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2020.03.12

アナウンサーからフラワーアーティストに。自分の「好き」を仕事にした前田有紀さんの転身ストーリー

アナウンサーからフラワーアーティストに。自分の「好き」を仕事にした前田有紀さんの転身ストーリー

マイクを握って華々しくリポートするアナウンサーから一転、フラワーアーティストになった前田さん。「好きを仕事にする」ようになった今に至った転機やこれまでの道のり、明るい笑顔に隠された夢をかなえるための努力などを伺いました。

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取材の中から沸き上がった疑問から、休日は好きなこと探し

取材の中から沸き上がった疑問から、休日は好きなこと探し

前田有紀さんと聞いて、テレビ朝日の人気番組での活躍をパッと思い浮かべた方も多いのでは。多くの人が憧れ、採用も狭き門のアナウンサーとして就職。その後、約10年間勤めたテレビ局を退社したきっかけは何だったのでしょう?

「アスリートや企業の経営者など、その道で活躍している方にマイクを向けることが多かったのですが、そういう方々は皆、好きなことを仕事にしていて、極めている方たち。当時入社5~6年目で、忙しいながらも刺激も多く、毎日充実していた私ですが、そんな方たちの目の輝きに圧倒されてしまいました。この人たちのように、私は輝けているのだろうか? 私は好きなことに向き合っているのだろうか?と。そうしたら、私も好きなことを突き詰めてみたいな、と思ったんです」(前田有紀さん)。

そこから始まった、自分の好きなこと探しのための習い事。多忙なアナウンサー生活の合間をぬって、料理やスポーツ、お花…さまざまな体験をしていた頃、自然と無縁な生活を送っていた前田さんを癒したのは、帰宅した部屋に飾ってあった一輪の花。

「その花が部屋をパッと明るくともすように、仕事で疲れて帰宅した私に元気を与えてくれました。最初はたった一輪だけ飾っていたのが、だんだん部屋に花が増えていきました。それに比例するように、そういえば花や緑、自然のある風景が子どもの頃から大好きだったことを思い出したんです。もっとお花のことを習いたい、深めたい、そしてお花を仕事にしたい、と思いは強くなっていきました」(前田有紀さん)。

その思いとは逆に、周囲からはずっと今の会社にいたほうが良い、という反対の声も多数あったとか。

「私自身も、不安が全くなかったわけではありませんが、次第に好奇心のほうが大きくなっていき、まだ見ぬ新しい世界に進みたいと思い、10年勤めた会社を退職。自分の好きなことを見つめ続けた結果、その先に自分らしい人生があるんだと信じていました」(前田有紀さん)。

イギリスの古城や自由が丘の人気店で修業に明け暮れる毎日。手にはあかぎれも!

イギリスの古城や自由が丘の人気店で修業に明け暮れる毎日。手にはあかぎれも!

「花の道で生きる」と決めた前田さんは、前職を辞めてすぐにイギリスに留学。半年間、コッツウォルズの中世の古城で、庭師のインターンとしてさまざまなことを学んだあとに帰国。イギリスで学んだ花もガーデニングも引き続き学びたいと自ら履歴書を送り、自由が丘の人気花店に就職。

「花の道で生きていくための、ありとあらゆる術を教えてもらった場所が『ブリキのジョーロ』です。花と植物に囲まれた、広い庭もあるとても素敵なお店での約3年は、本当に忙しく充実した毎日でした。仕入れた花は水の吸い上げを良くするために、市場から店に戻って根元を切るのですが、花の種類によって扱い方、水のやり方、切り方が違うので、ひとつひとつ基礎から覚えました。接客や事務作業、イベントやお祝い用の大きな装花などの車での配達、何でもしました。数年経ったころ、重要な仕入れも任せてもらえるまでになって、朝の3時に起きては、車を運転して市場に仕入れに行く生活に。仕入れる花の品質やコンディションは、そのまま店の顔や評価につながります。競りが始まる前に、箱の中の花の良し悪しを下調べしたり、品質の悪いものを仕入れると厳しく指導されたり、一生役立つ目利きを教え込まれました。花にまつわるありとあらゆるスキルを習得し、勉強を続け、濃密で楽しい修業生活でした。手荒れなどももちろんありましたが、それが苦にはなったことはありませんね」(前田有紀さん)。

