「早起きは三文の徳」ということわざもありますが、「同じ時間勉強するのであれば、いつ勉強しても同じではないか」と考える方もいるのではないでしょうか。
朝勉強をおすすめする理由は2つあります。
1. セロトニンが分泌されやすい
ひとつ目の理由は、朝はセロトニンが分泌されやすく、落ち着いて勉強に臨めるためです。精神状態の安定とかかわりの深い神経伝達物質「セロトニン」を分泌するセロトニン神経は、太陽光を浴びることで活性化するといわれています。セロトニンがきちんと分泌されていると、精神状態が落ち着き、心地良さや満足感などを得ることができます。一方、セロトニンの活動が弱まると不安や抑うつ状態が強まります。不安や心配ごとがある状態では、学習に集中することはできません。朝にしっかり太陽の光を浴びてセロトニン神経を活性化させることで、落ち着いた気持ちで学習に臨むことができます。
また、セロトニン神経の働きを高めるためには、ダンスをアレンジした一定リズムの運動「リズム運動」が有効とされます。しかし、全身を動かす運動だけがリズム運動ではありません。食べものをよくかむ「咀嚼(そしゃく)」もリズム運動のひとつであり、朝食をよくかんで食べることでセロトニン分泌の促進が期待できます。
2. 体内時計を整えられる
2つ目の理由は、太陽光を浴びて体内時計を整えられるためです。体内時計が整えられると、睡眠と覚醒のメリハリをつけられます。集中力や知的作業能力を必要とする勉強は、脳が覚醒した状態で行うことが望ましいので、体内時計を整えることで効率が上がるといわれています。
人間の体内時計は約25時間周期ですが、太陽光を浴びることによってリセットし、本来の24時間の時間軸とのズレを調整することが可能です。また、体内時計を整えるためには朝食をきちんと取ることも欠かせません。朝食の摂取が集中力や知的作業能力を高めるという研究結果もあります。
社会人にとって、仕事に出掛けるまでの朝の時間は大変貴重です。今日は何を勉強しようかと悩んでいると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。そのため、前日の帰宅後から翌朝出掛けるまでのタイムスケジュールを立てておくことをおすすめします。
例えば、「帰宅後、夜寝る前に暗記ものの勉強をして就寝する」「5時に起床して2時間勉強、7時から朝食と出勤の準備、通勤電車で1時間朝の勉強の復習をする」などと決めておくと、時間を無駄にせずに済みます。
このケースでは起床してから出社までに3時間の勉強時間を確保しています。1日3時間の勉強と聞くと大変に思えますが、出勤前の自宅での勉強と通勤電車での勉強の合間に入る朝食と出勤の準備の時間が、ちょうど良い気分転換になります。
朝の学習に限ったことではありませんが、周囲の環境を整えることは勉強する際に非常に重要です。ひっきりなしに車の音が聞こえたり、机の上が散らかったりした状態だと、集中力を持続することは難しいでしょう。
その点、早朝の時間帯は周りが寝静まっていて静かなので、勉強に集中する環境としては理想的です。部屋や机が散らかっていて集中力を欠いてしまわないように、就寝前に部屋や机をさっと整理しておくと、翌朝には最適な環境で学習に臨むことができます。
また、先ほど触れたとおり、太陽光を浴びることがセロトニンの分泌につながるため、朝起きたら部屋のカーテンを開けることを忘れないようにしましょう。
朝時間を活用することで十分な勉に強時間を確保できますが、早起きするためには早く寝ることが重要です。夜型の生活スタイルを続けている方が早起きしようとすると、ストレスを感じることもあります。夜型の方はいつもより10分早く寝るなど、就寝時刻を少しずつ早めていくことから始めてみましょう。