あるときから年齢を重ねるごとに体が動かなくなっていきます。高校生までは週に二回は体育の授業があり、日常的に体を使う時間がありましたが、社会人になり結婚を経て子どもが生まれると、家庭と仕事に忙しくなり、ますます運動をする機会が減ってしまいます。運動不足によって体力が失われたことに加え、40歳からは徐々に骨、筋肉、脳が老化を始めるので、「思うように体が動かない」という状態に陥ってしまいます。
また、「体が動いていた頃の自分」と「今の自分」のイメージのズレも問題です。運動をするときは基本的にうまくいく自分をイメージします。でも、それは体が動いていた頃の自分。運動不足の今の体は予想以上についていきません。ほとんど練習もせず、いきなり子どもの運動会の父母参加リレーに出場して足がもつれてこけてしまったりする。これは、イメージのズレから起こっているのです。
毎日、散歩をしていたり、毎週スポーツに精を出している人なら、イメージのズレも小さいので、そこまで衰えは感じないはずです。しかし、普段から車での移動やデスクワークに追われ、体を動かさないことを続けていると、このズレはどんどん大きくなってしまいます。大切なことは今の自分の状態を正しく捉えることです。昔の自分とは、筋力も、背丈も、体型も、体重も変わりました。体を思うように動かすためには「今の自分」が体を動かすイメージをイチから作ることが大切です!
では、この運動能力の低下を食い止めて、動ける体を取り戻すにはどうすればいいでしょうか?
「体力の低下」はシンプルに運動不足が原因です。なので、まずは運動をする時間をつくることから始めてみてください。体を大きく動かす運動をしましょう。エアロビクスやヨガ、ジョギング、水泳など。散歩やサイクリングでもOKです。体を複雑に動かすボールを使ったスポーツもオススメです。運動不足は骨も筋肉も脳も衰えさせます。まずは、無理なく楽しんで体を動かす時間を作り、体力を取り戻しましょう。
「運動の感覚」は普段の意識を変えることで鋭くさせることができます。例えば、今その場に立って、両腕を自分の肩のラインまであげてください。そのまま鏡を見たり、スマホで写真を撮ってもらったりしてください。どうでしょうか。腕は綺麗に上がっていますか。肩のラインまで上がってなかったり、どちらかの腕が低かったり、腕を上げるはずなのに肩が上がったりしていませんか?
これが体を動かしたときの感覚のズレです。歩く、走る、立つ、座るときに自分の体を観察してみてください。鏡で確認したり、ビデオを撮ってみたり、人に見てもらったりして自分がどんな動きをしているのかを観察しましょう。これをやることで自分の体に対する感覚が変わっていきます。
「逆上がり」「二重跳び」「リフティング」。子どもが教えて欲しいこの3つの運動は、感覚が試される運動です。3つとも道具を使い、体の様々な力をタイミングよく合わせる力が試されます。
そこで、練習にひと工夫を加えます。
逆上がり
まず、逆上がりならマット運動の後ろ回りをやってみましょう。一見遠回りに見えますが、これで「後ろに回る感覚」を身につけることができます。
そして、いざ鉄棒へ向かったら、鉄棒の1mほど上にボールをイメージしてそれを後ろに蹴りこむイメージで逆上がりに挑戦しましょう。踏切などをあまり意識しすぎずに、お腹を鉄棒に近づけるようにジャンプして、ボールをキックすることに集中しましょう。そのボールをしっかり蹴りこむことができたら、そのまま後ろに体は回転し、自然に逆上がりができてしまいます。
二重跳び
二重跳びなら縄だけを回したり、縄なしでジャンプをしながら手を叩く練習をやってみましょう。「縄を回す感覚」や「タイミングを合わせてジャンプする感覚」を体に覚えさせることが大切です。
また、後ろ回し飛びや交差跳びなど他の技もやってみましょう。縄の使い方がうまくなれば一回のジャンプ中に2回縄を回すことは、そう難しくありません。二重跳びがうまい人は高くジャンプすることなく、縄を速く回すことで連続2重飛びも軽々とやってのけます。
リフティング
リフティングならボールを1回ずつキャッチするところから、もしくは1バウンドさせながら練習しましょう。まずは「ボールを蹴る感覚」を会得することです。
パントキック(手に持ったボールを軽く投げてそのまま空中のボールを蹴る)で頭上高くに蹴りあげてみたり、壁に蹴ってみたり、お子さんと対面になってキックキャッチボールをするのもオススメです。空中にあるボールを1回蹴ることに慣れてきたら、2回ずつ、3回ずつと少しずつ回数を増やしていきます。1回ずつリフティングを30日間続ければ、50回連続はもちろん、夢のリフティング100回も達成できます。
技を修得するときに大事なのは、簡単なことからクリアしていくことです。「できるだけ小さな階段」をのぼることで、自分がどこでつまずいているかを知ることができ、小さな成功を積み重ねることができます。
これは子どもに教えるときも一緒です。お子さんと一緒に何が課題なのかを一緒に考え、少しずつ少しずつ自分の力でできないことをできるに変えていきます。「早くできるようになりたい!」というはやる気持ちを少しだけ落ち着かせて、技を修得しましょう。
今回は「体が思うように動かない理由」と「小学校体育を習得するための心構え」をお伝えしました。もし、あなたが運動の感覚を取り戻し、子どもが教えて欲しい運動をマスターできたら、それはそのままお子さんに教えることができます。
逆上がり、二重跳び、リフティングの練習方法や攻略方法は検索をすればいくらでも出てきますし、本もたくさんありますが自分でやってみてできるようになったときの言葉が力のあるアドバイスになります。
是非、子どもの運動をきっかけに体の力を取り戻す挑戦に励んでみてください!