2019.01.24

看護師がFPの資格を取ったら、自分にしかできない仕事に出会えた

看護師がFPの資格を取ったら、自分にしかできない仕事に出会えた

新しい資格を取得することで、キャリアアップやキャリアチェンジを実現した方へのインタビュー企画。今回は、看護師からファイナンシャルプランナー(FP)へ転身した、黒田ちはるさんにお話を伺いました。黒田さんが全くの異業種へ挑戦した経緯や、それによって得られたものとはなんだったのでしょうか。

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看護師時代に感じた、患者さんの悩みに寄り添えないジレンマ

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――まずは黒田さんの前職・看護師に関するお話を聞かせてください。看護師という職業に興味を持ったきっかけはなんだったのでしょうか?

私が看護師という職業を意識したのは、高校に入学した頃でした。年上のいとこの影響でしたね。看護師であれば、一生続けられて、人のためにもなりますし、じっとしていられない性格の私にとっては事務職などよりも向いているんじゃないかと思ったんです。

――早い時期から興味を持っていたんですね。実際に看護師になるのは大変でしたか?

国家試験は本当に大変でしたが、なんとか受かりました。でも、当然かもしれませんが、看護師になってからの方が大変で……。看護師の仕事は、常に優先順位を考えながら動かないといけないんです。一人で何人もの患者さんを担当するので、どの方の処置が最優先か、どう対応するべきかを、常に把握していないといけなくて。

――黒田さんは、主にどんな患者さんをご担当されていたんですか?

病院に入ったばかりの頃は、外科病棟へ配属され、がん患者さんの担当になることが多かったです。そんな中で、生活面やご家族のことなど、患者さんからいろいろな悩みを聞くことが多くなりました。でも、看護師としてどこまで介入していいかが分からなかったんですよね。

――患者さんは、具体的にはどのような悩みをお持ちだったのでしょう?

治療費への心配が生活への不安につながるといった、金銭面の悩みが多かったですね。しかし、当時の私はお金に対する知識が全くなかったので、何も答えられませんでした。
がん患者さんって、心の状態が身体の調子に影響してくることが多々あるんです。そのため、心のケアの面でも患者さんの役に立ちたいと思っていたんですが、その一方で、もちろん看護師としてのシビアな視点も必要になります。患者さんの緊急性や予後の予測も、きちんと見極めなければなりません。しかし私の場合は、どうしても患者さんやご家族の心境の変化にまで敏感になってしまって、よく「感情が入り過ぎだ」って、先輩に叱られていました。

スーパーでふと手にした通信教育のチラシが、私の人生を変えた

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――その後、黒田さんはファイナンシャルプランナー(以下FP)の資格を取得されますが、何がきっかけだったのでしょうか?

実は、FPの勉強を始めたきっかけは、単純に「家計をやりくりするのに役立ちそうだな」って思ったからなんです。看護師の寮の近くにあるスーパーで、たまたま通信教育のユーキャンのチラシを手にしたのがきっかけでした。入り口はすごくシンプルでしたね。

――勉強を続けるうちに、FPを仕事に活かそうと思われたんですか?

結婚して、看護師の仕事を少しお休みしている間にFPの勉強を始めたんですが、FPで扱う6つの分野のうち、「ライフプランニング」の項目を見ていたら、かつて患者さんが悩んでいたことへの解決策が分かってきて。それ以降は、勉強しながら「これをあの患者さんに教えてあげられたら良かったな」とか「こういうことはぜひ患者さんたちに教えてあげたいな」という視点に変わっていったんです。そして、実際にやってみようという思いが芽生えました。

――看護師を続けながら、FPとしても活動しようと考えたのでしょうか?

