フランス人のベアさんと「出会って3ヵ月でスピード結婚した」という、東京下町出身のモンジさん。結婚から11年経った今でもラブラブなおふたりが、「スピード国際結婚」を決めた理由とは何だったのでしょうか?
「私は、20代後半で会社を辞めて、アメリカに短期留学したんです。その滞在中に、たまたまインターネット上で、日本語での会話相手を探していたベアと知り合いました。
何度もメールのやり取りを続ける中で、『笑うポイントや好きなものが似ているな』と気づいたんですね。それで実際に会ってみたら、マンガやアート、小説などの趣味がいろいろと一致していて。『一緒にいると楽しい』とお互いに感じて、3ヵ月で結婚することを決めました。よく聞かれるんですが、決め手は直感。それ以外、理由が浮かばないんです(笑)」(モンジさん)
ちなみに、ベアさんにも当時のことを聞いてみると……。
「彼女の第一印象、覚えていないんです(笑)。でも話してみたら、とにかく気が合ったんですよ。僕は仕事でしょっちゅういろんな国に行くので、多様な文化や異なる価値観の中に身を置くことが多かったんです。そのせいで周囲と自分が『違う』という状況にすっかり慣れてしまっていたし、それが普通のことに思えていたんです。でも、彼女とだけはなぜか最初からカルチャーショックやギャップをまったく感じませんでした。だから、結婚も僕らにとっては自然な流れでした」(ベアさん)
そんなベアさんとの国際結婚を決めたモンジさん。ご家族の反応はどうだったのでしょうか?
「私は大学生の時に父親を亡くしていて、母ひとり子ひとりの家庭なんです。その母も、結婚に一切反対はしませんでした。ベアの国籍はもちろん、仕事や家柄なんかもまったく気にせずに、『その人があなたを大事にしてくれるなら、いいんじゃない?』という、こっちが拍子抜けするくらいの反応でした。大変だったのは手続きの方です」(モンジさん)
ベアさんのご家族からも祝福され、めでたく結婚したふたり。ただし、手続きの多さには閉口したそうです。
「国際結婚って、とにかく書類が多いんですよ。日本とフランス、二ヵ国にそれぞれ出さなきゃいけないものがたくさんあって。結婚ビザを取るために、出会ってから結婚するまでの馴れ初めを書いて提出したりとかもあるんです(笑)。とにかく、取り寄せる書類や書くものが多かったのは大変でした」(モンジさん)
出会って3ヵ月で結婚したおふたり。パートナーへの愛情表現、他人との距離感、食や家への価値観など……日本とフランスでは、何もかもが違うそう。でも、そのギャップこそが国際結婚の楽しさのようです。
ベアさんのここが好き。フランス人は愛情表現がとっても豊か!
ベアさんは、電車で乗り降りする時やお店に出入りする時、そばに女性がいたら、先に「どうぞ」と通すそうです。もちろん、女性の年代は関係なし。フランス人のベアさんにとって、レディファーストの考え方はごく自然なことなんですね。
また、最愛の女性=モンジさんへの愛情表現はかなりストレート。髪型を変えたらべた褒め、スーパーで買った重い荷物を持って帰ってきたら「どうして僕を呼ばないの!?」と怒られるのだとか。
一方で、通りすがりの子どもたちの失礼な振る舞いを見かけたら、他人であっても、きちんと注意をするのもベアさんのいいところ。
優しくて愛情豊か。自分の意見をはっきりと主張するフランス人のベアさんとの暮らしは、モンジさんにはとても新鮮で、見習うところも多いそうです。
食の好みは日本人、でも食べ方はフランス式?
最近はすっかり日本になじんだベアさん。モンジさんいわく、「食の好みは日本のオッサン化が進行中(笑)」だそうですが、それでも食べ方はフランス式を貫いているそう。フルコースのディナーのように、一皿を完食したら次のお皿に移る、という食べ方なのです。
「これってベアだけの食べ方のクセ?」と不思議に思っていたモンジさんですが、ベアさんのご両親が日本に遊びに来た時も、同じように一皿ずつ完食していく食べ方だったそう。
どうやらフランスでは、それぞれの料理の味が口の中で混ざることは好ましくなく、家庭料理でもレストランで食べるフルコースのように、一皿ずつ完食していくのが普通のスタイルなんだそうです。
フランス人は新築よりもリノベ志向?
日本人とフランス人のギャップは、家にも現れます。「新築」志向が強い日本人と違って、フランス人は「リノベ&DIY」が大好き。フランスには特に、歴史ある古い建築物が多いからかもしれません。
フランスでは、セルフリノベーションや日曜大工のことを「Bricolage(ブリコラージュ:寄せ集めてつくるの意味)」と表現します。古い住まいを自分好みの空間に少しずつカスタマイズしていくのが、フランス流の家との付き合い方なんだそうです。
ベアさんも例外ではなく、現在、3軒目となる中古住宅を絶賛ブリコラージュ中。しかも、キッチンの使わない窓を塞いだり、LDKの壁をぶち抜いて隣の和室とつなげてしまったりと、大掛かりなものばかり。日本人であれば業者に依頼するのが当たり前ですが、すべてベアさんが休日に、ひとりでやってのけるというから驚きです!
そしてもちろん、違っていることばかりではありません。お互いに分かり合える感覚もあるそうです。
「『もったいない』という価値観は、日本人とフランス人が共通に分かり合える感覚だと思います。大量消費・大量廃棄がスタンダードな文化とは違って、ひとつのものを長く大切に使い続けるところは『似ているなぁ』と感じます」(モンジさん)
「フランスも日本も戦後は大変だったから、上の世代の人たちの価値観を、私たちも受け継いでいるんでしょうね」(ベアさん)
モンジさんから見たベアさんのいいところについて、あらためてお聞きしました。
「何でもマイナス思考な私とは真逆で、ポジティブで思いやりがあるのがベアのいいところ。母の誕生日が近づくと、『今年は何を贈る?』と言い出してくれるのは、いつも彼の方です。私や私の母のことを、自分以上に優先して考えてくれる。その優しさと思いやりに、いつも感謝しています」(モンジさん)
最後に、おふたりそれぞれに、幸せな結婚生活の秘訣についてお聞きしました。
「英語には『Happy wife, happy life』という言葉があるんですよ。妻が幸せであれば、人生もハッピーになる。だから、ケンカしてもだいたい僕が謝ります(笑)」(ベアさん)
「私たち夫婦は、常にどちらかが(母国じゃない)海外にいる、という状況なので、ケンカをしても『実家に帰らせていただきます!』とはならない(笑)。
ケンカをしても長引かせない、さっと明るいムードに切り替えていくことが、仲良くい続けるための秘訣だと思います。『お互いを思いやることが大事』なのかなぁ、と思っています」(モンジさん)
国籍が違う相手との結婚生活は、一筋縄ではいかないもの。けれども、お互いの「違い」を認め合い、思いをしっかり伝え合うことができたなら、きっとモンジさんとベアさんのような素敵な関係が築けるはずです。価値観の違うパートナーとのコミュニケーションに悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。