今回、苦手な人との付き合い方のコツを教えていただく田中絵音さんは、累計2000回以上の合コンに携わった経験の持ち主。現在は「日本合コン協会」の会長を務めるほか、結婚されてからは「東京ママパーティー」を主宰し、子育て中のママたちが交流できるママイベントをプロデュースするなど、幅広い活動をされています。まさに「コミュニケーションのプロ」といえる田中さんですが、もともとは「超がつくほどの人見知り」だったそうです。
「学生の頃は、初対面の人と話すなんてもってのほか、というくらい内向的な人間でした。それが、20代になって少し芸能のお仕事をさせていただいたのをきっかけに、いろんな方が集まる会に呼ばれるようになったんです。その流れで合コンに行く機会も増えていったのですが、合コンは基本的に初対面の人ばかりなんですよね。限られた時間の中で今後につながる結果を残すには、ただ黙っているわけにはいきません。そういう場に何度も身を置くことによって、自分のコミュニケーション能力が上がったと思いますし、いろいろな人との出会いにつながったと思います」(田中絵音さん)
合コンの回数を重ね、何度も失敗を繰り返しながら、少しずつコミュニケーション能力を磨いていったという田中さん。だからこそ、自らが手掛ける合コンやママパーティーで、コミュニケーションで失敗しがちな人の特徴がわかると言います。
「男女問わず、人と話すこと自体が苦手な方や控えめな性格の方は、やはり大人数の場ではどうしても目立たなくなってしまうケースが多いですね。そういった方にオススメなのが、最初に、例えば『私、すごく人見知りなんです』と宣言してしまうこと。そうすると、周囲の人が気にかけてくれるので、場に溶け込みやすいと思います。
また、女性に多いのが、本当に面白いときにしか笑わない人。人が集まる場では、笑ってない=無表情ではなく、怒っているように見えてしまうんですよ。なので、話していないときでも、笑顔とまではいかなくても、口角を上げた微笑を意識することは大切です」(田中絵音さん)
このほか、「相手の話に聞く耳を持たず、自分の話しかしない人」や「自分の発言によって傷つく人がいる可能性があることを想像せず、思ったことを全部口に出してしまう人」も、対人関係がうまくいかない傾向にあるのだとか。
もしかすると、みなさんが「苦手だな」と思う相手にも、こうした特徴があるかもしれません。しかし、苦手だからといって、いつも避けて通れるとは限りませんよね。苦手な相手こそ、自分のコミュニケーション能力を磨くチャンスです。苦手な相手でも上手にコミュニケーションできるよう、田中さんにそのコツをタイプ別に教えていただきました。
「苦手な人」といっても、どんな人が苦手かは人によって違うと思います。
ここでは5つのタイプに分け、それぞれに合った好感フレーズを見ていきましょう。
マウンティングタイプ
相手の意見に言い返すなど、常に上から目線で人と接するタイプ。そういう人に何かお願い事をしたいときは、「相手よりも下手になることがポイントです」と田中さんは言います。
「例えば、話しかけるときは『少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?』と一言添えたりすると、相手も悪い気はしません。また、このタイプの人は普段の何気ない会話の中でも自慢とも思える話をしがちなので、そうなったときには反論したりせず、『さすがです!』とか『知りませんでした。すごいですね』といったフレーズで受け流すというのも重要です」(田中絵音さん)
●田中さんオススメの好感フレーズ
「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」「さすがです!」「すごいですね」一匹狼タイプ
何でも自分でこなしてしまい、人の意見を聞かない、もしくは意見を言う隙を与えないタイプ。このタイプには、無理に意見しようとしないほうがベターだそうです。
「そこを無理してしまうと、意見がぶつかって仲違いしてしまう場合があります。ですから、もし職場やサークルといった場にこのタイプの人が、何かを率先してやろうとしていたら『お願いします!』とお任せしてしまうのも、一つの手です。その上で、『手が足りないときは言ってくださいね』『応援してます!』といったフレーズが効果的。このタイプの人は、一人で頑張ってしまいがちで、弱音を吐けずにパンクしてしまうこともあるので、応援団になったつもりでサポートしていく気持ちが大切です」(田中絵音さん)
●田中さんオススメの好感フレーズ
「応援してます!」「手が足りないときは言ってくださいね」ゴーイングマイウェイタイプ
