ダイエットコーチの千波さんが提唱している「やせるストレッチ」。自然と続けたくなるトレーニング法が話題となり、千波さんのレッスンは予約開始後すぐに満席になるほどの人気です。でも、「本当にストレッチだけで痩せられるの?」と思いますよね。その疑問を千波さんにぶつけてみたところ、「ストレッチだけやっていても、痩せられません」と衝撃の答えが……それでは一体、「やせるストレッチ」とはどんなものなのでしょうか?
「効率的に痩せる体を手に入れる第一歩は、体をやわらかくすることなんです。たとえば、『スクワット』という運動一つとっても、柔軟性が高い人と低い人とでは屈伸の深さが異なり、エクササイズの効果に差がでてしまいます。深く正しく動けた方が、効果は大きくなりますよね。つまり大きな効果を得るためには、体の柔軟性が必要だということ。関節の可動域が広いやわらかい体は、無理なく大きく動かすことができます。大きく体を動かすことで筋肉もたくさん動くため、日常生活の中で自然に筋肉が鍛えられ、脂肪が燃焼しやすくなる……という好循環を生みだすというわけです。
この、エクササイズの効果を最大限に引きだすスパイラルをつくるきっかけが、『やせるストレッチ』。私からの一番のアドバイスは、まずは自分のできる範囲で、毎日5分間、ストレッチを続けてみてということ。体の柔軟性は人それぞれなので、人と比べる必要はありません。痛みを感じない範囲でも2週間くらい続けると、『あれ?昨日より体がやわらかくなってきた?』と感じるはずです。この『昨日よりできてる!私スゴイ!』という感覚の積み重ねが、ストレッチを続けるモチベーションにつながります」(千波さん)
毎日続けることで、体は必ず変化を見せると千波さんは言いますが、ついサボりたくなったり、なかなか目標にたどり着けなくてへこたれてしまったり……。ダイエットには挫折ポイントがたくさんあります。
「すべてを完璧に、100%でなんて続けていられません。スタートは何度でも切れるので、サボってしまっても大丈夫!私も落ち込む日もあれば、サボる日もあります。大切なのは、そこからの切り替えです。へこんだ気持ちを封印して、自然と頑張りたくなるほど絶好調な状態を自分でつくるには、ちょっとしたコツがあります。私がいつも生徒さんたちに伝えている、モチベーションをキープするための方法を、いくつかご紹介しますね」(千波さん)
方法1:設定する目標のハードルを低くする
「私自身がダイエットとリバウンドを繰り返した経験や、自分の生徒さんたちのパターンを見て思うのが、ハードルが高いとダイエットはうまくいかないということ。つい『10キロ痩せよう』など、大きな目標を立てがちですが、『できるかな?きつそうだな、無理かもしれない……』と、少しでもネガティブな気持ちが浮かんだら、それは自分にとって高すぎるハードルです。
モチベーションを維持するために大切なのは、成功体験の積み重ねです。生徒さんたちにも、『1か月で900グラム減らす!できそうだ!』など、前向きに取り組める、自分なりの目標設定をするようにアドバイスしています。あとは、ハードルを細かく設定するのも達成感を味わいやすいので、モチベーションをキープするには効果的です。たとえば、『この1週間は、おやつをチョコレートからナッツにしてみよう』とか『1週間のうち3日だけ、ごはんの量を半分にしてみよう』とか。『自分はできるんだ』と自信が持てる目標を設定していきましょう」(千波さん)
方法2:目標をクリアできる理由を書きだしていく
「ダイエットも仕事も、無理かもしれないと思ったら失敗します!大切なのは『できるぞ!』というポジティブな方向に視点を向けること。意識的にポジティブな方向に目を向けるために、目標をクリアできる理由を書きだしていくのは、方法の1つとしてありますね。『前は2週間でここまでできたから、次の2週間でこれもできるはず』など。または、目標を叶えたい理由を書きだしてもいいと思いますよ」(千波さん)
方法3:理想の自分になったつもりで生活する
「生徒さんたちには、『理想の自分になったつもりで生活しましょう』と言っています。たとえば、きれいなモデルさんが理想の自分だとしたら、きっとそのモデルさんがランチに選ぶのは、カロリーが高いジャンクフードではなく、体に優しいサラダランチですよね。そんなふうに、常に理想の自分を意識してなりきることで、選ぶものが自ずと変わっていきます。そして、理想的な生活を続けることで、モチベーションも上がっていくはずです」(千波さん)
「ここまでのお話でダイエットのモチベーションが上がってきたら、早速取り組んでほしいのが、背骨と股関節と肩甲骨のストレッチです。最低限、この3か所をやわらかくしておけば、ダイエットの効果を得やすくなりますし、なによりも体が楽になって、肩こりの改善も見られますよ」(千波さん)
ということで、基本の「やせるストレッチ」を3つ教えていただきました!
