「みなさん、自分のことをどのくらいご存じですか?自分をよく理解すると、自分にとって本当に必要なことに気付けて、ぶれない軸を持つことができます。その結果、すごく生きやすくなるんですよ。カラーセラピーは、そのお手伝いをするためのものなんです」(伊藤裕子さん)
そう話してくれたのは、カラーセラピストとして数多くの人と向き合ってきた伊藤裕子さん。カラーセラピーの定義は「色彩の効果を積極的に利用して、心と体の健康に役立てること」だそうですが、自分を知ることとどのように関係するのでしょうか。
「普段の生活の中で、理由は分からないけれどイライラしたり、幸せなはずなのにモヤモヤしたり、またストレスを抱えているのに無理やり抑え込んだりした経験はありませんか。それは心や体のメッセージなので、その声にしっかりと気付いてあげるべきなんです。でも、普通に生活していたら、なかなか難しいですよね。そこで役立つのが、カラーセラピーなんです。
カラーセラピーにもいろいろな方法がありますが、ほとんどの場合、まずは直感で色を選んでいただきます。色にはそれぞれ意味やキーワードが存在していて、無意識に選んだものが、自分が心の奥で感じていることを表しているんです。そうやって、そのときの自分を理解し、心と体のバランスを整えていきます」(伊藤裕子さん)
現在、伊藤さんが行っているカラーセラピーには、イギリス式の「オーラライト」と「アヴァターラ」、色と香りでヒーリングしていくカナダ式の「センセーション」、多くのカラーセラピーシステムのヒーリングに使える「6ベーシック」のほか、さまざまなものがあるそうです。
リーディング(色のキーワードを読み解いてお客様に伝えること)の仕方が異なれば、取り入れる考え方やそこから分かることも異なりますが、色が持つ根底のキーワードには、違いはほとんどないのだとか(どの色がどのような意味を持っているかは、後半の「プチ深層心理診断」で解説しているのでお見逃しなく)。それでは、カラーセラピーを受けると、具体的にどのようなことが期待できるのでしょうか。
「実際のカラーセラピーのセッションでは、その人が選んだ色をもとに、過去や現在のお話を聞いていきます。自分で選んだ色が目の前にあると、何もない状態よりも話しやすくなるんです。
カラーセラピーでは、自分の状況を話すことで溜まっているものを吐き出すことができるので、浄化作用が期待できます。また、誰かに聞いてもらえるという安心感や、癒やしの効果があるとおっしゃる方が多いですね。誰かに話すことで自分の心の中も整理されていくので、だんだん自分のことが見えてきますよ」(伊藤裕子さん)
そして、自分の意識を理想の形にもっていくために、色の力を借りるのもカラーセラピーの特徴だそうです。
「それぞれの色が持つ意味を知り、今自分が求めている性質を持つ色を意識するようにしましょう。例えば、赤であれば『行動的になる』、オレンジであれば『人生を楽しむ』などですね。その色の服を身に着けたり、小物を持ったり……とにかく意識が向けばいいので、その色のものを食べることでもいいんです。
また、『そうなりたい』という願望よりは、『そうなる』『そうなっていいんだ』くらい自信を持って意識した方が、その色が持つ性質に近づきやすいですよ」(伊藤裕子さん)
ここからは、自分の深層心理を知ることができる、カラーセラピーのプチ診断を試してみましょう。それぞれの色が持つキーワードや意味も解説します。
やり方
まず、目を閉じて大きく3回深呼吸し、あなたが今気になる色を直感で選んでください。色の好き嫌いは考えないようにしましょう。
さて、あなたはどの色を選びましたか。選んだ色が持つキーワードや意味を確認してみましょう。ここで面白いのは、色を表すキーワードや意味には、必ず両面性があることです。どちらの面も参考にしながら、自分の深層心理を探ってみてください。
レッド
情熱を表す色です。新しい分野を切り開いていきたいという思いがあるのかもしれません。また、グランディング(地に足をつけてしっかりと現実を生きる)という意味もあります。自分が、生きる根底の力をきちんと持っているか、ふわふわしたことを考え過ぎていないか、振り返ってみましょう。行動的になりたいときには、この色の服や小物などを身に着けるといいでしょう。
オレンジ
人生を楽しむ色です。人生を楽しむことができているかを見つめてみましょう。感情を抑制し過ぎていないでしょうか。体の中では、腸のあたりを司る色とされているので、何か不調が起きているのかもしれません。シンプルで健康に良いものを食べながら、仲間と一緒に和気あいあいと楽しんでみてはいかがでしょうか。また、何かを企画する意欲の色でもあります。人を喜ばせることが得意なら、それをどんどん試してみましょう。
