相手と上手にコミュニケーションをとるためには、流暢に話すことが必要だと思っていませんか?実は、いい関係を築くために大事なのは、話すことよりも、むしろ聞くこと。リアクション、頷き、質問などを駆使しながら、どんどん相手に話してもらうことが大切です。
特に、愚痴を聞くというシチュエーションでは、心に溜まっていることをできるだけ吐き出させてあげるのが重要。パートナーの愚痴には突っ込みどころもたくさんあるかもしれませんが、自分の意見や感想を言いたくなっても、しばらくは我慢してあげてください。愚痴をこぼすのは、相手に理解してほしいから。アドバイスや解決策よりも、共感が大事なのです。
愚痴を聞くのは、気持ちのいいものではないかもしれません。しかし、相手の愚痴を聞く時こそ、心に寄り添った会話ができれば、二人の信頼関係はさらに強くなること間違いなし!どのように愚痴を聞けばいいのか、具体的なテクニックを確認していきましょう。
愚痴の聞き方:男性編
女性にとって悩みを打ち明けることは、「親密な関係であること、相手を頼りにしていること」の証であることが多いです。話を聞いてもらうことでストレスが減ることもあるので、ぜひ積極的に聞いてあげてください。彼女や妻の愚痴を上手に聞くためには、以下の点を意識しましょう。
1:共感を伝える相槌を多用する
「それは大変だったね」「その気持ち分かるな」など、共感を伝える相槌を意識しましょう。
「こうすればいいんじゃない」といった解決策を言いたくなるかもしれませんが、必ずしも好意的に受け止められないこともあります。少なくとも、パートナーが一通り愚痴を言い終わるまでは、解決策の提示はやめておきましょう。
「俺が○○の時は~」と、自分の話に繋げてしまう人もいますが、そのような会話ドロボウや自慢もNGです。
2:承認する
「頑張ってるね」といった、相手を承認する言葉をかけましょう。パートナーが愚痴を聞く時には、「この人は私のことを分かってくれる」という気持ちになってもらうことが大切です。
3:味方であること、愛情があることを伝える
「どんな時も味方であること、愛情が変わらないこと」を伝えましょう。おすすめは「そんなところも好きなんだけどね」というフレーズです。失敗してしまった、引き受けてしまったなど「~してしまった」という話の時に、すかさず使ってみてください。
このフレーズは、ついパートナーの悪い部分を指摘してしまった時、説教じみたアドバイスをしてしまった時の挽回フレーズとしても使えるので、ぜひ覚えておきましょう。
愚痴の聞き方:女性編
男性の場合、悩みを打ち明ける時に、恥の感情を抱いてしまうことがあります。女性とは逆に、話すことがストレスになる場合もあるので気をつけましょう。彼や夫の愚痴を聞く時には、以下のことを意識してみてください。
1:質問し過ぎない
男性は、愚痴を言いながら頭を整理していることがあります。あれこれ質問して、思考を中断しないように注意してください。パートナーだからこそ言いたくないこともあるので、そのことも考慮しましょう。根掘り葉掘り聞くのはNGです。
2:驚き過ぎない
「えー、なんで!?」「うそっ、どうするの!?」など、驚き過ぎのリアクションは控えましょう。普段の会話では大きなリアクションが好まれることもありますが、愚痴を言うような状況では、パートナーを傷つけてしまうリスクがあります。
愚痴を言う時に男性が感じてしまいがちな恥の感情を刺激しないためにも、落ち着いたリアクションを意識することが、パートナーの愚痴を聞く時のポイントになります。
3:自尊心に配慮する
大切な人の前では、頼れる存在でありたいものです。愚痴をこぼすことで、彼や夫の自尊心が低下することもあると知っておきましょう。あれこれ聞き出したくなっても我慢すること、自信を持たせるようなコメントをすることなどを心がけ、パートナーの自尊心を傷つけないようにするのがポイントです。
もしも余計なことを言ってしまったら、「でもあなたのことだから、きっと大丈夫」などとフォローしましょう。
もちろん、男性だから、女性だからといって、どなたにでも当てはまるわけではありません。一つの傾向として参考にしてみてください。
パートナーの愚痴を上手に聞きたいのであれば、言葉以外の部分も意識しましょう。特に気をつけたいのは「しぐさ」と「表情」です。
「しぐさ」で特に重要なのは「頷き」です。頷きのコツはスピードにあります。みなさんご存じの通り、話を聞く時は頷きが大事。頷きのスピードが速いと、きちんと聞いていないような印象になりがちなので、愚痴を聞く時は相手の目を見て、普段より少しゆっくり頷くようにしてみてください。ちなみにこの方法は、怒っている相手にも有効です。相手の気持ちを落ち着ける効果がありますので、試してみてください。
「表情」はオーバーにしないのがコツ。共感を伝えたくて悲しそうな顔をするのがいいと思うかもしれませんが、それによって相手が状況をさらに深刻に捉えてしまうこともあります。あなたは一緒に怒ってあげたつもりでも、それによって相手の中で怒りが増長したり、自分の悪いところに気づけなくなったりすることもあります。共感することは大事ですが、表情がオーバーにならないように気をつけましょう。
愚痴に限らず、パートナーのさまざまな話を上手に聞いてあげられるようになると、二人の関係はより強固なものになります。お互いが聞き上手になると、例えばこんなメリットがあります。
以前、夜の世界でホステスやホストの人たちがあれだけ稼げるのは、どうしてなのかを考えたことがあります。おそらく、話をしっかり聞いてくれて、自分を認めてくれる、そんな体験に人は大金を払うのでしょう。「人は話を聞いてもらうためなら、お金を得ることを諦める」というアメリカの研究もあります(※)。それくらい、私たちは自分に関心を持ってくれる人を求めているのです。
聞き上手な人が大切なパートナーであるなら、これほど幸せなことはないはず。相手の心に寄り添い、テクニックも駆使して、聞き上手なパートナーを目指しましょう。恋人でも夫婦でも、きっと今よりいいパートナーシップが築けるはずですよ。
※参考文献
Diana I. Tamir and Jason P. Mitchell. (2012). Disclosing information about the self is intrinsically rewarding. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 109(21), 8038-8043.