色の見え方は誰でも同じというわけではなく、男女差や年齢層によって異なることが科学的に証明されています。色彩感覚は、一般的に20歳をピークに加齢とともに徐々に低下することが知られており、男性よりも女性の方がより細かく色を識別できるといわれています。
人の色の見え方は、色覚テストによって「2色型色覚」や「3色型色覚」、そして「4色型色覚」に分類されます。一般的なのは3色型色覚とされ、このタイプよりもさらに色の認識が緻密なタイプが4色型色覚、赤や緑などの色を認識しづらいのが2色型色覚にあたります。
色の見え方はバリアフリーやユニバーサルデザインとも深い関わりがあるため、色選びには専門知識と慎重さが求められます。なお、バリアフリーとは生活上の障害を取り除く考え方を指し、ユニバーサルデザインとはバリアフリーの対象より広範で、多くの人が利用しやすいデザインを指します。
一般的な色の見え方と異なる見え方をする人にも、正しく情報が伝わるように、視認性や識別性に優れた色彩を組み込んだユニバーサルデザインを「カラーユニバーサルデザイン」といいます。もしくは、色覚差による不便をなくすという理念から「カラーバリアフリー」と呼ばれることもあり、いずれにしろその目的は、色の認識差を埋めることにあります。
現在実施されているカラーユニバーサルデザインにおける実施ポイントは、主に3つです。
1つ目は、より多くの人が正しく見分け、判断できる配色を選択すること。
2つ目は、色を見分けにくい人でも情報が十分に伝わるように工夫すること。
そして3つ目は、色そのものだけでなく、色の正式名称を通じたコミュニケーションが行えるように配慮することです。
この3つのポイントに従い、現在では専門機関が推奨する配色セットが定められたり、色調の違いのみに依存しない記号や模様を活用したりと、生活上必要とされる多くのものにカラーユニバーサルデザインの考え方が適用されています。
ものの見つけやすさや図形の把握のしやすさなど、見やすさを向上する際に大きな力を発揮するのがカラーユニバーサルデザインです。実は、私たちの身近なところにもその考え方を意識したデザインが見られます。
たとえば、有名な例として、地下鉄の案内表示が挙げられます。丸を描いた色記号の中に、路線名を示すアルファベットを一字収めることで、多数の方が見ても正しく情報が伝わるように考慮されました。
その他、生活上で欠かすことのできない日用品の中にも、カラーユニバーサルデザインを意識したものが数多く見られます。
特に洋服や文房具といったカラフルな製品は、見る人によっては「求めている色と実際に見える色が異なる」ケースがあります。そこで、間違いが起こらないように配慮された結果、タグやラベルといった目に入りやすい部分に色名を記載されているのです。
このように、色が重要な情報伝達を担っている現場において、カラーユニバーサルデザインの考え方は欠かせません。
できるだけ多くの人に十分な情報を伝えるためには、まず「色の見え方には個人差がある」ということを理解する必要があります。その上で、色調の違いのみに頼らなくても分かりやすく伝わる記号や模様、文字を活かしたデザインを心掛ける、または取り入れることが大切なのではないでしょうか。
一定の規約に則ってカラーデザインを統一しようとした結果生まれたのが、カラーユニバーサルデザインの考え方です。これによって多少は色の見え方に違いがあっても、込められたメッセージや情報が正確に伝えられるようになりました。
あなたの身の回りにも、カラーユニバーサルデザインが活かされているかもしれません。ぜひ探してみてはいかがでしょうか。
いかがでしたか? カラーユニバーサルデザインについてはもちろん、改めて、色が持つ情報伝達の重要性について驚いた方も多いのではないでしょうか。
色の組み合わせや、その色が持つ意味を効果的に使った表現は、現代社会の中に溢れています。またきちんとした色の知識を学べば、メイクや洋服のコーディネート、お部屋のインテリアなどをセンスアップさせることも!
ここではそんな、『色』の持つ面白さや、仕事やプライベートでの活かし方についてご紹介します。