整理収納アドバイザーの資格は、具体的にどんなことに役立つのでしょうか?1級整理収納アドバイザーの金内朋子さんに聞いてみました。
――整理収納アドバイザー認定資格では、どのようなことを学ぶのでしょうか?
「整理収納アドバイザー認定資格では、具体的な片付けの方法を学ぶと思われる方も多いのですが、実は最初に『整理の考え方』を学びます。そして整理で大切なのは、必要・不必要を分けること。物と向き合って、自分にとって「いる」「いらない」を判断することが整理収納の第一歩となるんです」
――人からもらった物や思い出の品など、「必要かどうかわからない。けれどすぐに捨てることもできない」という物もありますよね。そんな場合はどうすればいいのでしょうか?
「箱に日付を書き、期限を決めてしまっておくといいですよ。例えば一年間使っていなければ『捨てる』。もし、まだ思い入れがある場合は、また一年しまっておく。そうやって、箱を1年ごとに見直していくと、気持ちの整理がつきやすいです」
――無理に捨てなくてもいいんですね。ちょっと安心しました!
「私は何でもかんでも捨てて、物を少なくするのがいいことだとは思えないんです。捨てる方法を考えるのではなく、どうして捨てられないのかを冷静に考えてみましょう。そうすると、自分にとって必要な物と不必要な物の基準が見えてくるはずです」
――高かったから、限定品だから、大切な人からのプレゼントだから、また使うかもしれないからなど、その人それぞれの理由が出てきそうです。
「そう、捨てられない物と向き合うことは、自分と向き合うことです。自分が一番何を大切にしているのかわかれば、片付けもしやすくなるはずですよ」
整理収納アドバイザー認定資格は、最初に基礎となる「片付けの考え方」を学ぶんですね。続いて、実践的な4つの整理収納テクニックも教えていただきました。
①グルーピング
物は動線を考えて収納するのがコツ。例えば、キッチンでお客様にコーヒーをいれるという場合、コーヒーメーカーとマグカップは近くに収納。その近くにコーヒー豆、カップ類やオボンなども収納しましょう。こうすることで、キッチンの中を行ったり来たりしなくて済むようになります。このように、使用シーンに合わせて収納することを「グルーピング」と呼びます。
②80%収納
収納スペースには100%ぎゅうぎゅうに詰め込むのではなく、80%程度にしておきましょう。100%詰めてしまうと、取り出すときに隣のものが引きずられて出てきてしまうなど、不便ですよね。そして取り出しにくいということは、元に戻しにくくもあるということ。そうすると、つい面倒になってそのまま出しっぱなしにしてしまい、どんどん散らかってしまいます。収納スペースには余力を残すことを心がけましょう。
③紙袋を活用
整理しようとして100円ショップなどで収納ボックスを買う人も多いですが、逆に物が増えてしまうためオススメできません。先輩アドバイザーの大橋わかさんが推奨しているようにまずは家にある空き箱や紙袋を使ってみましょう。
特に使いやすいのはしっかりした紙質の紙袋です。収納場所のサイズに合わせて紙袋の口を中に折り込んで使います。使っているうちに、やっぱりこの形は収納しにくいとか、もっと広い場所に移そうとか、改善点や変更点が出てくるもの。その場合、紙袋や空き箱なら簡単にサイズを変更したり、捨てたりすることができるのです。収納ボックスは、定位置が決まってから買うと無駄がなくて済みます。
④ラベリング
収納場所に何がしまわれているのか、見やすくするテクニックです。マスキングテープを使って中に入っている物の名前を書き、収納ボックスなどに貼っておきましょう。どこに何があるかすぐにわかり、自分以外の家族も片付けやすくなるため散らかりません。つまり、物の住所を決めるのです。
共通するコツは、キレイな収納より、分かりやすい収納を意識すること。見た目の美しさよりも、自分や家族にとってわかりやすい収納かどうかを軸に考えると、片付けた状態が長続きしやすいそうです。
「実はもともと整理収納が苦手だった」と言う金内さん。整理収納アドバイザー認定資格を取ったことで、物との向き合い方が変わり、自分にとって大事な物はもちろん、家族それぞれの価値観を大切にした整理収納が実践できるようになったそうです。
整理収納アドバイザー認定資格で学べるのは、次の8ステップからなる片付けの考え方。
片付かない原因や問題点を見つけ出し、物との関わり方から見直すことができるようになるんですね。
整理収納アドバイザー認定資格のノウハウを生かせば片付けのプロになれるだけではなく、仕事にも役に立つといいます。なぜなら、片付けの考え方は思考の整理にもつながるため、仕事上での説明が上手くなったり、作業効率を上げたりする効果も期待できるのです。
その他、金内さんはこんなことを実感したそうです。
「整理収納アドバイザー認定資格を勉強してみて良かったことは、自分と向き合えたことです。自分の価値観を知ることで選択の軸ができ、物を買うときにもそれが本当に必要なのか考えるようになりました。また、家の中の整理収納をすると、自分だけでなく家族の価値観と向き合うことにもなります」
金内さんは、旦那さまとのこんなエピソードも教えてくれました。
「私の夫は、家に帰ってくると上着やカバンをソファの上に放り投げる癖があるんですが、最初はそれをどうやって片付けさせようか考えていました。でも、夫の価値観を尊重して考えてみると、ソファの上というのが自分にとってわかりやすいカバンの置き場所だったんだと気づきました。
なんでも収納すればいいというわけでなく、一見散らかっていてもどこに何があるか把握していればそれでいいんです。その考え方を身につけてからは、相手の気持ちになって、その人が大切にしてきた物や価値観をベースにしたアドバイスができるようになりました」
物の整理だけではなく、心の整理にもつながるのが整理収納アドバイザー認定資格なんですね!家事だけでなく仕事や人間関係にも役に立ちそうです。整理収納アドバイザーのスキルを学んで、活躍の場を広げてみてはいかがでしょうか?
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