そうですね。看護師を続けながら、目の前の患者さんに対してFPとしてのアドバイスもできればと考えていたんです。でも実際は、患者さんの悩みをしっかり聞こうとすると看護師としての処置が滞ってしまい、なかなかうまくいきませんでした。
患者さんは、単に治療費について知りたいだけではなく、自分の生活がこの先成り立つのかが心配でいろいろ質問をしてくるんですよね。そういったことに答えられる知識はある程度身についていたので、本当は教えてあげたかったんですけど、それができない環境にまたもジレンマを感じました。

――それが、FPに転身する気持ちを奮い立たせたんですね。

はい。当時、私は病院の中で看護師として雇用されていたので、例えば「週何日かはFPとして働く」というのは無理だったんです。また、看護師という職業ではできない経済面のアドバイスがあるということにも気付きました。FPの立場でしか言えないことがあるんですよね。さらに、特定の病院でFPとして活動する形ではその病院の患者さんにしか応対できませんが、FPとして独立すれば、いろいろな病院を回ることができるんじゃないかとも思い始めて。
看護師は、自分がなりたくてなった職業ではありましたが、看護師として患者さんに寄り添っている方はたくさんいます。でも、看護師を経験して、医療のことや患者さんの気持ちを分かっているFPは少ないですから、「やっぱり自分がやらなきゃいけない」と強く感じたんです。家族からは、最初は反対されましたが(笑)、迷いはありませんでした。今では家族も応援してくれています。

看護師からFPへ。異例の転身を果たしたその先には……

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――FPとして独立するために、どんな準備をしたのでしょうか?

まずは、ブログやSNSなどを使って、自分から情報を発信しました。それである程度は認知されたんですが、やはり限界はあるので、専門家の活動を支援する「ガイドサイト」への登録もしましたね。とにかく、FPとしての活動内容をアピールすることが大事だと考えたんです。
また、経営相談を行うことのできる、県の「よろず支援拠点」も活用しました。そこでもやはり、多くの相談者に来てもらうためには、FPとしての認知度を高め、安心して相談に来てもらえるようにする必要があるとのアドバイスを受け、より認知度を高めるために講師としての活動も行うことにしたんです。企業を訪れ、健康管理の大切さや企業が使える制度について講演するなど、医療の現場を知っているFPとして活動しています。

――黒田さんは「がん治療専門のFP」として活動しているそうですが、それはなぜなのでしょうか?

がんは、他の慢性疾患と違い、見通しが立ちにくいという特徴があります。例えば、今がんと診断されたとして、来年はどうなっているか分からない。元気に歩いているかもしれないし、もしかしたら他の部分に転移して車椅子生活になっているかもしれません。そんながん患者の方の、自分も家族も見通しが立たない不安に寄り添いたいと思ったのが理由です。

――医療の現場を知っている、黒田さんのようなFPの方に相談できたら心強いですね。

ただ、私は今、あえて看護師だと名乗らないことの方が多いんです。その方が、FPとしてじっくり相談に乗れますから。
また、私のように看護師からFPへ転身をする方はかなり稀だと思いますが、看護師の方に対しては、もっとFPの必要性を伝えていきたいですね。金銭面で安心できることが、患者さんの心のケアに大きく関係してきますから。

――最後に、これから新しい道を歩もうとしている方に、アドバイスをお願いします。

全く違う分野に転身したからといって、今までの経験が無駄になることはありません。自分だけが持っている経験をうまく活かして新しい知識と融合させれば、大きな武器になると思います。
私の場合はFPの資格でしたが、おそらく新しく資格を取得するきっかけには、自分が知らなかったことや答えられなかったことを、解決したいという想いがあると思うんです。中には難易度の高い資格もあるかもしれませんが、逆に言えば、それこそがみなさんが分からなくて困っていること。だからこそ、資格を取得するのに苦労した分だけ、活かしていけると思いますよ。

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取材・文/河辺さや香
取材協力 
黒田ちはるさん
黒田ちはるさん
看護師、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP。看護師として、主に消化器系のがん、乳がん、肺がんの外科的手術、抗がん剤治療、放射線治療、緩和ケアに携わる。10年間の看護師経験から得た「がん患者の抱える家計面等の問題解決が、心身への負担を軽減できること」を信条とし、千葉市美浜区に日本で唯一の医療従事者(看護師)によるがん専門の家計相談事務所を開業。

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