そもそもなぜ、親しい間柄でケンカをしてしまうのでしょうか?吉井さんいわく、その「親しさ」こそが、ケンカを引き起こす原因だと言います。
「基本的に人間関係は、親しくなれば親しくなるほど『分かってくれるはず』と思うようになります。仲良くなったのに分かってもらえない、付き合っているのに理想通りにしてくれない……など、『○○なのに』と期待を押し付けてしまうことがケンカの大元に。だから一定の距離感がある上司やお客様などとはムッとすることはあってもケンカにはなりませんよね」(吉井さん)
特にケンカが起こりやすいのが、「相手に心を開き始めた時」だと言う、吉井さん。
「ケンカの原因は、期待に加えて『裏切られるかもしれない』という『不安』もあります。相手との関係性ができ始めたけれどまだ心の底から信用できない状態の時は、特に注意が必要です」(吉井さん)
どうやら「ケンカするほど仲が良い」というのは本当のよう。仲良しなのにケンカしてしまう……と落ち込むのではなく、「仲良しだからケンカする」ということが分かっていれば、ケンカをしても前向きな解決策を探ることができそうですね!
ケンカも、一つのコミュニケーション。ケンカが起きてしまうのは仕方ないけれど、できれば最小限におさえたいのが本音ですよね。ここでは、ケンカを大きくし、長引かせてしまうのを防ぐために覚えておきたい、ケンカ中のNGワードをご紹介します。
<ケンカ中のNGワード>
①親のこと
②体のこと
③仕事のこと
④お金のこと
大きく分けて、ケンカ中に上記4つに関することを言うのは絶対にタブー。その理由について、吉井さんはこう説明します。
「この4つは、どれも自分で操作するのが難しいこと。ただでさえこの4つのことで責められたら不快な気分になるのに、信頼している人から言われると裏切られた感が増しますよね。『あなただけには言われたくなかったのに』『あなただけは味方だと思っていたのに』と、心をシャットアウトするか怒りに変わって、小さなケンカも大ゲンカに発展してしまうでしょう」(吉井さん)
ケンカ中のNGワードに続き、覚えておきたいのがケンカを長引かせないためのコツ。吉井さんおすすめの方法を使えば、ケンカを最小限におさえることができるはず!冷静さを失ったらぜひ試してみてくださいね。
大ゲンカに発展させないためのコツとして、吉井さんが最も大事だと言うのが「冷静になる」ということ。とは言え、ケンカ中には最も難しいことでもあるので、「その場をいったん離れる」のがおすすめだと吉井さんは言います。
「イライラして言い過ぎるかも!私、怒り過ぎちゃってる……と思ったら、お手洗いに行ってみてください。お手洗いなら相手も『早く出てこい!』とは言いにくいので、お互いが冷静になれますよね。相手の顔が見えなくなるとケンカを客観的に見ることができるようになるので、お手洗いから出たら別人のように『ごめんね』と言えることもありますよ」(吉井さん)
もう一つ、「ケンカのタイムリミットを決める」方法もおすすめだと言う、吉井さん。
「どんなにケンカしていても次の日には持ち越さない、または言い合いは5分で決着をつける……など、ケンカに制限時間を設けるとケンカを長引かせないで済みます。ケンカをしていない冷静な状態の時に、二人の約束事として決めておくと良いかもしれませんね」(吉井さん)
ケンカは仲直りまでが一セット。最後は、その後の関係性をも左右する「上手な仲直りの方法」をマスターしましょう!
ケンカ後の仲直りは素直に謝るのが一番ですが、円満な仲直りとその後の関係性を深めるという意味で吉井さんがおすすめするのが、「ごめんねの言葉に気持ちをプラスする」という方法。
「例えば、『○○君のこと大好きなのに言い過ぎちゃった、ごめんね』『ごめんね。○○さんのことを信頼しているから、つい言い過ぎちゃうんだ』というように、相手に対するポジティブな気持ちを添えます。そうすると、好きだからケンカになってしまうんだということが相手に伝わりますし、普段なかなか言えない言葉も伝えやすく一石二鳥です」(吉井さん)
上記の例にも出てきたように、名前を呼ぶのもポイントの一つ。
「名前を呼ぶことで『きちんとあなたと向き合っているんだ』というアピールができ、特別感もアップしますよ」(吉井さん)
また、言葉にするのが苦手な人は、「アイテムに頼るのが効果的」だと言う、吉井さん。
「不器用でなかなか思いを素直に伝えられないという人は、ごめんねの気持ちをアイテムに乗せてみてはいかがでしょうか。例えば、恋人や夫婦で、普段の夜ご飯で発泡酒を飲むというパートナーなら、ケンカをした日の夜はビールにグレードアップして、ごめんねと好きのサインをビールに込める、友達同士ならかわいいお菓子など、ちょっとしたプレゼントを渡す……なんて素敵だと思います」(吉井さん)
ケンカは楽しいものではないけれど、好きだからこそケンカになるし、普段言えない思いを伝えるきっかけにもなります。そう考えれば、たまにはケンカも良いものかも?!実際に、吉井さんも「最高のパートナーシップとは、喜怒哀楽のすべてを共有できる関係」だと言います。みなさんも、ケンカをうまく使って身近な人との関係をより深めるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。