コスメコンシェルジュとして女性誌をはじめさまざまなメディアで活躍する、日本化粧品検定協会代表理事の小西さやかさんは、科学的な視点で美容やコスメの正しい知識を伝えています。そんな小西さんが「忙しくても、なまけてキレイを叶える」と提唱する「時短美容」についてお話を伺いました。
「今は美容に関する情報があふれていて、間違ったケアをしている方が多いように感じています。本来肌をキレイにするはずの化粧品も、肌悩みに対して最適なケアを行わなければ、逆効果になってしまうこともあるんです」(小西さやかさん)
小西さん自身も、学生時代は正しい美容の知識がなく、過剰な皮脂が原因でできた額のニキビにオイルを塗り悪化させ、ひどいニキビに悩む日々だったそうです。
「私は、化粧品メーカーへ就職して美容や化粧品の知識を得たことで、みるみるうちにニキビが治りました。このとき、美容と化粧品の正しい知識を得ることの大切さを痛感したんです。私が推奨する『時短美容』も、ただ手を抜いてなまけるのではなく、最適なお手入れをすることで無駄なくキレイになれる美容法です。まずは、慌ただしくなりがちな朝こそ、なまけを活用した『時短美容』を取り入れてみてくださいね」(小西さやかさん)
忙しい朝のスキンケアにも「正解」があります。ここでは洗顔、スキンケアのポイントを紹介します。短い時間でもきちんと肌を整えることで、メイクアップの効果も高まります。
洗顔のポイント1:泡立ては指を立てるように
洗顔時の摩擦や刺激を防ぐため、泡立ては大切です。短時間でたっぷりの泡をつくるポイントは、洗顔フォームを手に取り出して軽く泡立てた後、指を少し開き、立てた状態で泡立てること。空気が入り込みやすく、ふんわりとした泡がつくれます。最近は、泡で出てくるタイプの便利な洗顔料もあるので活用するのもいいですね。
洗顔のポイント2:泡を乗せるのはTゾーンだけ
朝の洗顔は水やお湯で流すだけの方もいますが、それでは睡眠中に酸化した皮脂が詰まったままになってしまうのでNG。皮脂分泌の多いTゾーンだけは洗顔フォームでしっかりと泡立てて洗い、すすぐ際にTゾーン以外の顔全体にも伸ばすように洗い流す「Tゾーン洗顔」がおすすめです。このTゾーン洗顔で、乾燥しやすい頬のうるおいは守りながら、Tゾーンの酸化した皮脂を落とすことができます。
洗顔のポイント3:すすぎは冷たいと感じるくらいの32~34度で
「温かい」と感じるお湯ですすいでしまうと、肌にとっては温度が高く、必要な油分まで奪われ、乾燥の原因になってしまいます。美肌づくりに適したすすぎのお湯の温度は、32~34度。お湯に触れたとき「少し冷たいかな」と感じるくらいが適温の目安です。
スキンケアのポイント1:手の温もりで浸透感アップ
化粧水や美容液、クリームなどを塗るときは、手に取り出した後いったん手のひらで温めてから肌に乗せると、温もりの効果で浸透感が高まります。この時、叩いたりこすったりするのは、肌にダメージを与えるのでNG。手のひら全体を使って、顔を包み込むようにしましょう。
スキンケアのポイント2:簡単マッサージでむくみスッキリ
クリームもしくは乳液を塗ったそのままの手でできるリンパマッサージです。リンパを流すことでむくみがスッキリし、メイク前の顔色が明るくなります。マッサージは力を込めすぎず、「気持ちいい」と感じる強さで行ってください。
1.顎からこめかみに向かってらせんを描くように指をすべらせ、こめかみのツボを押してください。
2.額の中央で指を交差し、手のひらを額に密着させながら内から外へ軽く押し流すように手をすべらせましょう。
3.目頭からまぶたを通って目尻、目尻から目の下を通って目頭と、目のまわりに円を描くように指をすべらせます。この時「●」の位置で軽くプッシュしましょう。最後は、眼窩(眼球が入っている頭蓋骨の穴)に軽く指をかけて、押し上げるようにツボを押してください。
時短メイクを『手抜き』に見せないためには、コスメ選びや道具の使い方も大切です。ここからは、短時間でも美しく仕上がる基本メイクのポイント、コスメの選び方などを紹介します。
メイクのポイント1:ベースメイクはBBクリーム1品で
1品で日焼け止め、化粧下地、ファンデーションの機能を備えたBBクリームは、時短メイクの強い味方。さらに、パフで伸ばすことで、ムラなく、速く、キレイに仕上がります。
1.パフの角にパール粒大のBBクリームを出し、a:両頬、b:額、c:鼻先、d:顎の順で置きます。
2.シミが目立ちやすい両頬(1)から、顎(2)、額(3)と鼻先(4)の順で伸ばす。パフに残ったBBクリームだけで、パフの角を使いながら小鼻のわきや表情で皮膚が動く目元、口元を塗ると、薄く伸ばせ、メイク崩れ防止にもなります。
3.パフは1回ごとに角を使うと毎回洗わずに済み、表裏で合計8回使えて時短になります。
メイクのポイント2:眉はペンシルとパウダーで自然な仕上がりに
眉毛が薄いと老けた印象になりやすいので、消えやすい眉山と眉尻はペンシルでしっかりと描くのがポイント。パウダーは眉頭のようなふんわり仕上げたい部分に使います。おすすめはペンシルとパウダーが1本にセットされたタイプ。メイクポーチの中がスッキリし、コスメを探し出す時間が省けるので、時短に役立ちます。
1.ペンシルで眉山の位置を決め、眉尻に向かって眉毛を描き足しましょう。
2.眉毛が薄くなっている部分や眉頭は、眉の中心部分から外に向かってパウダーで補うようにチップを動かしながら乗せると、自然な仕上がりになります。
メイクのポイント3:チーク&ハイライトで立体感と明るさをプラス
チークとハイライトを使うことで、顔に自然な立体感と明るさが生まれて、きちんとメイクをした印象に。チークとハイライトが一体になったパレットタイプを選ぶと、コンパクトを何度も開かずに済むので時短になります。
1.チークやハイライトは、大き目のブラシにしっかりとパウダーを含ませるのがキレイに仕上げるコツです。
2.(1)チークは両頬の笑うと高くなる位置に、逆さ三角を描くように乗せます。(2)ハイライトはTゾーン(額、鼻の付け根と鼻先の中間くらいまで)と目の下にサッと乗せましょう。鼻先まで乗せてしまうとテカリに見えるので、注意しましょう。
<完成>
このように、コスメの選び方と使い方次第で、最小限の時短メイクでも手抜きに見えず、美しく仕上げることができます。基本さえマスターしたら、後はTPOや気分に合わせてリップメイクで華やかさを簡単にプラスできます。
「良いといわれているものを何でも取り入れることが、キレイにつながる訳ではありません。人によって、肌状態や肌悩みが違うので、それぞれに合う最適なお手入れをする必要があります。まずは、自分の肌の状態を知って、本当に必要なコスメを見極めることが『時短美容』の第一歩です。日本化粧品検定協会では、化粧品の正しい使い方や、肌悩みに合ったお手入れ方法などを学べます。ユーキャンのコスメ検定(R)講座にはコスメ選びのガイドブックがついているので、コスメを選ぶ時の参考になるはずです。今は、時短に役立つ便利なコスメも増えているので、美容の知識と情報をブラッシュアップしながら、賢く使って、時短でキレイな肌を叶えてください」(小西さやかさん)