インスタグラムでじわじわと人気犬となり、フォトブックが書籍化もされた名古屋在住の白い柴犬、さなちゃん。他の柴犬にはない、白柴さなちゃんならではの魅力はどんなところにあるのでしょう。飼い主のバウ村のりこさんにお聞きしました。
「さなは普通の顔の、普通の柴犬です。でも白いということで、ほんのちょっとだけ珍しいと思われているみたいですね。大きなきっかけがあって一気にブレイクした、というわけではなく、インスタグラムが今みたいに盛り上がっていない4、5年前から地味~に毎日投稿を続けていたら、じわじわと皆さんが知ってくださった、という感じです。
投稿するさなの写真が、かわいさよりもおもしろさ重視になっていったのは、単に飼い主である私の性格の問題です(笑)。さなはイヌなんですけど、イヌらしくないヒト感があるんですよ。家の中でのだらけっぷりなんて、もう世帯主感が出まくり(笑)。インスタグラムは、そんなさなの姿を見て、『一日一笑い』くらいの気持ちで楽しんでもらえると嬉しいですね」(バウ村さん)
「インスタグラムでたくさんの『いいね!』をもらった写真を振り返ってみると、トップ3は全部おもしろ系ですね。かわいいだけの写真よりも、『そう来たか』という意外性や斬新さのある写真のほうがウケるみたいです。
一番人気が高かったのは、白いタオルをぐるりと巻いたオバQならぬ『さなQ』の写真です。これはたまたまタオルが破けちゃったので、じゃあ顔を突っ込むしかないか、と思いついて(笑)。白いさなが白いタオルと完全に同化して、かつ真正面を向いた姿勢で固まっちゃったのがおかしかったですね。
スイカの被り物は、『夏といえばスイカ』と考えながら買い物していたときに、さなの頭のサイズにぴったりくるスイカを見つけたので被らせてみました。さなって素朴な平安系の顔なので、何かを乗せたくなっちゃうんですよ。
きゅうりパックの写真もそう。イヌって眉毛がないから、輪切りのきゅうりをのせたら麻呂眉みたいになるかな?って。
簡単そうに見えるかもしれませんが、実はどの写真も瞬間勝負です。包まれたり被ったりしたポーズで、さながおとなしくしてくれるのは、ものによっては数秒ということもあるので、その瞬間を逃さないように急いで撮影しています。なかなか難しいですが、いかにいい瞬間を逃さないかが、愛犬の写真を撮影する最大のコツかもしれません」(バウ村さん)
「カメラに目線がほしいな、というときはオヤツを使います。さなはオヤツ命なので、ちょっと見せるだけで確実に目線をゲットできます(笑)。私が好きなプリケツ写真(お尻だけをプリッと突き出す絶景ポーズ)を撮るときも、家具の下にオヤツを仕込んで、それを必死で取ろうとしている姿をいただきます。
さなは音の鳴るおもちゃや、家族の名前を急に呼んだときの声にも反応しますね。愛犬が何に反応するかを押さえておけば、写真を撮影するときに目線をもらうのはそんなに難しくないですよ」(バウ村さん)
「アングルは人それぞれの好みがあるとは思いますが、個人的なおすすめは真正面のどアップか、真正面よりちょっとだけ下からのアングル。犬種によって異なるとは思いますが、普段は上から見下ろしがちな愛犬を、同じ目線や下からの目線で撮ると、とてつもなくかわゆい輪郭が撮れたりするんです。いつもは見えない下アゴが見えたり、口のまわりだけ毛色がちょっと違っててかわいいな、って気づいたりすることもある。大型犬だったらすっごいよだれが出たりとかしてかわいいだろうな、って妄想しちゃう(笑)。普段あまり見えない角度のほうが、愛犬のかわいさやおもしろさの新しい発見がありますね」(バウ村さん)
「わが家の年賀状は毎年必ずさなの写真を使います。イヌ用の着物を着せたり、干支にちなんだ被り物なんかを自作&装着させたりして、年賀状用に撮りおろすのが恒例行事。でも来年は戌年だからどうしようかな。イヌにイヌの被り物をさせても変ですしね(笑)。
最近のさなはこんな飼い主に呆れ気味なのか、変なものを被せられても、遠い目をして、諦め顔でつきあってくれます。『あーあ、かあちゃんまたかよ』みたいな(笑)。
でも、かわいい写真を撮るためにひとつ確実に言えることは、『とにもかくにも数撃ちゃ当たる!』。たくさん撮り続けていけばイヌも撮影に慣れてくるので、パパッと短い時間でいい写真が撮れるようになるはずです。
そのために何よりも大事なのが、日頃からのスキンシップ。当たり前のことですけど、しっかり遊ぶ時間や、愛情を伝える時間をつくって、家族の一員としてイヌを大事にしてあげてください。よぉく観察して、よぉく話しかけて、よぉくお触りする日々を積み重ねていく。そうすることでイヌとのあいだに信頼関係が生まれて、笑える……いえ、かわいらしい奇跡の一枚がきっと撮れるはずです(笑)」(バウ村さん)
「写真を撮影するコツではありませんが、自分が撮ったさなの写真をSNSで楽しんでもらうためのコツとして、インスタグラムに添えるコメントを工夫することも意識しています。コメントは、さなの立場になって考えることが多く、『さなだったらこの状況をどう思っているかな?何て言うかな?』と妄想しながら、いつもひねり出しています。
といっても、そんなに難しく考えているわけじゃなくて、勢いだけのほうが多いかな(笑)。これを伝えたい!って勢いがある写真のときは、『#ぬーん』とか『#にょーん』とか擬音語だけにしたりしています。でも私のコメントなんかよりも、フォロワーさんがくださるコメントのほうがずっとおもしろいんですよ。さなの茶色の耳を『さつま揚げ』って言い出したのもフォロワーさんだし、私が青と白のストライプの服を着ていたら『コンビニの店員ですか?』とすかさず突っ込まれたりする(笑)。
一方通行にならないSNSという参加型ツール?!みたいな。だからこそ、ここまで人気者にさせてもらったのかな、なんて最近は考えたりしますね」(バウ村さん)
いかがでしたか?イヌに負担にならないよう短時間でパパッと撮影する。オヤツやおもちゃで目線をもらう。アングルを意識する。SNSにアップするときはコメントをイヌ目線で妄想する。そして何よりも大事なのは、日頃から愛を伝えること……。かわいくておもしろい愛犬の写真を撮るためには、たくさんの小さな工夫、そして飼い主さんと愛犬との揺るぎない信頼関係がありました。
今回、バウ村さんが紹介してくれた愛犬の写真を撮影するコツは、誰でもすぐに真似できるものばかり。「すでに愛情たっぷりで触れ合っています!」という愛犬家さんが実践すれば、すぐにでもとびきりの一枚が撮れるようになるはずです。2018年の年賀状は、愛犬のかわいらしさを最大限に引き出した写真で作ってみてはいかがでしょうか?
愛犬飼育スペシャリスト講座へのリンク