勉強しようといざ机に向かうと、何だか急に眠気が……。多くの人が経験するその眠気。眠気を決める2大要因は、「睡眠物質」と「体内時計」です。
脳が働く時間と量に比例して、脳に睡眠物質というものがたまってきます。睡眠物質が増えすぎると脳が壊れてしまうので、睡眠物質を分解するために、脳の働きを止めて眠る必要があります。睡眠不足が続くと、分解されない睡眠物質が脳にたまり、脳の働きが落ちて眠気が強まります。
また、昼食後に眠くなるのは、体内時計の働きによるものです。1日の中で最も眠気が強くなるのは、午前2~4時ごろ。一方、2番目に大きな眠気のピークが、午後2~4時ごろに来ます。午後の勉強を頑張りたいなら、昼食後に20分ほどの昼寝をして、午後2~4時ごろに現れる眠気の第2のピークを小さくすることがおすすめです。
睡眠物質と体内時計のほかにも、眠気の強さを決めるものとして、ストレスや悩み、退屈などの精神的な要因、光や音などの環境要因などがあります。したくない勉強や面白くない会議で眠くなるのは、脳が退屈して覚醒度が落ちることが関係しています。
大事な会議や勉強の際など、眠ってはいけないのに眠くなってしまう。そんなときに実践できる、カフェインの摂り方や眠気を覚ますツボなどをご紹介します。
明るい光を浴びる
光は体内時計を調整したり、睡眠ホルモンである「メラトニン」を減らしたりして、眠気を抑えます。日中なら屋外に出たり、室内なら窓に近づいたりして、明るい光を浴びましょう。夜なら、コンビニエンス・ストアなどの明るい店に入るのもいいでしょう。
冷たい刺激を受ける
室内環境が快適すぎると眠くなります。窓を開けて新しい空気を取り込んだり、冬なら暖房を切ったりして、室温を少し下げましょう。冷たい水で顔を洗うと交感神経が刺激されて、目が覚めてきます。
リズムがある運動をする
ガムをかむと眠気が減るのは、あごのリズミカルな運動が、脳の覚醒系神経の一つである「セロトニン神経」を活性化するからです。セロトニン神経を刺激する方法には、歩いたり走ったり、歌を歌ったり、ペットをなでたりすることなどがあります。
カフェインを摂る
目覚めている時間に比例して、脳に「睡眠物質」がたまります。この睡眠物質が、眠気の原因の一つです。カフェインは、この睡眠物質の働きをブロックしてくれます。カフェインを摂ってから効果が出るまで、15~30分のタイムラグがありますから、少し早めに摂ることが大切です。
ツボを押す
眠気を覚ますツボがいくつかあります。手にある中衝(ちゅうしょう・手の中指の爪の人差し指側の生え際から2mmほど下)や労宮(ろうきゅう・手を握ったときに中指の先が当たるところ)、合谷(ごうこく・親指と人差し指のまたの間で、手を広げたときに2本の指の骨が接する部分の少し指先側)などのツボは、会議中でもこっそり押せます。
会議中などに急に眠くなるということは、睡眠不足がかなりたまっている証拠です。睡眠不足を解消するためには、夜の睡眠をしっかりとることが基本です。とはいえ、夜の睡眠時間を増やすことは難しいのが現実でしょう。十分な睡眠時間がとれない夜でも、睡眠の質を高めて熟睡できるコツを4つ紹介します。
夕食は眠る3時間前までに済ませる
胃腸が消化のために働いている間は、ぐっすり眠ることができません。肉や脂っこいものは消化に時間がかかるので、夕食は炭水化物を中心とした和食がおすすめです。夜の食事は、栄養素の吸収の効率が高いので、太らないためにも軽めにしておきましょう。
晩酌は日本酒1合、ビール中瓶1本、ワインはグラス2杯まで
アルコールは、脳の覚醒中枢を麻痺させることで、催眠作用を発揮します。寝付く前に少量のアルコールを飲むと、寝付きが良くなります。しかし、時間とともにアルコールの分解が進み、アルコールの血中濃度が下がると睡眠が浅くなり、目覚めやすくなります。
カフェインは眠る4時間前までに
覚醒作用があるカフェインは、若い人で1~2時間、高齢者では4~5時間以上、体の中に残ります。夕食後に飲むものはノンカフェインの麦茶やハーブティーにしましょう。チョコレートやココア、栄養ドリンクの一部にもカフェインが含まれているので、要注意です。
眠る1時間前はディスプレイを見ない
テレビやパソコン、モバイル端末やゲーム機、スマートフォン、携帯電話などの画面を見ていると、チカチカした光が脳を刺激して眠気を覚ましてしまいます。さらに、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌が抑えられて、眠気が減ります。
スッキリした頭で勉強するためには、夜の睡眠をしっかりとることが基本です。もし、夜に十分な睡眠時間がとれないときは、ここでご紹介した方法を使って、仮眠の時間を増やしたり睡眠の質を上げたりしてみてください。