昨今、なぜこんなにも収納に関する世間の関心が高いのでしょうか。ブログやインスタグラムなどでも、収納関連の情報が溢れています。
「私もそうですが、毎日入ってくる情報量の多さ、その処理に費やす手間や時間の多さに疲れている気がします。そんな毎日だからこそ、家庭できちんと整理収納をして、目に見えるストレスや作業のストレスを減らしたいのだと思います。また、いつも整理整頓を心がければ、時間の使い方や考え方の整理もできるので、気持ちもスッキリしますよね」(Mariさん)
大きな災害を経験したり、家族と家で心地よく過ごす時間を重んじる北欧の考え方が浸透したりすることで、「ものがあること=幸せ」から「大切な人と心地よく暮らしたい、そのために必要なものを絞る」という価値観にMariさん自身も変わってきたと言います。部屋の収納を改善すると「家事効率のUP」や「ストレスが減る」といった物理的なメリットがあることはもちろんですが、Mariさんは「イレギュラーなことが起きたとき」のために、常に片付いた空間を保つ必要があると言います。
「例えば、心身が疲れたときや体調が悪いとき、仕事が忙しいときなど、多少家事をしなくても、目に見えるものや気が散るものが少ないだけで気持ちがラクになりますし、余計なストレスを感じずにすみます」(Mariさん)
色、形状、デザインがバラバラで統一感がないものは、「隠す収納」にするのがMariさん流。モノトーンでスッキリしたMariさんのお宅には、今日からマネできるコツがたくさん詰まっています。
■シンプルなデザインの白で収納を統一
「白の収納用品は、壁や作り付けのキャビネットの色と同化してスッキリ見えますし、白いホコリも目立ちにくいメリットがあります。また、家具の中でなく部屋に置く際も空間が広く見える効果があります。なので、収納用品を買うときは、デザインに無駄がなく、究極にシンプルなもの(例/IKEAの『KUGGIS』シリーズなどの真っ白なケース)を選んでいます。多色遣いによる色の氾濫を抑えましょう」(Mariさん)
「また、一つの収納エリア(TV台にしているキャビネットの中・リビングの収納スペース・キッチンのシンク上の吊り戸棚など)をできるだけ同じ収納用品で揃えると、ものが整然と並び、ディスプレイのように美しさが際立ちます。『出したら元の場所に戻す』という面倒な作業も、『開ける楽しみ』や『これをキープしたい』という気持ちが湧いてきて、自分も家族も習慣化が身につきやすくなります」(Mariさん)
■文字の氾濫もなくす
「文字の氾濫もなくすようにしています。例えば、収納ラベルは文字だけにして、中身が分かるものにはあえて収納ラベルを貼らないなど、目に飛び込んでくる文字情報を少しでも減らすような工夫が大切です」(Mariさん)
冷蔵庫の保存容器のラベルステッカーはキャン★ドゥ×LOVEHOMEのコラボアイテム。
■細かくカテゴリ分けしすぎず“ざっくり”と
「こまごまとしたアイテムの整理以外は、収納用品の中をまた別の収納用品で細かく区分けしたりせず、ざっくりカテゴリ分けする程度にしています。細かすぎると、収納するまでに時間や手間が多く面倒になり、家族も収納ルールを守りにくくなるからです」(Mariさん)
ちなみに、Mariさんのお子さんがまだ小さい頃は、おもちゃを4つにカテゴリ分けして、ザクザクとしまえる軽いBOX(フタ付きのプラスチックケース)を部屋の片隅に置いておくだけだったそう。
■家族共用スペースに「フリーな収納場所」を用意
「リビングやキッチンなど、家族共用の場所は、誰のか分からないもので散らかりがち。そこで、『置きっぱなしになっていたものはここに』というBOXを一つ設けることで、なくしものや探しものがなくなり、整然とした空間が保てます」(Mariさん)
部屋をスッキリさせる上で欠かせないのが「ものを減らす」ということ。片付けの第一段階で避けては通れないものの、最初からつまずいてしまう人も少なくないようです。「ものを減らした先にあるもの」が目指すべき収納術だとMariさん、どのように決めたらその基準や判断がスムーズになるのかアドバイスいただきました。
■「使っているもの」だけを残して、成功体験を積む
「使っていないものはスペースをとるだけです。それらがなくなれば、『使用頻度が高いものファースト』収納スタイルに改善できますね。片付ける際に、大きなクローゼットや押し入れ、この部屋全体、といったふうに手をつけると失敗しがち。まずは引き出し一つなど、小さな範囲での片付けを積み重ねていくことから始めるといいでしょう」(Mariさん)
また、片付けの手順について、「以下の順番で考えてみてはどうでしょうか」とMariさん。
①引き出しの中のものの取捨選択をする
②残ったものを引き出しに入れておく
③その引き出しの中のものの整理法を考える
「そしてやっと、整理するために収納用品が必要ならば、サイズの合うものを探すプロセスにたどり着きます。このような小さな成功体験を続けていくことで、取捨選択のスキルはどんどん上がり、家中の片付けをより早く終わらせることができると思います」(Mariさん)
■片付けを始めるなら水回りから
「道具が多い水回りは取捨選択がしやすいと思います。複数あるものならば、使用目的別・機能別に各一つずつ持つなど、自分なりのルールで残すものを選び取ることが比較的簡単にできるでしょう」(Mariさん)
「家族が立ち入るキッチンの水回りのものが整理されると暮らしがスムーズにまわりだし、家族も気持ちよく過ごせるようになります。そうすると家庭内の片付けモチベーションを互いに上げていけるので、心地よい緊張感が生まれ、部屋がキレイに片付いた状態をキープできるというメリットもあります」(Mariさん)
■子供の作品やプレゼントの片付けは一番最後でOK
なかなか手放すことができない思い出のアイテムは、一番最後に片付け。Mariさんのお宅では、これだけは残しておきたいというもの数点に絞って、その他は写真に撮ってから手放すことにしているそう。
「お気に入りだった絵本やミニカー、卒業証書などは残しています。また、いただいたプレゼントは、使うことがなければ、お気持ちだけ大切にいただいて、他の人に使ってもらえる形で手放すようにしています。買い取り業者などを利用して、いただいた気持ちを傷つけず、罪悪感の少ない手放し方がベストです」(Mariさん)
■迷ったものには「一時置きボックス」で様子見
「上記のような条件や基準で取捨選択に取りかかり、それでも決められないもののために『一時置きボックス』を用意するといいでしょう。期間を決めて中に入れておき、やっぱり必要なかったと思えたら手放すようにする。自分の気持ちが納得いく手放し方ができるので、ものを大切にしている人にとって、特におすすめの方法です」(Mariさん)
「今回ご紹介したのは、『ものはあるけれど片付いている』という、ミニマリストにはなれない我が家なりのシンプルに暮らすための手法です」(Mariさん)
「スペースにとらわれないですむ物理的な面。無駄な買い物をしなくなる金銭的な面。ものの管理から解放される精神的な面。これらのすべてのメリットが、美しく収納した先にはあると考えています。とはいえ、自分だけでなく家族にとっても快適な収納でなければいけませんので、収納スタイルを変えたときはその都度家族に感想を聞いて、よりラクになるようマイナーチェンジをしています。家族からの意見は快適な収納づくりの最高のヒントです」(Mariさん)
今回教えてもらったメソッドを参考にすれば、お部屋の改善がムリなく続けられそうです。長く過ごすおうち時間のために、家族を巻き込んで見た目も量もスッキリ、心にゆとりを持てる美しい空間に整えていきませんか。