資格を取得することは、いわば確かなスキルを証明する名刺を持つということ。しかし、移り変わりの激しい時代に、ビジネススキルを維持することは容易ではありません。その点、中小企業診断士の将来性はいかほどのものでしょうか?
水谷氏によると、「中小企業診断士の仕事は、中小企業の経営に対するコンサルティング支援です。もちろん、世の中の動きに合わせ会社を取り巻く外部環境を常に把握する必要はあるので、自分の中の知識を高める努力は必要ですが、会社という存在がなくならない限り続く仕事ですから安定性も将来性も大丈夫。」と心強い一言をもらえました。
中小企業診断士の学習範囲は経済学にはじまり、財務・会計、企業経営理論、経営法務と、経営者の登竜門として名高い、MBA(経営学修士)の知識に匹敵するほど広範囲に及びます。
昔、診断士の勉強をしていたという経営者が意外に多く、中小企業診断士の資格をもって企業経営されている方、創業された方も少なくないというお話にも納得させられます。
中小企業診断士の仕事は、「企業と顧問契約して経営者にアドバイスや実行支援などを行う経営コンサルティング」、「セミナーや企業研修での講師」、「本や雑誌へ記事を寄せる執筆活動」と、大きく分けて3種類に分類されます。
これらの活動を中心に中小企業診断士として独立したり、企業の一員として、経営戦略の策定や、子会社・下請会社などの経営サポートを担当することも可能です。
水谷氏によると年間約1,000名の合格者のうち、約3割もの方が独立診断士を選択しているのだとか。独立して自分の腕を試してみたい。そんな人生設計も夢ではありませんね。
診断士として業務を開始したあとも、企業の課題に対処するため、税理士や社労士、弁護士などと人脈を築くことが求められるのだそう。診断士同士の勉強会や交流会も活発に行われており、幅広い人脈を構築できる点も中小企業診断士だからこそ得られるワークスタイルといえるでしょう。
幅広い経営の知識と人脈。魅力にあふれた中小企業診断士ですが、その需要はどれほどのものなのでしょうか。水谷氏へ聞いてみました。
「数的には税理士の10分の1と言われています。日本には400万社ほどの企業がありますが厳しいグローバル競争などに対応し経営革新などの新たな取り組みにチャレンしていかなければなりません。手助けをする中小企業診断士の、絶対数がまだまだ足りません。」
確かに、大企業は言うに及ばず、今や中小企業のフィールドもグローバル化が進んでいます。しかし、人材確保が難しい零細企業も少なくありません。海外のコンペティター(競合他社)と対等に渡り合うためにも優秀な右腕として需要が高まっている。まさに、時代が要求する資格といっても言い過ぎではないでしょう。
気になるのが勉強法と進め方です。会社勤めをしながらの学習は可能なのでしょうか?
「働きながら学習する人がほとんど。なかには会社を辞めて資格取得に邁進する人もいますが少数派です。働きながらですので、1,000時間といわれる最低学習時間をいかに確保するかが問われ、学習戦略を駆使しないと合格できません。」と、水谷氏。
出題分野のうち、合格点に達しなかった科目を次回の試験に繰り越せる科目合格制度があるため、2年、3年かけて合格を目指す受験生もいます。講座や参考書を使った学習の他に、経済紙で時事や経済用語を習得したり、社内の労務や人事管理、セキュリティ対策などのICT、部門戦略はどう立案され実行されているのかを学ぶことも1つの教材になり得ます。まさに、生きた経済や経営を学ぶ熱意や努力、そして合格までのプランニングが試されるといっても過言ではないでしょう。
中小企業診断士を目指す方の職歴も様々。営業、企画、総務、技術など、あらゆる分野から確かなキャリアを求めて日々学習に励んでいます。
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【ガイドプロフィール】
水谷哲也(みずたにてつや):中小企業のIT導入・活用支援コンサルタント。中小企業診断士の資格保持者でもある。累積相談件数は3,900件以上にのぼり、日々経営やITに関わる相談をこなすほか、大学などで情報処理教育も担当している。
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