手間をかけずに、効率よく仕事と時間を管理する手法を提案している、時間管理のプロ・水口和彦さん。「仕事が忙しく家に帰るのが遅くなって、家事や育児ができない」という男性は、どのようにして家族の時間を確保すればよいでしょうか?
「たとえば、期限が迫っている仕事がある場合、『残業になって当たり前』と考える人も多いですよね。しかし、本当にそうでしょうか?大切なのは、しっかりと仕事の計画を立てて早めにとりかかり、残業をしなくても間に合う態勢をつくっておくことです。
まずは、『残業になって当たり前』という考えを見直しましょう。そうすれば、残業を減らして早く帰宅することができ、家族の時間がつくりやすくなると思いますよ」(水口さん)
しかし、なかには「残業中のほうが仕事がはかどる」という人もいます。
「残業中は電話なども少なくなり、会議もなくて、落ち着いて仕事ができるのは確かです。ただ、それに慣れてしまうと、『この仕事は残業で行おう』という考え方に陥ってしまうので、やはり『どんな仕事も定時までに終わらせる』という気持ちを、強く持っておかなければいけません」(水口さん)
残業を減らすためには、効率よく仕事を行うことが大切です。
「定時までに仕事を終わらせるためには、『1タスク2時間』を目安に、仕事内容を細かく分割することをおすすめします。2時間を超えるタスクは、そのままだと手を付けづらく、「時間があるときにやろう」と後回しになってしまいがちですが、2時間以内でできる細かいタスクに分ければ、そのタスクを行う時間がとりやすくなり、仕事がスムーズに片付きます。
一方で、5分以内で終わる仕事は、後回しにせず、すぐに行いましょう。後でやろうと自分の手元に置いてしまうと、いざ行うときに、仕事の内容を思い出したり書類を見返したりという、ムダな作業が生じてしまうのです。また、いろいろな決断を早く行うことを意識するのも、効率よく仕事をするポイントですね」(水口さん)
1タスク2時間以内を目安に。スケジュール欄の下にその日のタスクを書き込む。
ムダのない働き方をするためには、手帳などを上手に活用することも必要という水口さん。
「まず、タスクは日別に整理して書き込みます。1日のスケジュール欄の下などに、その日行うタスクを書いておきましょう。スケジュール管理ソフトなどを使う場合も、同様にするのがおすすめです。
よくタスクを付箋に書いて、パソコンの周りにいっぱい貼り付けている人がいますが、そういった状態では、どのタスクから先に行うか、優先順位を考えるのに時間がかかります。それに対して、手帳などにそれぞれのタスクを何日に行うのかを書いておけば、タスクの優先順位が見えやすくなります。
また、たとえば40個のタスクが無作為に付箋で貼ってあると、『仕事が多いな……』という重たい気持ちになりますが、1日5個行うと決めて日別に整理して書いていけば、『これなら○日でできる』と気持ちも軽くなります。
さらに、タスクの実施にかかった時間を書き込んでおけば、『このタスクは予定よりも時間がかかった』といった気付きも得られ、今後、スケジューリングをする際に役に立つでしょう。
私が時間管理のアドバイスした方のなかには、タイムマネジメントで残業を週10時間ほど削減することに成功し、家事や育児にあてる時間を増やすことができたという男性もいます」(水口さん)
週に10時間ということは、年に換算すると500時間以上!それだけの時間をつくることができるのは大きいですよね。
また残業をするよりも、朝早くから働くほうが、効率がよい場合もあります。
「遅くまで残業をしていると、疲れて頭が働かなくなり、仕事の効率が落ちることはよくあります。それならば、疲れがなく、頭がクリアな朝の早い時間から仕事をし、定時以降は仕事をしないという考え方もあるでしょう。そうすると、夜は家族の時間が確保しやすくなります。
ただし、朝早く出社することを残業として会社が認めてくれていない場合は、残業代は支払われないというデメリットもありますね」(水口さん)
時間のムダをなくし、仕事も家庭も両立することは素晴らしいですが、自分が疲弊しないように注意することも必要とのこと。
「子どもが小さいうちは、急な発熱で仕事を休まざるを得なくなったり、突発的な出来事も多く発生してスケジュール通りにいかなかったりすることも、しばしばあるでしょう。仕事も家庭も完璧に、と頑張りすぎると、余裕がなくなってしまいます。『仕事も家庭も6~7割できていたら上出来』と割り切って、頑張りすぎないようにすることも、長い人生では大切です」(水口さん)
5分以内に片付く仕事は後回しにしない、タスクは手帳などに日別に整理して書いていく、といったことなら、すぐに実践できますよね。家族の時間を増やすために、まずは1ヵ月、効率よく働くための時間術を実践してみてください。
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