「お花をもっと身近なものに。親しみやすいかたちで浸透させたい」

「お花をもっと身近なものに。親しみやすいかたちで浸透させたい」

前田さんはその後独立して、移動型花屋「gui(グイ)」を立ち上げました。アパレルの展示会の装飾や企業のノベルティを請け負ったり、イラストレーターとコラボして新しいクリエーションを生み出したりと、現在精力的に活動しています。「いろいろな案件をいただいて、そのご要望に合わせて作るのが今はとっても楽しいです。お花というツールで、今まで他の人がやってこなかったことをこれからもっと企画していきたいと思っています」(前田有紀さん)。

もっとみんなにお花のことを知ってほしいという想いから、店というカタチを飛び出して、いろいろな場所の軒下を借りてお花を売り、お花との出会いの機会、またそのお花を買ったお客様に出会う機会を作る移動花屋さんという新しいスタイル。

アナウンサーからフラワーアーティストに。自分の「好き」を仕事にした前田有紀さんの転身ストーリー

「好きなお花を仕事にしましたが、まだまだこれから。お祝いやイベント、記念日にはお花のニーズがありますが、自分のために買ったり、お花を身近な存在として考えている人はまだまだ少ないなと実感しています。たくさんの素敵なお花を仕入れても、売れずに廃棄されていく光景はとても悲しいもの。素敵なお花を育ててくださった生産者のためにも、廃棄は減らしていきたいです」(前田有紀さん)。

そこで、現在取り組んでいることは、余ったお花をドライフラワーやアクセサリーにしたり、スタッフたちと作品撮りをすることだそうです。一度飾って、枯れたら終わりではなく、さまざまな形で使い続けられるようなお花の楽しみ方を、今後も幅広く展開予定だとか。

自分の好きなことを見つけ、それに触れる時間を増やすこと

自分の好きなことを見つけ、それに触れる時間を増やすこと

豊かな自然に囲まれ、移ろいゆく草木の様々な表情を感じられる鎌倉を拠点として活動するフラワーアーティストの前田有紀さん。自然の中で子育てしたいと居を構えた鎌倉での生活や好きなことを仕事にした今が、いかに充実しているかが溢れて伝わってきます。

「人には、安定している、恵まれている、と映っても、それは自分の考えとはノットイコール。皆が皆、転職や方向転換するのがいいとは思いませんし、確かにワクワクすることを見つけなくても生きていけます。けれど、あっという間に大事な時間は過ぎて、後になって『こうしたかった』なんてもったいないから、自分への問いかけはしてみると良いですね。とはいえ、迷ったり、何をすべきか考えている人には、会社を辞めたり、方向転換することがすべてではないとも思います。今の仕事を続けながら、好きなものと並行することができたら、それも素敵だし、ありですよね」(前田有紀さん)。

テレビ局を退社して7年経った今、辞めなければ良かった、と後悔したことは一度もないという前田さん。「きっと大変なことについて考えたら、お花の道を選んだ今のほうが2倍も3倍も大変。でも自分が選んだ、選び取った人生だから、大変だけどやりがいの方が大きいです。今、とっても楽しくてワクワクしていますね」(前田有紀さん)。

まさに、自分の好きなことの発見が招いた、新しい仕事。
「安定よりも好きな道を選びましたが、自分だけの何か、誇れる何か、が見つけられていない人もまだまだいるはず。まずは自分の好きなことや、好奇心のわくものは何なのか、突き詰めるための時間を増やすことから始めてみたら、新しい世界が広がりそうですね」(前田有紀さん)。

撮影:山田英博 文:羽生田由香
取材協力:GARDEN HOUSE
http://www.gardenhouse-kamakura.jp/
【取材協力】
前田有紀(まえだゆき)さん
フラワーアーティスト。10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズの古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで修業を積み独立。2018年秋には、自身の手がける花屋ブランド「gui」を立ち上げ、花と緑のある暮らしを提案。

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