周りの空気を読まず、ひたすら自分のことに集中しがちなタイプ。その勢いに負けて、なかなか自分の意見を言えないと感じる人も多いのではないでしょうか。
「このタイプの人にこちらの話を聞いてもらうためには、その人の意見を一回肯定してから、自分の意見を言うのが効果的です。『◯◯さんのおっしゃる通り、△△△△ですよね』とか、『◯◯さんの意見にとても近いんですけど、私は△△△△だと思います』とか。もちろん、そこでその人と同じ意見を言う必要はなく、自分なりの意見を織り交ぜるのがコツです。もし、それでも相手の話が止まらなくて困った場合は、『逆に質問してもよろしいでしょうか?』など、『逆に』というワードを使うと、相手も聞く耳を持ってくれると思います」(田中絵音さん)
●田中さんオススメの好感フレーズ
「◯◯さんのおっしゃる通り」「逆に」ナイーブタイプ
自分のペースが乱されることを嫌がり、一人でいることが好きで、あまり人との関わりを好まないタイプ。いろいろなことに繊細なため、話しかけるときは注意が必要です。
「このタイプの人は、一見しただけでは何を考えているかわからない場合も多いので、一つ一つ確認を取りながら進めていくのが有効だと思います。例えば、話しかけるときには『今、大丈夫ですか?』とか、意見を言うのであれば『間違っていたら、すみません』など、保険をかけてからにすると安心です。また、何かお願い事をするときも、いきなり頼むのではなく、『◯◯って知ってますか?』など頼みたい内容と関連した話題をまずは振ってみて、そこから広げていくといいと思います」(田中絵音さん)
●田中さんオススメの好感フレーズ
「今、大丈夫ですか?」「間違っていたら、すみません」無気力タイプ
話しかけても無反応で、やる気や興味があるのかがわかりにくいタイプ。このタイプとのコミュニケーションでは、「相手の話や興味を引き出すこと」に重点を置いた接し方が重要だそうです。
「私だったら、まずは相手に声を出させるように働きかけます。例えば、『最近どう?』とか『今日は暑いね』とか、当たり障りのない話題だけど、反応せざるを得ない質問をしたり。それと同じ意味で、話題のニューストピックを3つくらい頭に入れておくのもいいと思います。それでも反応が薄いときは、趣味のことでも、仕事のことでも、何でもいいので『お話ししてみたいと思っていたんです』と、相手に興味を持っていることをアピールすると、相手も安心して話してくれるようになります」(田中絵音さん)
●田中さんオススメの好感フレーズ
「(あなたと)お話ししてみたいと思っていたんです」ここまでタイプ別の好感フレーズを紹介してきましたが、田中さんによると、どんなシチュエーション、どんな相手にも効果的なフレーズがあると言います。
それは、「すごく喋りやすくて、楽しいです!」というフレーズ。
「人は誰でも、自分を否定されるのが一番怖いと思うんです。ですから、コミュニケーションの場では相手を否定しないこと、肯定してあげることがとても大切です。それを表現するには、言葉ももちろん大事ですが、話している相手に向かって、深く、ゆっくり頷くという動作も意識してください。そうすることで、相手を肯定している雰囲気がより伝わり、和やかな雰囲気が生まれると思います」(田中絵音さん)
苦手だなと思う相手には、つい距離を取ってしまい、手っ取り早く用件だけで済まそうとしてしまいがち。苦手な人とのコミュニケーションにストレスを感じるのは、そうした自分の中の苦手意識が作用していると田中さんは言います。
「苦手な相手に対して、人はどうしてもイヤな部分に目が行きがちだと思うんです。でも、そんなことをしていたらキリがないし、苦手な感情が増していくだけの悪循環に陥ってしまいます。なので、苦手な相手こそ、その人のいいところを見つけるようにしましょう。例えば、『この人は人の話も聞かずにずっと喋り続けているけど、元気があっていいな』とか、『この人は自分のことを話さないから、何を考えているかわかりにくいけど、思慮深い人なんだろうな』とか。そんなふうに自分の中でポジティブなイメージに転換して、相手に対する苦手意識を外していくことも大切です」(田中絵音さん)
それでも、苦手意識が拭えないという場合は、「『この人はそういう人』として割り切ることも大切」と田中さん。
「相手を苦手だなと思うことって、何かしらの理由がある以外に、ただ相性が合わないだけというケースも往々にしてあると思うんです。そういうときは、いい意味で割り切ることも大切です。何かイヤなことをされても気にしない。でも、挨拶だけはちゃんとするなど、自分に余裕を持って接するようにするのがいいと思います」(田中絵音さん)
ぜひ田中さんのアドバイスを生かして、苦手な人とも上手にコミュニケーションを取ってみてください!