背中のストレッチ
かなり大きな筋肉がある背中。ここを鍛えることは、全身の代謝を上げることにつながります。猫背の人や背中がカチコチの人は、腰回りにお肉がつきやすくなります。背中のストレッチで、ウエストのサイズダウンを狙いましょう。
背中のストレッチ①:猫のポーズ
四つんばいの姿勢になります。お尻を天井に向かって突き上げるようにし、両手を前方へ滑らせます。床に胸がぺったりと付くまで伸ばし、背中を反った姿勢をキープします。
背中のストレッチ②:背中の回旋
まずは四つんばいの姿勢になります。このとき、手を肩の真下くらいに置き、ひざはお尻の真下にくるようにします。つま先は立てた状態です。
右肩を床につけるように背中をひねります。目線はまっすぐ前を見ます。
左腕をゆっくりと背中の方に倒すことで、さらに背中をひねります。目線は背中の回旋に合わせて、自然に上に移動させます。この姿勢で30秒キープ。逆サイドも同様に、30秒キープします。
股関節~太もものストレッチ
股関節の周りには、主に両脚を動かすための大きな筋肉がたくさんあります。これらの筋肉を効果的に鍛えられるように、股関節の可動域を広げるストレッチは重要。下半身やせの効果が期待できます。
股関節~太もものストレッチ:トカゲのポーズ
左足のひざを立て、右足は、甲が床につくように後ろに伸ばします。
両手を床につきます。手の位置は、できたら左足の横に。難しければできる範囲でOK。
ひじから先が床につくように、上半身を倒していきます。手のひらとひじで床を押すようなイメージで、30秒キープします。このとき、背中が丸まらないように注意しましょう。反対の足でも同様に行います。
肩甲骨のストレッチ
意外と年齢を物語ってしまう背中。実年齢より老けた後ろ姿を回避するためにも、肩甲骨周りにある僧帽筋のストレッチは大切。実は肩甲骨のコリは、顔の筋肉を引っ張って、たるみの原因にもなってしまいます。ダイエットと美容のためにも必要なストレッチです。
肩甲骨のストレッチ:肩回し
ひじを曲げて、両手の指を肩先に乗せます。ひじは自然に開き、左右の肩が同じ高さになるように意識します。このとき、目線はまっすぐ前を見ます。
肩が上がらないように注意しながら、両ひじを上下に20回動かします。このとき、肩甲骨を動かすように意識してください。
曲げたひじを回します。首はまっすぐ長くのばし、肩は力まず下げたまま、ひじで遠くに円を描くようなイメージです。前回し10回、後ろ回し10回行いましょう。
モチベーションなくして、ダイエットは成功しません。だからこそ、ストイックに制限を課したダイエットではなく、自分自身が楽しみながら、憧れのボディを手に入れるのがベストだと言う千波さん。しかし、分かっていても、ついネガティブになってしまうときもありますよね。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。
「体の可動域を広げると、心も豊かに動きやすくなります。ポジティブな気持ちになるためにも、自分にとって無理のないストレッチを、毎日の生活に取り入れるのは重要なことです。それでも『モチベーションが下がったな……』というときには、敢えてポジティブな言葉を口に出すようにしてみてください。私が最近ハマっているのは『絶好調!』という言葉。朝から『絶好調!』って大きな声で3回言うようにしています。きっと、『あれ?私、調子いいのかな?』って、ポジティブな方に気持ちが動くはずです。
言葉には思いがけない影響力があります。モチベーションが下がりやすい人は、知らず知らずのうちにネガティブな言葉が口癖になっていることが多いです。それを止めるだけでも、今までの自分とは違う自分になれますよ。自信がなくても不安でも、とにかく行動すれば結果はついてきます。まずは、前向きに続けられる範囲で始めてみてください」(千波さん)
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