親戚一同に「お前の部屋は汚い」と言われ、とりあえず『動くか……』という気になったわたし。具体的な掃除方法を学ぶため、テキストを開いてみた。
「整理収納アドバイザー1」のテキスト丸々一冊『なぜあなたは散らかしてしまうのか』『なぜモノを捨てられないのか』『片づけないとどうなるか』などの理論的なことや整理に必要な知識が書いてあった。『整理して部屋をキレイにすると時間的、経済的、精神的に良い効果を生む』『「モノを大事にする」ということは、「モノを捨てない」ことではなく、「モノを使ってあげる」ことです』などのフレーズが心に刺さる。
テキストを読み終わる頃にはどういうわけか街で出会った男と突然ラブストーリーを始めそうな女の顔ツキに変わっており(個人差があります)、ノウハウも頭にしっかり叩き込めたので『早く整理収納を実行してみたい』という気持ちになっていた。
以前なら「とりあえずモノをごっそり減らす」「収納スペースをいっぱい作る」などの力技ばかりやっていたわたしだが、今度はうまくいきそうな予感がする。
「テキスト2」のほうに具体的な整理収納の方法が載っていた。どうやら片づけのスペースが狭く限られている下駄箱から始めるとよいみたいだ。
それは「風水」とか「金運」という言葉から一番遠いところにあった。通販で買いものした後の段ボールと発砲スチロールが散乱しており、玄関と廊下の境界線を分からなくしている。
下駄箱の上はレシートや飲みかけのペットボトル、重要そうな書類と要らないチラシなどが混在していた。きっとこの中には督促状とかも紛れ込んでいるのだろう。できればこのまま開けずにやり過ごしたいところだが……
テキストにあったように、まずは下駄箱や下駄箱の上に散らかっていたモノを全て一箇所に出してみた。
実は昔むりやり断捨離した時にかなり靴の量を減らしたので捨てる靴はこれ以上なかったのだが、ボロボロになったTシャツや雑巾、骨が折れてしまった傘(3本もある)などもう使わないモノがあった。
「なんで玄関にTシャツとかハンガーがあるの!!!」と驚く方もいるかもしれないが、部屋が汚い人間というのは得てしてとんでもない場所にとんでもない物を置いてしまうものなのだ。
廊下も、「玄関と部屋とを接続する」という役割をあまり果たしていない状態にある。しかしこちらは下に散らばっている段ボールを廃棄すれば何とかなりそうではある。キッチン下の収納も使えそうだ。
こちらのクロゼット……下段は引っ越した時の段ボールをそのまま押し込んだだけの状態で服を探し出すのも困難だし、ヅラや卒業アルバムなど服ではないものも色々混ざっている状況だ。
下駄箱同様に段ボールにあった服を全部出して並べてみた。「こんなところにあったのか!」というかつてのお気に入りの服や「これ、ずっととってあるけど結局一度も着たことないな……」という服がたくさん見つかった。
下駄箱の上は「定位置」を意識した。出かけ際に「無い……!」と言って焦ってしまうモノBEST3の、財布、カギ、手袋の置き場所をここに決めた。これならいつでもスムーズに部屋を出られる。また、ついついポストから持ち帰ったチラシや重要書類を置いてしまいがちだったので、花瓶を敢えて飾ることでこの場所をふさいだ。
取り出しやすい上のほうに頻繁に使う靴を置く。2段目右にあるのはスーパーに行く時必要な「エコバッグ」だ。こうして定位置を決めておくことで忘れ物防止にも繋がりそう。
廊下は段ボールを捨て(正確には古紙回収の日が来るのを玄関で待っている状態)、本や花火や下着をもっと適当な場所に移すだけで格段にキレイになった。掃除機をかけると引っ越したばかりのような輝きが戻った。
クロゼット問題は、衣装ケースで解決した。もちろん一番頻繁に出し入れする下着類は上段に入れ、その下には今の時期よく着るセーター類、下段はズボンなどを入れた。夏物やコスプレ衣装など当分使いそうにないものは布のほうの収納(少々出し入れがしにくい)に入れた。
あんなに混沌としていたクロゼットだが、もう着ない服を捨て今後も着るものだけ収納すればこんなにスッキリすることが分かった。「安かったから」というだけで買った衣類はほとんどが「他の服とコーディネートしづらい」「着丈が合わない」「すぐにほつれる、ボタンがとれる」などよく考えたら気に入らない点ばかりだったので処分した。
また、「高いから」というだけで特に好きでもなかったけどずっと保存していた服も思い切って廃棄。こうして服を一箇所にまとめてちゃんと管理すると、「コートが7つもある!」「お洒落して出かける機会なんて少ないのにワンピ多すぎ!」「夏物に比べて冬の服のバリエーション無さすぎる……」など色々な問題点を発見できた。
これはリビングだが、寒くなったため「コタツ」を導入したら以前の状態よりももっと大変なことになった。『怠けたい』という思いが部屋からにじみ出ているように見える。このままではモノに埋もれてやがて死ぬだろう。
まずはモノを「スクラップ領域=ゴミ」「プロバティ領域=持っているだけですぐ使える状態になく、家のどこにあるか分からないモノ」「スタンバイ領域=すぐ使える状態にあるモノ」「アクティブ領域=携帯・財布・パソコンなど一番頻繁に使っているモノ」に分ける。この4つにモノを分類することが整理の基本となる。
「よく使うものはグループ分けにして『セット』を作ると便利」とテキストにあったので、「お茶・コーヒーセット」「身だしなみセット」「文房具セット」「CD・DVDセット」を作った。トレーは100円ショップで購入。こうすることで、以前まで家のどこにあるか分からなかったプロパティ領域にあったモノもスタンバイ領域に格上げすることができた。
『そういえば実家のコタツを掃除する時はこうして布団部分を上にあげていたなあ』などと懐かしく感じる。ドン引きされることを承知で書くが、掃除機をかけるのは実に半年ぶりだ。半年間全く掃除していなかったので、それまで眠っていたゴミが舞って若干具合が悪くなったことをここで報告しておく。
身を挺して(普段からこまめに掃除していればこんなに身を挺する必要はない)整理・収納した結果がこちらだ。ゴミを捨て、モノを然るべき「居場所」に置いてあげただけで見違えるようにキレイになった。
廊下や机の裏、カーペットの下などあらゆるところに散在していた書籍をひとところに集めてみると、『これ買ったけどずっと読んでなかったやつだ!』『そうそう、この本に出てくるフレーズがすごく秀逸だったんだよ。もう一度見直してみよう』と色々な感情が湧き起こった。必要な時にすぐ本を取り出せるというのは今後の創作活動にもすごく役に立ってくれそうなので嬉しい。かさばりがちな書類は書類ラックにまとめ、溢れそうになってきたら処理できるものがないか見直すことにした。
窓を開ける動線をふさいでいたデスクを壁際にずらし、その上と下に4つの「セット」をよく利用する順に並べて置いた。
今まで「あれがない、これがない」と部屋中を動き回って探し物をしていたが、最短の動線で必要なモノを取り出せるようになり、様々な効率が上がった。
部屋をキレイにしてからカーペットに寝転んでゴロゴロするということがどれほど気持ちいいことなのか思い出せたし、モノが少なくなったせいか音楽をかけたら反響が良くなった。
『片づけては元に戻る』を繰り返してきたわたしだが、今後もう二度と同じ過ちを犯すことはないだろう。たかが「整理収納」と思っていたが、正しい方法を勉強し、きちんと手順を踏むことがどれだけ良い結果を生むのかということをこの一連の作業で痛感したのであった。
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