美肌のためには質の高い睡眠が大事。何となく知ってはいるけど、具体的に睡眠が肌にどんな影響を与えているのか分からない……という人も多いのでは?そこでまずは、睡眠コンサルタントの友野なおさんに、美肌と睡眠の基本について伺いました。
「睡眠と美肌には、主に2つのホルモンが関係しています。1つは成長ホルモン、もう1つはメラトニンです。成長ホルモンは大人の場合、昼間のダメージをリカバリーしたりメンテナンスしたり、体や肌をニュートラルな状態に戻す働きをしてくれます。これは寝る時間に関わらず、寝始めの90分~3時間の間に集中して分泌されます。しっかり質の良い睡眠をとることで成長ホルモンが分泌され、朝起きた時に肌が良い状態に戻っているのです。一方、メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、深い睡眠に導いてくれます。それが成長ホルモンの分泌を助けることにも繋がりますし、メラトニン自体にも強い抗酸化作用があることが分かっていて、キレイをサポートしてくれる働きもあるホルモンです」(友野なおさん)
美肌に良いとされる睡眠の「ゴールデンタイム」や「シンデレラタイム」といった言葉も聞きますが、その真偽についても伺ってみました。
「この時間帯に寝ると肌に良い、というものは残念ながらありません。完全に都市伝説ですね(笑)。この時間に寝た方が良いという基準はありませんが、肌と体の健康から考えて7時間くらいの睡眠時間が必要と言われています」(友野なおさん)
今回は、お肌の悩みや毎日の睡眠不足を気にしているOLブロガーのchiakiさんの悩みについて、友野さんからアドバイスをいただきました。
Chiakiさん「お肌のためには、質の良い睡眠が必要なのはなんとなく分かるのですが、実際、自分の睡眠が良い眠りなのかどうか分かりません……」
友野さん「質の良い睡眠とは、一言で表現すると『熟睡感がある睡眠』です。例えば、以下のようなことがないかまずは、チェックしてみてください」
【質の良い睡眠かどうかをチェック!】
友野さん「これらに1つでも当てはまる場合、質の良い睡眠を取れていない可能性があります」
chiakiさん「私も当てはまるものがあります……だからですかね?朝起きた時のお肌が、カラカラの日もあれば、すごくオイリーな日もあり、ケアに戸惑います……」
友野さん「肌が乾燥したりオイリーになったりすることは、睡眠というよりは気候や体調、食べ物、ストレスなどの影響の方が大きいと思います。ただ、睡眠を改善することで健康の基盤がしっかりし、肌の免疫力が上がったり、トラブルに対して抵抗力がついたりすることは間違いないので、肌の状態を安定させるために質の良い睡眠を心がけるのがおすすめです」
chiakiさん「なるほど。睡眠を改善すると肌の抵抗力が上がるんですね!ちなみに、私はよく夢を見るんですが、これも睡眠の質があまりよくないということなのでしょうか?」
友野さん「夢は誰でも見るものです。ただ、その夢を明確に覚えているような場合は、少し眠りが浅い可能性はありますね」
chiakiさん「深く質の良い眠りを実現するのに、おすすめの方法はありますか?」
友野さん「chiakiさんは、睡眠前にスマホを見たりしていませんか?まずはそれをやめてみましょう。寝る1時間前には部屋を暗めにして、暖色系の照明にするのがおすすめです。私たちは光の影響を受けて、睡眠が促されたり、覚醒したりするので、光のコントロールをすることが大切です。できるだけスマホやパソコン、テレビなどを遠ざけて、お風呂に入る、ストレッチをするなどしながら、体を徐々に睡眠モードにしていくといいですね。あとは寝室の気温をコントロールしたり、リラックスしたりすることも大事です」
chiakiさん「友野さんにアドバイスいただいた内容をセルフチェックすると、まだまだ睡眠に改善の余地がありそうだなぁと感じました!睡眠は毎日の当たり前のことなのであまり気にしたことがなかったのですが、その質を上げると体も心も健康的になり、生活も充実するのだなと改めて認識しました。美容と健康に気を使うなら、まずは睡眠から!と私自身も意識して、美肌を目指したいと思います」
これ以外にも、誰でもすぐに実践できる美肌を実現するための質の良い睡眠のコツを友野さんに教えていただきました。
「寝返り」を意識した寝具、パジャマ選び
睡眠アイテム選びのキーワードは「寝返り」。マットレス、枕、掛布団、パジャマなど体に圧迫がなく、体に合っていて寝返りがしやすいものを選ぶこと。就寝時に着用するパジャマとして売られているアイテムは、寝返りを妨げないので、スウェットなどでなくきちんとパジャマを選びましょう。また、部屋着からパジャマに着替えることで自分の眠りのスイッチを入れる役割もあります。こういった行為を睡眠用語で、入眠儀式と言います。また掛布団に関しては、冬は羽毛布団が圧倒的におすすめ。軽くて体への負担が少なく、体のラインにフィットします。温度や湿度を調節して、ぐっすり眠れる適切な環境を維持してくれて、軽くて寝返りが打ちやすいものを選びましょう。眠りの質が悪いと感じるのであれば、一度見直してみてください。
寝室を快適な温度と湿度に保つ
冬は寒さが不快感を招いて目が覚めてしまうこともあるので、暖房を使い、その際は加湿器を一緒に使うのがおすすめ。暖房が苦手な人には、オイルヒーターが乾燥せず快適です。部屋の空気を循環させることも大事なので、サーキュレーターなどを併用してください。快眠の基本は頭寒足熱なので、寝る前に電気毛布で寝床を温めたり、湯たんぽなどを使うのも効果的です。夏はエアコンと扇風機を上手く組み合わせて、温度と湿度を快適に保ち、直接冷気が体に当たらないように気を付けましょう。
夜更かしした時も起床時間を守って体のリズムを崩さない
辛くても起きる時間を守り続けることが大事。辛ければその翌日に早く寝てしまえばいいんです。寝る時間よりも起きる時間を守ることで体のリズムを崩すことなく、健康と美を保つことができます。
お昼寝を積極的に取り入れる
寝不足の解消をサポートする役割としてのお昼寝は有効です。また、昼食後の眠気を解消して午後のパフォーマンスを上げる効果もあります。お昼寝をする際は、その日の夜の睡眠に影響しないよう、15時までにすること。時間は長くても20分程度。家でもオフィスでも、座った姿勢で、深い眠りにならないように気を付けてください。
「回答者個人の主観ではありますが、『良く眠れていると感じている』と答えている人の方が『肌トラブルが少ない』というアンケート調査の結果も出ています。睡眠を改善することで、肌の土台部分がしっかりとして、トラブルに強くなったり、不調が改善されるということはあると思いますので、肌に関する悩みがある方はぜひ一度、睡眠を見直してみてほしいです」(友野なおさん)
肌トラブルを抱えている方はもちろん、より美肌を目指したい方も、今日から睡眠を見直してみてはいかがでしょう。