頑張って稼いだお金だから効率的に殖やしたい。でも資産運用は難しそうだし、もし大切なお金が減ってしまったら悔やんでも悔やみきれない。そんな風に思っている人は多いのではないでしょうか。そうはいっても、今や個人が資産運用に取り組むのは当たり前の時代のよう。
「サラリーマンも商売をやっている人も、専業主婦もリタイアした人も、資産運用はあらゆる人に必要です」と語るのは、All About「成功する資産運用」ガイドとしても活躍する、ファイナンシャルプランナー(FP)の高橋忠寛さん。
「政府や日銀は年2%の物価上昇率を目指しているので、もしそのような社会になってしまった場合には、少なくとも年2%ずつ資産を殖やしていかないと、実質的に損をしてしまうことになるのです(高橋さん)」
特に資産運用が必要なのが、家庭を持つ40代の男性。住宅ローンや教育費がのしかかってくる世代のため、資産運用は「ある程度お金が貯まったら始めよう」と後回しにしがちなのですが、それは誤解です。お金に余裕がないからこそ、少額ずつでも時間を掛けて殖やしていく必要があるのです。
資産運用は1日でも早く始めるにこしたことはありません。初心者のためのノウハウを、高橋さんに教えていただきました。
その1:相場を当てようとしない
資産運用初心者にとって一番大事なのは「相場を当てにいかないこと」。資産を殖やすには、値上がりしそうな商品を探したり、投資時期を探ったりする必要があると思っている人が多いのですが、資産運用はギャンブルではありません。初心者が目指すべきは「複数の投資対象を組み合わせた安定的な運用」です。
その2:いきなり大金を動かさない
退職金などまとまったお金で資産運用デビューしてしまうと、万が一失敗した時の損失が大きくなってしまいます。まずは一回の飲み代と考えて、月々数千円~1万円を積立投資に回すのがオススメです。
その3:保険商品は選択肢からはずす
終身保険や個人年金保険など、日本では積立や貯蓄型の保険を使って資産運用する人がとても多いのですが、保障と資産運用は分けて考えるべき。保険商品での資産運用は効率が悪いので、購入の選択肢に入れるべきではありません。
その4:コストに敏感になること
資産運用のリターンを改善する唯一確実な方法は、手数料と税金を抑えること。同じ商品でも、販売金融機関によって手数料が異なるので、手数料の低い商品を選ぶことが大切です。そのためには書籍や雑誌、ネットで情報収集すること。インターネット系の銀行や証券会社は基本的にコストが低く、手数料の安い商品を多く扱っています。
その5:NISA口座は開設しないと損!
税金を抑える手っ取り早い方法が、NISAを利用すること。通常、株や投資信託で利益を得ると約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すると、年間投資額120万円(2016年1月~)まで非課税になります。つまり利益が5%出た場合、通常1%分を税金で持って行かれるのですが、NISA口座を利用すれば5%まるまる利益になるのです。
それでは具体的にどのように運用するのがいいか見ていきましょう。
初心者が資産運用を始めるなら、投資信託を買うのが効率的です。投資信託とは、購入者から集めたお金をプロが運用する商品のこと。原則としていつでも解約できるので、気軽に始められます。ほとんどの投資信託が1万円から購入可能で、中には月々500円から積み立てられる商品も。購入の際は、申込手数料がゼロの商品「ノーロード」などもあるので、比較検討して選んでみてください。
高橋さんが初心者にオススメするのは、株式のインデックスファンド。インデックスファンドとは、平均株価などの指数に連動する投資信託のことで、日経平均連動型ファンドなどがこれに当たります。「仕組みがシンプルで値動きが分かりやすく、手数料が低いのが魅力です(高橋さん)」
国内の株式インデックスファンドなら、日本が経済成長すれば、自分のお金も少しずつ殖えていくことになります。グローバルの株式インデックスファンドなら、一般的にリスクは高いものの、年3~4%で成長してきた世界経済に連動してお金が殖えていくと期待できます。
「DC=確定拠出年金」とは、2001年に国が始めた私的年金制度。毎月、自分で決めた額の掛け金を支払い、金融商品のラインナップの中から自由に選んで運用を行います。ラインナップは金融機関によって異なりますが、インデックスファンドや定期預金も選択できます。
原則60歳まで解約できませんが、所得税や住民税を確実に減らせるという大きなメリットがあります。
60歳まで使わないお金はDCで運用、それ以外はNISA口座で運用するのが賢い方法と言えそうです。銀行や証券会社でNISA口座を開設し、普通預金に預けたままのお金で何かインデックスファンドを買うのなら、すぐにでもできそう。あなたも今日から資産運用デビューしてみませんか?
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