっきり、収納グッズの使い方などを学ぶのだと思っていたのですが、まずは『収納』よりも『整理をすること』が整理収納の第一歩なのだと気づきました」(佐藤さん)
整理収納アドバイザーの受験者は女性が中心なので、1級の取得に必要な研究発表で居心地が悪くなかったか?と聞いてみたところ、「若干肩身が狭い思いはましたが、女性の皆様とのワークも楽しかったですし、女性の考え方や視点を知ることができたのも収穫でした」とのお話も。勇気を持って一歩踏み出したことで、その後の整理収納アドバイザーの仕事にも役立つ、貴重な体験ができたようです。
資格を取得したものの、当時フードコーディネーターの仕事をしていた佐藤さんは、整理収納のプロになるつもりはなかったそう。とはいえ、時はちょうど日本で整理収納ブームが起き始めた頃。
整理収納アドバイザーの資格を持っているということで、自宅の片づけの手伝いをお願いされたり、仕事の取引先から社内環境改善を依頼されたりするようになりました。
そうしているうちに、佐藤さんは、日本の家がモノで深刻な状況になっていることを実感したそう。
「それまでは、日本人がこんなにモノだらけで、家の中が乱れているという実態は分かりませんでした。そこで、モノが捨てられずモノ屋敷に住んでいた私でも、何かのお役に立てるのならと、活動を本格的にスタートしたんです」(佐藤さん)
佐藤さんの現在の仕事の半分は整理収納に関する講師業。全国で講演を行ったり、整理収納アドバイザー2級認定講座の講師として生徒さんの指導に当たっています。残りの5割のうち3割が法人向けのコンサルティングで、残り2割がテレビ出演や執筆などのメディア関係という割合だそう。
そんな佐藤さんが仕事でやりがいを感じるのは、「お客様の笑顔を見た時」と言います。
「最初は不安そうだったり、面倒くさそうだった人も、キレイになるにつれて笑顔が増えていきます。オフィスでは社員同士の会話が増え、明るい職場に変化し、増収増益につながることもあるんです。講演やセミナーを聞いてくださった方が、『やっとモノの整理をしてみたいと思えた』『佐藤さんに出会えて救われました』などと喜んでもらえたときも、大変やりがいを感じます」(佐藤さん)
「整理収納」は、女性よりむしろ男性の方が向いている一面があるかもしれないと佐藤さんは言います。
「持論ですが、『整理』に関しては、男性のほうが物を捨てる基準がシンプルで、捨てる判断がつきやすいように感じます。必要なのか、不必要なのかのジャッジが早いんですね。私も『整理』を軸にしているので、時々、『収納が苦手な整理収納アドバイザーです』と挨拶をすることがあります(笑)」
さらに「収納」に関しても、女性は比較的「見た目」重視なのに対して、男性は「効率的な収納」を好む傾向があるので、リバウンドの少ない収納を提案できることが多いよう。
また、現在はまだ男性の整理収納アドバイザーが少ないので、目立つ存在になっていると佐藤さんは言います。
男性ならではのメリットもたくさんある整理収納アドバイザーの資格。気になる男性は、今がチャンスと言えそうです。
整理収納アドバイザー講座へのリンク