最近、多く目にするようになった「ドッグカフェ」。愛犬と一緒に過ごせる場所が増えることは、飼い主にとってはとても嬉しいですよね。
「ドッグカフェは、犬と一緒に入店できるカフェ全般を指しますが、形態は店によってさまざまなんですよ」
そう教えてくれたのは、ドッグトレーナーの遠藤エマさん。エマさんは、ドッグトレーニングを行うほかにも、ドッグトレーニングに関する講演やYouTubeを使った動画配信も行っている、人気のドッグトレーナーです。
エマさんによると、ドッグカフェは大きく2種類に分けられるそうです。
犬同伴が前提のドッグカフェ
犬を連れた愛犬家向けに営業しているため、飼い主と犬が過ごしやすいように、リードフックや犬用のお水などが用意されています。カフェによっては、犬専用の食事メニューを提供していたり、敷地内にドッグラン、ドッグショップ、トリミングサロン、ペットホテルを併設していたりするなど、愛犬に向けたサービスも充実しています。
通常のカフェで、犬同伴OKのお店
犬を連れて入ることが可能な飲食店。主役はあくまで人のため、一般客用のスペースとは区切る形で、テラスや店内の一部などに犬と一緒に過ごすことができる席を設けている場合が多いです。
「ドッグカフェは、犬を飼っている人が集まる場所なので、初対面同士であっても犬を通じて会話がしやすいですよ。また、犬が社交性を身につけることができるといったメリットも!犬が人と同じように食べられるメニューを用意しているお店もあるので、愛犬と一緒にお揃いのランチを食べるのもいいですよね」(エマさん)
※お店によっては、犬を抱っこした状態でないと入店できなかったり、入店できる犬種に制限があったりするところもあるので、事前に入店ルールをよく調べてからお出かけしましょう。
愛犬家としては、早速ドッグカフェデビューをしたいところですが、ドッグカフェは不特定多数の人と犬が出入りする場所。楽しい食事やティータイムを過ごすためにも、犬にはきちんとしたしつけをしておく必要があります。
「ドッグカフェでは、少し長い時間、飼い主の足元でいい子にしてもらうということが求められます。『落ち着いて休んで待つ』ことを教えておくと、ドッグカフェでのひとときを楽しく過ごせますよ」(エマさん)
「落ち着いて休んで待つ」のしつけ方とポイント
ステップ1:マットの上で伏せのポーズをとらせる
まずは犬用のマットを準備します。マットがあると、犬がどこで待てばいいのか、わかりやすくなるためです。飼い主は犬の近くにしゃがんで、ご褒美で誘い伏せさせましょう。伏せたら、ご褒美を与えます。
「ご褒美は、犬の前足の間に置いてください。犬の目線が自然と下がり、伏せの姿勢をキープしやすくなります。飼い主がいきなり椅子に座った状態から始めると、えさに気を取られて犬が立ち上がってしまうので、段階を踏んでしつけることが大切です」(エマさん)
ステップ2:椅子に座った状態でリードを踏み、伏せの形をつくる
椅子に座り、リードは犬が立ち上がれる程度の長さを残して踏みましょう。ステップ1同様、犬が自ら伏せるのを待ち、伏せたらご褒美を床の近くで与えます。
ステップ3:犬と視線を合わせず、違う方向を見る
ドッグカフェでは、メニューを見たり、食事や会話を楽しんだりするので、犬だけをずっと見ていることはできません。そのため、犬と視線を合わせずに、視界の端に見える程度にします。
「犬が立ち上がっても気にしないで待ち、座ったり伏せたりはしていなくても、犬の動きが止まっていたらご褒美を与え、自発的に落ち着くようにしつけます」(エマさん)
ステップ4:リードを踏まずに伏せたら、ご褒美をあげる
次はリードを踏まずに、犬が伏せるのを待ちます。
「伏せたら素早くご褒美を与え、『このポーズをするといいことがある』 と覚えさせていきましょう」(エマさん)
ステップ5:ご褒美の間隔を広げる
犬が落ち着いて待つことに慣れたら、ご褒美をあげる頻度を徐々に減らします。
「もともと1分に3回ご褒美を与えていたとしたら、そのうち2回は、ご褒美をあげるかわりに言葉で褒めたり、視線を送って頷いたりしましょう。そうすることで、ご褒美待ちのギラギラした状態で待つのではなく、より落ち着いて待てるようになります」(エマさん)
ご紹介した5つのステップのほかにも、日頃から、食事中にテーブルから食べ物を与える習慣をつけないことや、抱っこしてもらえない時もあるのを教えることも大切だそうです。
「人間が食べている物を与える習慣があると、当然ドッグカフェに行った時も要求してきます。テーブルの脚をカリカリしたり、食べ物を要求して吠えたりするなど、問題行動につながるので、犬が欲しがってもあげないようにしましょう。また、普段から犬を抱っこしていると、ドッグカフェでも犬を膝の上に抱えたまま過ごさなくてはいけなくなってしまいます。抱っこをせがまれても、毎回は応じず、状況に応じて我慢させることも大切です」(エマさん)
普段、カフェに行く時の持ち物は、財布と携帯電話程度で十分ですが、愛犬とドッグカフェに行く時には、いろいろと必要な物があります。こちらがエマさん厳選の、ドッグカフェに持っていくと便利な物リストです。
「一般的なリードの長さは、120cm。ドッグカフェでリードを踏んで過ごす場合、これだとリードの長さが足りず食事がしにくいので、1本多めに持参しましょう。リード同士を結んで接続すると、動きを制限されることがなくて楽ですよ。ちなみに、リードの長さを調節できる『フレキシブルリード』は、持ち手がハンドルになっているので手首にかけられず、ずっと手で持っていなければならないのでオススメしません。
知育玩具は、中が空洞になっていて、その中におやつやドッグフードを詰めて使うタイプがオススメです。犬が中のおやつに惹かれて、長時間飽きずに遊んでくれるでしょう。抜け毛が多い犬の場合は、洋服を着せておくと毛が飛び散るのを防げますし、オスの場合は、慣れない場所で興奮してマーキングしないようマナーパッドもあると安心です」(エマさん)
「ほとんどのお店が、店内での排泄は厳禁なので、排泄させた後に入店するのが望ましいです。また、店内で犬に落ち着いてもらうためにも、ドッグカフェに行く前は散歩や遊びでエネルギーの発散をさせましょう。食欲が強い犬の場合は、事前に食事を与えるといいですね。お腹いっぱいで眠い状態の方が落ち着きやすく、要求吠えもしにくくなりますよ」(エマさん)
「とにかく場慣れが大切なので、最初は短い時間から始めて、犬に『カフェはゆっくり休む場所』と教えながら、徐々に慣れさせていきましょう!」(エマさん)
ドッグカフェは、愛犬と一緒にカフェタイムを過ごせる貴重な場所。守るべきマナーや必要な持ち物が多く、初めて行くのは緊張するかもしれませんが、今回ご紹介したような基本のしつけができていれば大丈夫です。あなたも愛犬をしっかりとしつけて、ドッグカフェデビューに挑戦してみませんか?きっと楽しい時間が待っているはずですよ♪
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