イエロー
旺盛な好奇心を表す色です。いろいろなことを知りたい、人に伝えたいという思いは持ち続けるべきですが、知識ばかりで固めていると頭でっかちになりがちです。もしも理論武装をしてしまう傾向にあったら、気を付けてください。時にはレッドの力を借りて実際に行動したり、オレンジの力を借りて人と会ったりした方がいいでしょう。また、自分の軸をしっかりと持つことができているでしょうか。他人と比べてばかりいないか、振り返ってみましょう。
グリーン
ハートを司る色です。バランスや人間関係の色とも言われています。今の人間関係を見つめ直してみましょう。また、自分の心がきちんとオープンになっているかを確認してみましょう。時間的、空間的な余裕を持てているか、深く呼吸ができているかも大切です。酸素を作っているのは植物の緑ということもあり、もしかしたら酸素が足りていないのかもしれません。どうもイライラすると感じたら、リラックスする時間を持ちましょう。
ブルー
言葉を使ったコミュニケーションを表す色です。体の中では、喉を司っています。言うべき相手に、言うべきことがきちんと伝わっているかを振り返ってみましょう。また、完璧主義や女性らしさを表す色でもあります。真面目なのはいいことですが、完璧にできないことには手を出さない傾向があり、意外と部屋の中が汚いのもこのタイプです。さらに、ブルーには悩みを抱え込むという意味もあります。優しいからだとも言えますが、もしも抱え込み過ぎてしまっていたら大変です。時には、周囲にきちんと助けを求めるようにしましょう。
バイオレット
神秘の色です。体の中では、頭を司っています。頭だけで考え過ぎていませんか。足を使わず、妄想の世界でばかり生きていると疲れてしまうので、きちんとバランスをとりましょう。また、直感力は優れていますが、自分の使命や役割を考えて、思考がスピリチュアルな方向へいきがちな側面もあります。睡眠不足の方も選びがちな色なので、睡眠不足になっていないかを振り返ってみましょう。
ピンク
愛の色です。無条件で適度に与えることができていればいいのですが、愛を求め過ぎていたり、過剰に与え過ぎていたりしないでしょうか。また、女性にとっては子宮の色でもあるので、女性ホルモンのバランスが乱れていないかを確認してみましょう。食生活やメンタルバランスを見直すことも忘れずに。さらに、ピンクは経営者の色でもあります。全体を見ることのできるジェネラリストとして優れていると考えられます。
ターコイズ
川や海を象徴する色です。川の周りに古代文明が発展したことから、文化文明の色とも言われています。そして、川のように長く続く人間関係を大切にするという側面もあります。道徳心が強くて真面目、また考えていることのレベルが高いのも特徴です。ただし、自分の理想に現実が伴っているかをきちんと見直してみましょう。もしもかけ離れていたらつらくなるので、地に足を着けるように心掛けると良いかもしれません。
ゴールド
豊かさの色です。自分が持っている知識や経験の豊かさに、きちんと気付いているでしょうか。自分が培ってきたものにもう一度目を向け、それが分かった上で目標を立てると、達成しやすいでしょう。周囲の人にも豊かさを分けられる方ですが、ネガティブな面を見れば、権力や名誉を求め過ぎているかもしれません。
クリア
クリエイティブの色です。道を照らす光の色なので、自分の方向性を明確にしたい時期なのかもしれません。また、何もないところから、何かを作り出すクリエイターの色でもあります。作り出したいと思っているものがないかを、振り返ってみましょう。自分自身がレベルアップを望んでいるのかもしれません。クリアを選んだ深層心理を、何でもできる、可能性があると捉える方もいますが、逆に何もない、自信がないと捉える方もいます。
いかがでしたか。選んだ色のキーワードや意味に、思い当たる部分はあったでしょうか。今の自分を知るきっかけにしてみてください。
最後に、伊藤さんにあらためて、カラーセラピーの魅力を聞いてみました。
「単純に『色』のキーワードや意味を学ぶだけでも、だんだん思考が変わってくるんですよ。それは、『色』を意識することで自分の人生と無意識に照らし合わせて、深層心理に気付いていくからです。
ぜひ楽しみながら、生活の中に『色』を取り入れてみてほしいですね。そしてカラーセラピーを通じて、一人でも多くの方が、周囲のことに惑わされず、ブレずに、自分の気持ちを受け止められるようになってほしいなと思います」(伊藤裕子さん)
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