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2016.02.17

奥が深い! 世界を彩る「カラーコーディネート」の仕事

奥が深い! 世界を彩る「カラーコーディネート」の仕事

わたしたちの周りには多くの色があふれています。その色の特性を知り、ファッションやインテリア、様々な商品などの配色提案をする「カラーコーディネート」の仕事。実は想像以上に幅広い活躍の場があるんです。All About「カラーコーディネート」ガイドとしても活躍中の松本英恵さんが解説します。

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色への興味が高まったきっかけは

色への興味が高まったきっかけは

ファッションデザイナーの森英恵さんと同じ名前ということもあり、子どもの頃からファッションやデザインの世界に憧れがありました。大学は法学部、卒業後は大手不動産会社に就職したので、ファッションやデザインに直接関わることはありませんでしたが、学生時代も社会人になってからも周囲におしゃれな女性が多かったので、おしゃれに手抜きできない雰囲気がありました。

会社員時代、たまたま購入した赤いジャケットがとてもよく似合ったので、次のシーズン、赤いコートを購入。しかし、赤いコートはあまり似合わなかった…。赤いジャケットは青みがかった赤、赤いコートの方は黄みがかった赤でした。同じ赤でも色みやトーンに違いがあり、素材感やデザインのテイストも異なっていました。この経験をひとつのきっかけに、自分に似合う色と似合わない色には、何かしらの傾向があるのだと気付きました。

パーソナルカラーの書籍を読み、いくつかのサロンを訪ねて、パーソナルカラー診断を受けましたが、サロンによって診断方法や診断結果は異なります。そこで、まずは、独学で色彩検定やカラーコーディネーター検定の資格を取得することにしたのです。その後、師事する先生との出会いがあり、パーソナルカラーやカラーセラピーを学びました。

実践と学びを通して芽生えた、カラーコーディネーターとしての自覚

2003年から、講師やイベントの仕事、ウェブメディアで連載をする機会に恵まれ、2005年、All Aboutカラーコーディネートガイドに就任。仕事の機会が増えるにつれて出かける地域が広がり、人との出会いも増えていきます。その中で、その地域ならではの色づかいや色の好みがあり、商品や販売における色彩計画において十分に考慮する必要があることを痛感しました。仕事の幅が広がるにつれ、学びたいという意欲はますます高まり、大学院に進学し修士課程(芸術工学・デザインストラテジー)を修了しました。

このように、実践と学びを積み重ねながら、カラーとイメージの専門家として歩んでいこうという思いを強くしました。

カラートレンドが教えてくれたこと:視点を変えると新しい世界が見える

カラートレンドが教えてくれたこと:視点を変えると新しい世界が見える

毎年12月になると、アメリカのパントン社は「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表します。「カラー・オブ・ザ・イヤー2016」に選ばれたのは、「ローズクォーツ(淡いピンク)とセレニティ(淡いブルー)」の2色。パントン社は、女性的なピンクと男性的なブルーを組み合わせることによって、ジェンダーレスというトレンドの方向性を示しました。

2015年から、日本流行色協会(JAFCA)も「今年の色、来年の色」を発表することになったのですが、「2016年の色」として選ばれたのは、「アースリング・ブラウン」。アースリング(地球人)とは、国や性別、組織の境界を超えて、世界で活躍する人のこと。JAFCAとパントン社の提案色とは全く異なりますが、既成概念にとらわれない新しい文化の芽生えを示したという点は、相通じるものがあるのではないでしょうか。

経済がグローバル化するにつれて、トレンドもグローバル化する傾向がありますが、一方で、その地域ならではのトレンドも魅力的に映ります。時代の大きな流れはあるけれど、地域の文化によって、目に見える色は違うのです。

色は、言語の壁を乗り越えてグローバルなコミュニケーションをうながしますが、地域の彩りを帯びることによって、より一層魅力が増します。そして、人によって好きな色や似合う色が異なるように、非常にパーソナルなものでもあります。グローバル、ローカル、パーソナル……。カラートレンドは、物事を見るときに、「マクロの視点とミクロの視点、さまざまな視点を持つことの大切さ」に気づかせてくれるんです。

カラーコーディネートの仕事:人と人、人と企業の架け橋となるために

カラーコーディネートの仕事:人と人、人と企業の架け橋となるために

カラーコーディネートの主な仕事は、色彩提案。色は目に見えるものですから、人、もの、空間などの見た目をより美しく、より快適に整えることが目的です。しかし、目に見える色を変えると、こうなりたいと願う未来のイメージが鮮明になるからでしょうか、お客様の表情が変わってきます。さまざまなお仕事の機会を通して、カラーコーディネートの仕事は、お客様がまだ気づいていない可能性の扉を開くことではないかと、考えるようになりました。

人によって好きな色が異なるように、色は人の心に働きかける力があります。似合う色を上手に取り入れると、その人がより一層美しく見えるように、ちょっとした色づかいが、その人の魅力を左右することがあるんです。

また、色は、人と人のコミュニケーションに役立つだけでなく、商品のマーケティングや企業のブランディングにおいても力を発揮します。情報コミュニケーションテクノロジー(ICT)の進展によって、人と人、人とビジネスがつながり、情報を共有しやすくなりました。しかし、共感や愛着を育むためには、何かが必要です。色は、その何かのひとつとなりうると、私は考えています。

例えば、ファンデーションやジュエリーといった、身近な商品を提供する企業のウェブサイトで、コンテンツの監修をさせていただいたことがあります。ウェブサイトをご覧になったお客様の似合う色を提案するだけでなく、その商品を使うことによって広がるおしゃれの可能性をトータルに伝えることで、商品を購入した後のイメージが湧き、購買へつなげることができるのです。

振り返ってみると、さまざまな仕事を通して、私自身も心に響く色との出会いがあり、色の楽しさに勇気づけられてきました。カラーコーディネートの世界を通して、私自身の可能性の扉が開かれたと感じています。カラーコーディネートは、ファッション、ヘアメイク、インテリア、ウェブなど、さまざまな領域で求められるスキルのひとつ。外見を美しく整えることが主な目的ですが、目に見えない心を感じ、他者の心を動かすことに繋がっています。皆さんもカラーコーディネートを学び、ご自分の可能性の扉を開いてみませんか?

【執筆者プロフィール】

松本英恵(まつもとはなえ):カラーコーディネーター、カラーコンサルタント。2003年より、カラーコンサルタントとして経験を積み、カラーとイメージのエキスパートとして、注目を集める。2005年より、総合情報サイトAll Aboutカラーコーディネートガイドを務めており、WEB・雑誌・新聞・ラジオ・テレピなどメディア出演も多い。企業や教育機関での研修・講演、商品開発やブランディングへの協力など、企業向けの業務に取り組むほか、ビジネスパーソン向けのアドバイス業務やカラーコンサルタント養成など、個人向けの業務にも力を注いでいる。著書に『心をつかむ色とデザイン』『和モヨウ配色手帖』などがある。

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