今回お話を伺ったのは、海専門の気象情報サービスなどを提供している、株式会社サーフレジェンド所属の気象予報士・唐澤敏哉さん。出身は北海道で、趣味のサーフィンは沖縄の大学で海洋学を学んでいた時に出会って以来20年以上続けているそうです。雪国育ちとあってスノーボードも得意だという根っからのアウトドア人。そんな唐澤さんに、まずは気象予報士の資格について尋ねました。
「気象予報士とは20年ほど前に認定された国家資格です。それまで気象情報は気象庁からしか発表できなかったのですが、この資格ができたおかげで気象予報士が所属する民間の会社からも発信できるようになりました。一口に天気予報と言っても人によって使う目的が違いますよね。そこで、よりニーズに合わせた情報が提供できるよう、気象予報士が様々な観測データから天気を予想し、解りやすくアレンジして伝えています。例えば、海で活動される方に向けた弊社の『海快晴』というサービスでは、ピンポイントかつ1時間ごとの詳しい天気、風、波、潮を知ることができるんですよ。およそ3割は漁業関係者などプロユースの方にもご利用いただいています。
ほかにも様々な業界で活かせる知識ではありますが、特にアウトドアを楽しんでいる人にとっては、趣味にも大いに役立つものだと思います。」
趣味にも役立つとは言え、合格率はたったの5%! この数字だけ見るとさぞかし難関だろうと二の足を踏んでしまいそうですが、一体どんな試験が待ち構えているのでしょうか? ご自身が資格試験に挑もうと思ったきっかけもあわせて聞いてみました。
「試験は学科と実技の両方があって、大学の一般教養レベルの物理・数学の基礎知識を必要とします。『とりあえず資格を』と軽い気持ちで始めると難しいかもしれませんが、もともと天気を観察するのが好きな人であれば、それほど構える必要はありません。また、合格率5%というとかなりの難関だろうと思われますが、年齢や学歴など関係なく誰でも受験することができるので、そもそも受験者数自体が多いんですよ。
今思えば僕は子どもの頃から空を見るのが好きでした。小学校では理科クラブに入っていたので、白地図のような天気図用紙に、自分で天気図を書いたりもしていました。大学時代にサーフィンと出会ってから、波を予想できるようにと先輩に勧められ、毎日天気図を見て“サーフィンダイアリー”をつけていたんです。ちょうどその頃、気象予報士の資格試験ができたと聞き自然な流れで興味を持ったんですが、試験を受けたのはそれから数年経ってから。天気のことが好きだったから学ぶことはそれほど苦になりませんでしたが、やはり試験にはそれなりの対策が必要。僕の場合は短期集中で、毎日8時間の勉強を10か月間続けて、合格までこぎつけました」
そんな努力の甲斐あって、現在は仕事に趣味に気象予報士の資格を大いに活用されている唐澤さん。現在関わっている海専門の気象情報サービスは、同じ趣味を持つサーファーからも厚い信頼を得ています。
「ただ単に資格取得を目指すより、何か人より詳しいことがあったほうがぐっと活きてくると思うんです。僕の場合、とにかくいい波に乗りたいから自分で天気を予想したかった。言わば自分のためですよね。例えば台風が来ている状況下では、普通は用心するために天気予報を見ますよね。でも、サーファーは『いい波がくるぞ!』と、ちょっと違う観点でチェックしているんです(笑)。サーファーが求める情報は、サーファーの方が知っている。それが幸いなことにこうして仕事につながっています」
天気や海や波のことを少年のように楽しそうに話す姿からは、唐澤さんの自然を愛する気持ちがひしひしと伝わってきます。そんなアウトドアLoverにこそ、気象予報士の資格取得をおすすめしたいそうです。
「海や山、川に行く人は天気のことを学んだ方が有益だと思います。知識があると実際に肌で感じた気象の変化に対して理屈まで考えられるし、しくみがわかることで風や雨をもっと身近に感じられるようになります。地球と共存するという感覚を得て、もっともっと自然を楽しんでほしいです!」
Text:河辺さや香
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【ガイドプロフィール】
唐澤敏哉(からさわとしや):気象予報士、防災士。株式会社サーフレジェンド(気象庁気象予報業務許可第70号)所属。北海道で生まれ育ち沖縄の大学へ進学、そこでサーフィンと出合う。大学卒業後サラリーマンを経て27歳の時に気象予報士試験に合格。以降、仕事に趣味に幅広く気象の知識を役立たせている。出勤前や昼休みのちょっとした時間にも海に入るというくらい、サーフィンは生活の一部。
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