壁という何もないスペースに収納空間を作り出す、壁面収納。家具や備え付けの収納では収納場所が足りない場合はもちろん、どこに置いていいのか分からない物の収納にも役立ちます。今回お話を伺った、ものものさんのご自宅でも、そんな壁面収納をフル活用。しかも、そのほとんどがDIYで作ったオリジナルの壁面収納なんです。
「壁面の空間を自分が使いやすいように活かすなら、やっぱりDIYが一番。キッチンや洗面所などの凹凸がある空間にも活用できますし、完成した後、使い勝手に合わせて改良できるのもポイントです。何より、家具を買うよりも安上がり!例えば、キッチンの自作スパイスラックは、合計2,000円程度でできました」(ものものさん)
ものものさんのキッチンは、壁に吊るしたフライパン、100均アイテムで作った食器乾燥スペースなど、見渡すだけで壁面収納のアイデアが満載!特にこだわりのスパイスラックは、調味料を並べた時に見た目がごちゃごちゃしないよう、元のラベルは剥がし、自作のラベルを高さを揃えて貼るといった細かい工夫が施されています。そこには、几帳面なものものさんの人柄が現われているかのよう。生活する方の「らしさ」がうかがえるのも、壁面収納の魅力ですね。
使い勝手の良い壁面収納を作るためには、どのような手順で行えば良いのでしょうか?実際にものものさんが自作した洗面台の棚を例に、そのステップやコツを教えていただきましょう。
ステップ1:仮の棚でシミュレーション&ざっくりとした設計図を作る
「マストではありませんが、実際に作り始める前に、簡易的なもので何日かシミュレーションしてみると、設計がしやすくなるのでおすすめです。洗面台の棚を作った時は、他のDIYで余った木材を使って簡易的な棚を制作。それを数日間使ってみた結果、この場所では3段以上の収納を備えた大きい棚が必要なことが分かりました」(ものものさん)
「それを受けて、設置場所の高さや幅、奥行きを測定し、設計図を作成します。僕はMacのアプリ『Keynote』を使っていますが、材料の長さが正確であれば、手描きでももちろんOKです」(ものものさん)
ステップ2:材料を買ってくる
「必要な木材をホームセンターなどで購入し、指定のサイズにカットしてもらいます。測定したままのサイズでカットしてしまうと、設置する際に誤差が生じて困る可能性があるので、少し長めに切ってもらうのがポイントです。この棚では塗装をしなかったので、材料費は木材とカット代で計774円でした」(ものものさん)
材料費内訳
計774円(ビスや釘はあるものを使用)
ステップ3:組み立てる
「木材を、ジャストサイズより1ミリくらい短めにカットします。ジャストサイズで作ってしまうと、設置する際に壁や天井に傷が付いてしまうので、少し余裕を持たせて作り、緩衝材などを挟みましょう。この時は、ダイソーで買った傷防止用のフェルト材を上部に挟みました」(ものものさん)
「外枠を組み立てて設置したら、棚板を取り付けます。外枠に釘を3分の2くらいまで打ち込み、その上に棚板をのせるだけ。完成後も棚板の高さを手軽に調節できるよう、造りに余裕を持たせておきます」(ものものさん)
ステップ4:完成!使いながらカスタマイズしていく
「これで完成です!作業時間は丸1日、材料費も1,000円以下と、コスパ良好で満足の出来となりました。実際に使ってみて、棚板を増やしたりフックを取り付けたりと、自由にカスタマイズできるのもDIYの魅力。失敗しても少額の出費で済みますので、気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか」(ものものさん)
「いきなり木材を組み立てるのはハードルが高い……」という方は、まずはお手軽にできる壁面収納からトライしてみましょう。例えば、壁に調理器具を吊るすだけでも、機能的で見た目もおしゃれな壁面収納になります。
「鉄のフライパンは見た目もシンプルなので、壁にディスプレイするだけで『見せる収納』を楽しめます。吊るしている金具は、作業机のケーブル整理のために購入した、ダイソーのコードフック。壁に設置するだけなので手軽にトライできますが、吊るす物の重さには注意しましょう」(ものものさん)
また、ものものさんのご自宅で目を引いたのが、リビングに設置された自作の掃除機スタンド。ダイソンの掃除機に付属している『収納用ブラケット』は、設置するのに壁に穴を開ける必要があります。賃貸ではちょっとハードルが高いので、木材をスタンドにして、壁に直接穴を開けるのを回避。見事、掃除機の立て掛け収納が可能になり、省スペースも叶いました。
「掃除機の収納場所についてはいろいろ悩んだんですが、目につく場所に置いた方が掃除をマメにしそうなので(笑)。このスタンドは、木材にアジャスターを設置しただけのお手軽DIY。ちなみに、ちょっと床との設置面積が狭過ぎるので、近々その部分をディアウォール(壁や床を傷つけずに柱を設置するためのDIYアイテム)に変える予定です」(ものものさん)
「DIYで壁面収納を作ってみよう!」と思ったら、ものものさんがおすすめする、DIYの「三種の神器」を揃えてみてはいかがでしょうか。
「木材の切断には『ダボ切り』を使用するのがおすすめです。本来はダボ(埋め木)を切断するための工具ですが、ちょっとしたDIYならこれで十分でしょう。また、『電動ドリルドライバー』も必ず揃えたいアイテム。小型のものだとパワーが心もとないので、バッテリー式で中型以上のものをおすすめします。それから、DIYには正確な測定がマスト。距離をレーザーで正確に測定できる『レーザー距離計』も、あると便利です」(ものものさん)
今回、ものものさんのお話を聞いて実感したのは、DIYで作る壁面収納の自由度の高さ。賃貸でも工夫次第でさまざまなアレンジを楽しめますし、低予算なので気軽に取り組めるのも魅力です。また、完成した壁面収納を使いながら改良を重ねていき、より自分の生活に合った家具を育てていく楽しさも味わえます。暮らしを豊かにする手作り生活、ぜひ始めてみませんか?
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